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ÅttondelspolskaとSextondelspolskaとTriolpolska

Åttondelspolska、Sextondelspolska、Triolpolskaいう単語があります。

これらの単語はどれもポルスカのことを指しています。

 

スウェーデンでは「○○polska」というのがいくつも存在していて、そのほとんどはダンスの種類(→そのダンスの時に演奏される曲の総称)のことを指しています。

例えば「Bondpolska」や「Orsapolska」、「Bingsjöpolska」、「Bodapolska」など。

 

Åttondelspolska、Sextondelspolska、Triolpolskaはそれらとは違います。

これらは、ダンスの種類とは次元が異なる表現で、どちらかというと音楽用語に近いです。

これらの言葉について、こちらのページで解説します。

一応中級者向けに書いたつもりですが、書き方はたぶんわかりやすくはないです。すみません。ついてきてください。

ちなみにアルファベットを最初大文字にしているのは、大文字の方が見やすいからです。意味はありません。

1、Åttondelspolska、Sextondelspolska、Triolpolska、それぞれの意味

Åttondelspolska(オットンデールス ポルスカ)=「8分音符のポルスカ」

Sextondelspolska(セックストンデールス ポルスカ)=「16分音符のポルスカ」

Triolpolska(トリオール ポルスカ)=「3連符のポルスカ」

 

一見すると、「あ、なるほど。8分音符が多いのはÅttondelspolskaで、16分音符が多いのがSextondelspolska、3連符が多いのがTriolpolskaなのか」と思うかもしれませんが、違います。

(Triolpolskaは合っていますが)

何が違うのか説明するためにはまず「underdelning」の考え方を説明しなくてはいけません。

(underdelningで説明しなくても良いのかもしれないのですが、私はこの説明の仕方をされてきたのでこれしかできないんです)

 

2、Underdelning

「Underdelning(ウンデル デールニング)」=under division、分割。

これは「曲全体の基本上で、1拍を何個に分けられるか?」という考え方です。

この単語はもしかしたら、私が留学した先の先生達(ミュージシャン達)が使っていただけの単語かもしれません。他の地域ではこういう言い方をしないかもしれませんが、この「Underdelsning」で考えるのが私にはわかりやすいのです。

 

3、Underdelningを使った説明

このunderdelningで説明した場合に、

・基本のリズムが1拍を2つ(もしくは4つ)に分けられるもの=Sextondelspolska

・基本のリズムが1拍を3つに分けられるもの=ÅttondelspolskaとTriolpolska

です。

これを私の手書きメモで書くとこうなります↓ピンぼけすみません。

つまり、

・Sextondelspolska=1拍を2つや4つに分けられるもの。

例:Byss-Calleの32番、Hälleforsnäs

 

・Åttondelspolska=1拍を3つに分けられ、かつ3つの音の最初の2音(もしくは後半2音)がタイで繋がっているようなリズムが多い。

実際に弾く時はリズムを結構ゆらしているのでちょっとわかりにくいですが。

例:Båtsman-Däck、Polska efter Erik Höst

 

・Triolpolska=1拍を3つに分けられ、かつそれがそのまま、つまり3連符が多い曲。

例:Jämtlandの典型的なポルスカなど

3連符多いですよね。

 

4、ÅttondelpolskaとTriolpolska

Underdelningの考え方的には、ÅttondelspolskaとTriolpolskaの基本は一緒です。違いは3連符が多いかどうかです。これは感覚的にわかります。

で、Åttondelspolskaはリズムとしては3連符の最初2つ(もしくは後半2つ)の音がタイでくっついたものになるのですが、楽譜上は書くのが面倒なのでだいたい付点8分音符やただの8分音符で済ますことが多いです。

(その結果、楽譜上では8分音符が多いからÅttondelpolskaという名前で呼ばれているのだ、と言う人もいます。真偽はわかりません)

 

5、「8分音符が多い=Åttondelspolska」「16分音符が多い=Sextondelspolska」ではない

ここでややこしいのは、「楽譜で16分音符が一切なく8分音符ばかり」だからといってÅttondelspolskaだという訳ではないということです。

その8分音符が楽譜の通りのリズムで演奏されるなら(※)、むしろそれはSextondelpolskaなんです。

なぜなら、演奏された際には1拍を2つに均等に分けられるようなリズムだから。

つまり楽譜の見た目上で16分音符が無くても、Sextondelpolskaである可能性は大いにあるということです。

私は実際、4分音符と8分音符しかないSextondelspolskaも見た事があります。

 

また反対に、Åttondelspolskaの曲に16分音符が出てくる場合もあります。

つまりSextondelspolskaなのかÅttondelspolskaなのかは楽譜の見た目上の音符ではなく、曲全体の基本のリズムをつかむことが大切なのです。

 

※話が逸れますが、「楽譜通りのリズムで演奏されるなら~」というのはどういうことかというと、基本的にはここ最近の楽譜(ここ30年とか?適当ですが)は8分音符をそのまま8分音符で演奏しても大丈夫であることが多いのですが、昔の楽譜はリズムがかなり適当なので楽譜を信用できないのです。

結局、楽譜というのは覚え書き的なメモでしかなかったので、本当は3連符的な付点的なリズムであっても付点で書いていないこともよくありました。

楽譜通りのリズムで演奏されるなら~と書いたのはそういう意味です。

 

6、付点8分音符のリズム

あと、付点8分音符についても注意しなければいけません。

Åttondelspolskaのリズムは、厳密には楽譜上の付点8分音符のリズムではありません。なぜなら

・付点8分音符のリズムはそもそも1拍を4つに分けたうちの前半か後半の3音がくっついている状態。

・一方、Åttondelspolskaは1拍を3つに分けたうちの前半か後半の2音がくっついている状態。

だからです。楽譜上での正しい付点8分音符のリズムはSextondelspolskaのリズムなので、別物のリズムなんです。

 

…が、Åttondelspolskaはいちいち3連符で書くのが面倒なので、結局楽譜では付点8分音符で書いてしまいます。(楽譜によっては、ジャズの楽譜のようにきちんと但し書きがついているものもありますが)

なので、楽譜上で付点8分音符で書いてあるリズムも、その曲全体がSextondelpolskaなのか、もしくはÅttondelspolskaなのかでリズムが変わってきます。

まあ大抵は付点8分音符が多いものはÅttondelspolskaであることが多いのですが。

これに関しては上のメモの写真もあらためてご参照ください。

 

7、実際に曲を見てみよう

Sextondelpolska、Åttondelspolska、Triolpolskaの違いがわかりましたでしょうか?

言葉で伝えるのは難しいので、実際に曲を分析してみた方がわかりやすいかもしれません。

問題:動画の曲はそれぞれどれでしょうか?

答え:Sextondelpolska

 

答え:Sextondelpolska

 

答え:Åttondelspolska

 

答え:Sextondelpolska

 

答え:Sextondelpolska

 

答え:Åttondelspolska

 

答え:Åttondelspolska

 

8、BondpolskaやBodapolskaなど…どれがどうなのか。

ちなみに冒頭でお伝えしたダンスの種類としての「○○polska」も、それぞれにSextondelpolska、Åttondelspolska、Triolpolskaで特徴を分けることができます。全部が全部そうではないかもしれませんが、典型的な(基本的な)タイプだとこのようになります。

・Åttondelspolska

…Bondpolska(Uppland)、Bodapolska(Dalarna)、Orsapolska(Dalarna)など

・Sextondelspolska

…Bingsjöpolska(Dalarna)、Slängpolska(Småland、Skåne)(←Slängpolskaは実はポルスカとは違うのですが、曲で考えるとSextondelspolskaなのでこちらに書きました)など

・Triolpolska

…Jämtland辺りのポルスカなど(特に名称は無いのですが)

 

※Slängpolskaに関していえば、同じ「Slängpolska」という名前でUpplandに昔伝わっていた別のダンスがあります。それは今一般的に知られているSlängpolskaとは全く別物なので、例えばUpplandで伝わっているByss-CalleのSextondelspolskaの曲をSlängpolskaと呼ぶのは少しだけ注意が必要です(なぜなら、あれは本来はSlängpolskaの曲ではなかったから。それでもSlängpolskaと呼ばれているのは、今現在一般に知られているSlängpolskaのダンスをByss-Calleの曲で踊ることが可能だから、今たまたまそう呼んでいるに過ぎないからです)。Väsenのように、わかっていてあえてそう呼んでいる分には全然問題ありませんが。

 

9、これらの名称にそもそも何の意味があるの?

Åttondelspolska

Sextondelspolska

Triolpolska

こんな長ったらしい用語(と考え方)、そもそも何のために覚える必要があるのかと疑問に思うかもしれません。

私も打っていて指と頭がおかしくなりそうですが(特にいちいちpolskaと打つのが面倒くさい)、これらの用語はとても便利です。

 

先ほどもお伝えしたように、これとは別にダンスの名称としてのポルスカの種類分けの呼び名があります(「○○polska」)。

そのダンスの種類は曲の奏法にも関わってくるのですが、奏法ではなくただ単に曲を分析したい場合や曲のリズムを伝えたい場合、ダンスの名称で表すと面倒なんです。

例えばさきほど書きましたが、Slängpolska。Byss-Calleの32番をSlängpolskaと呼んでも良いのかどうなのかは意見が分かれるところですが、この曲がSextondelspolskaであることにはだいたいの人の意見が一致すると思います。

なぜなら、曲の基本のリズム(underdelning)がそうだからです。

特にSextondelspolskaの曲はそうだと思うのですが、正直Slängpolskaを踊ろうが普通のpolskaを踊ろうが、何を踊られようと演奏する時の曲のリズム自体は変わりません。(テンポなどは変わるかもしれませんが)

曲のことを音楽的に分析する際に、いちいちダンスの名称で呼ぶとややこしくなる時があるのです。

だからこそのこれら3つの用語なんです。

曲を習う時や演奏の時には、これらの単語は結構よく使います。

 


という訳で、Åttondelspolska、Sextondelspolska、Triolpolskaの違いがわかりましたでしょうか。

わからなくても大丈夫です。いつかわかる日が来ます。

乱暴な言い方をすると、始終跳ねてるのはだいたいÅttondelspolskaです。で、クラシックっぽいのがSextondelspolskaです。これはかなり乱暴な言い方なので、よそでは言わないでください。

 

このページに書いた私の説明と違う説明の仕方をする人もいるかもしれませんが、それは説明の仕方が違うだけなので、私はその人とも「どの曲がÅttondelspolskaでどの曲がSextondelspolskaなのか」という話をしたら意見は一致するだろうなという確信があります。

便利な用語ですのでぜひご活用ください!

2020年9月