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クラスメイト達の話。

/ スウェーデンの民族楽器「ニッケルハルパ」奏者

留学中に出た自由課題の中で、私はクラスメイトにインタビューをしたことがありました。

テーマは「今までの人生で音楽をやめたいと思ったことがあるか」です。

皆の答えは、ほとんど全部覚えてます。どれも印象的な話でした。人生がかかっているような重い内容もありましたが、平気でした。私はクラスメイト達のことが知りたかったのです。

私はクラスメイト達が好きだったんだと思います。

私達は演奏レベルはバラバラでしたし、性格も価値観も年齢もバラバラでした。寮も一緒でキッチンは共同だったので、「は?なんで食器出しっぱなしなんだよ!洗えよ!シンクが使えねえんだよ!」と思ったことも50回くらいありました。「今週の掃除当番はなぜに!なぜに掃除をせんのだ!」と思ったことも20回くらいありました。

「チューニングは授業が始まる前にやっとけー!!」と思ったことなんて、100回くらいありました。クラスメイトだけではなく、授業時間過ぎてからのんびりやってきてチューニングしだす先生もいました。お前もか!ていうかその先生は授業を忘れてて来ない時もありました。

そんな私達です。大きなケンカこそしませんでしたが、小さないざこざはたくさんありました。

でも反対に言うと、小さないざこざはたくさんあったけど大きなケンカはしませんでした。

キレキャラの人は毎回コンサートが近づくたびに「これじゃダメ!あんた達の演奏なんか全然ダメなのよー!」とキレてくるし、飽きっぽい天才的若者は「全体練習がだるくてだるくてしょうがねーよーつまんねーよーなんでこんなレベルの低いのに合わせなきゃなんねーんだよー」というオーラを全身から出しまくっていました。それで若者がふざけ始めたりするもんだから、今度は私(含めて数人)がそのふざけてる奴らにイライラしたりしていました。おっとりしていてマイペースな人は悪気ゼロで人の話を全然聞かないし、決めたことも基本守らない。

だんだんとお互いのことがよくわかってきて、それぞれに自信もついてきたので、最終的にはキレキャラがキレても誰も動揺しなくなり(あ、そう。みたいな)、天才含めふざける奴らは無視無視。マイペースなおっとりさんは「基本、話は聞いていないし決めたことは守らない」を前提にその都度本人に声をかけ、他の人が動ける時は動く。

私自身は「手伝わなきゃ!」の義務感の囚人でいるのをやめ、「他人のことは適度に放っておく」ことを覚えました。

全員と仲良くならなくて良い。全員を好きにならなくて良い。合わないやつのことなんか嫌いで良い。

そう思って、最初は特に心をあまり開かないでいましたが(留学4年目だし、もう「青春ごっこ」はいらないと思って)、そのかいあって私も皆もお互いの短所をよく知ったことによって、かえって私はあそこに居場所を感じられたような気がします。

私はこの人達のダメなところを知ってる。弱点も欠点も。ムカつくところも。ていうか何回もムカついてきた!

この人達も、私のダメなところを知ってる。優しいようで実はただ気を遣っているだけなことも。いいよと言っても本当は嫌だったりすることがたくさんあることも。それで限界がくると自分の殻にこもることも。よく泣くことも。

でもそれでもなお、私達はお互いの存在を認めあっていました。それは一緒に、対等に音楽をやっていたからです。音楽は極めてパーソナルな部分が出ます。どこかでいざこざが出ても、私達はどこかでまたお互いに共感しあえるところがあることを知っていました。私達は対等でした。その事実が自信になりました。

学校とかクラスメイトって立場自体が特別なものなので、それを今の日常生活で再現することは正直不可能だと私は思っています。立場が違う人と接する機会ばかりだし、私自身も学生じゃない。打算も駆け引きもあるし、トラブルメーカーとは関わらない。搾取されたり利用されるのはこちらも気をつけなければいけないし、応援してあげてる、とか、演奏させてあげてる、とか恩着せがましい人も危ない(関係性が癒着するからです)。上から目線での余計なアドバイスとかお節介も速攻スル―だし、面倒な付き合いはきちんと遠ざける。面倒な相手とはなるべく距離を置く。他人を見捨てるのではなく、ちゃんと自分を守る。

それで疲れることが最近はよくありましたけど、仮面をかぶって生き続けるよりは良いのかもなって思うようになりました。自分のことを守るのも、大切なことです。街ですれ違うように、人と出逢ってすぐに別れる。それもまたご縁。どっちが悪いとかではありません。

全員を好きになる必要はない。むしろ、全員を好きになんてなろうとしたら、誰のことも大切にできない。大切にしたい人は誰なのか。それは決して、恩や義理や期待を押し付ける人達ではないはずです。

自分を大切にすれば、きっとまた認め合える人とこれからもたくさん出逢える気がします。出逢って別れての繰り返し。私はもっと色々な人と弾いて、色々な人に聴いてもらいたいです。今の場所にとどまらずに、自分の可能性を広げたいです。

今日は2曲あります。118曲目は「Menuett」(メヌエット)。119曲目は「Morgondimman」(朝もや)。119曲目は私が作った曲です。ちょっと弾きたかったので弾きました。

今日もお読みいただき、ありがとうございます!