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ブレーキンゲ2年目:焦って自分の殻にこもった

/ スウェーデンの民族楽器「ニッケルハルパ」奏者

ブレーキンゲでの1年目を終え、私は2年生のクラスに入るためのオーディションを受けました。オーディションは無事に終わりそのまま進級した私ですが、2年目は焦っていて自分の殻にこもりがちでした。

留学自体は3年目になるし、この1年でなんとか何かを成し遂げなければいけないと思っていました(その「何か」がなんなのかわからなかったのですが)。

留学を無駄にしたくないという思い。自分の将来に対する不安。

時間を無駄にしたくないと思って、スウェーデン語の勉強も練習も頑張りました。色々挑戦もしたし、毎朝ランニングをし、毎週行われるトレーニングにも参加しました。

でも今考えれば、ちょっと自分の殻にこもりすぎだった気がします。1年目とは違って学校の勝手もわかっていたので、自分一人で行動することが多かったです。人に頼ることや、「無駄」な時間の使い方が無くなった分、人と関わる機会が減ってしまっていました。

そういう時間も当時は必要だったのかもしれませんが、自分一人で頑張れることは限られていて、だからこそ人との交流を大切にしながら目標に向かうことの大切さというのを、あの時期から学んだ気がします。当時はそれに気が付きませんでした。自分一人でがむしゃらに頑張ることが結果に繋がると思っていました。でも、なんか無理してました。


その頃、ゲストの先生に言われた言葉を今もよく思い出します。

その先生は病院でピエロ(クラウン)をやっている人でした。ホスピタルクラウンと言うそうです。入院している子どもをはじめ、患者さんたちを励ます仕事です。私達の授業でも、クラウンのことを色々教えてくれました。

「アカネ、ただいれば良いんだよ(Bara var.)」

授業の後に、私はたまたま先生と少し会話をしていて、急にこの言葉を言われたのでした。

ただいれば良い、って、本当に?何かをやって価値を提供できなかったら、私はここにいる意味が無いんじゃないの?

私は疑問に思って聞きました。

「ただいれば良いんだよ。人はいるだけで価値がある。いるだけで他の人を楽しませることができる。何かをしなくちゃいけないなんて思って、焦らなくて良い」

 

その先生の授業では、私達自身が一人ずつクラウンになってクラスメイトの前に立ちました。クラウンってとてもおちゃらけた雰囲気なので、授業も楽しい感じですすんでいくのかなと思いましたが、全然違いました。めちゃめちゃヘビー。ダメージ受けまくりました。

その先生が厳しいとか、怖いという訳では全くありません。優しくて穏やかで紳士的で、おちゃめで楽しくて思慮深い人でした。授業の雰囲気もとても和やかでした。じゃあ何がヘビーだったのかというと、クラウンという道化になることで、その先生に「私達が普段隠している自分の姿」を皆の前で見破られてしまったからです。

不思議な感覚でした。クラウンを演じているはずなのに、普段隠しているカッコ悪い自分や弱気な自分がどんどんさらけ出されていくようでした。少し怖くもありました。私だけではなくて、皆もそうだったみたいです。皆のテンションがだんだん下がっていって、空気が重くなっていく感じがしました。泣いている人もいました。

自分の正体を暴かれることがこんなにも怖いものなのか、とその時始めて知りました。普段の自分がいかに取り繕って(というより、周りに心配かけないように頑張って)生きているのかもよくわかりました。


その先生に言われたのが、「ただいれば良い」という言葉でした。

そう言われて私は当時こみ上げるものがありましたし、今でもその言葉をよく思い出します。

何かを成し遂げなくちゃ。このチャンスを活かさなくちゃ。

そんな思いに自分がとらわれそうな時は、この言葉を思い出します。

ブレーキンゲ2年目、つまり2014年~2015年にかけての自分に対して今の私が声をかけるとしたら、こうです。

何かを成さなきゃと思うのも大切だけど、それよりもまず、目の前の状況を楽しんじゃいなよ!それが何にもならなくても良いから。

目の前の状況にちゃんと目を向けることで、自分がいかに周りの人に支えられているのかがよくわかるし、それに気付いていたいと思っています!

今日もお読みいただき、ありがとうございます!