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新しい曲を覚える・その2(完璧主義と思い込みを手放して、やりたい曲に挑戦する)

/ スウェーデンの民族楽器「ニッケルハルパ」奏者

3月も後半に入りました。

先日書いた「新しい曲を毎日〇曲以上覚える」という取り組みですが、とりあえず一か月続けることができたので、続ける中で気がついたことを書いていきます。

主に、自分の完璧主義についてと、その完璧主義が新しい曲をコピーする際にどれだけ妨げになっていたのか、そしてその完璧主義をどのように考え直していけばいいのか、です。

曲の選び方の変化

もともとは自分の幅を広げるため、「色々な音源を聴く機会を増やしたい」と思って始めたこの取り組みです。最初は自分が普段あまり聴いてこなかったような音源を中心にコピー(耳コピー、聴いて覚えること)していました。それが一か月たった今現在どうなっているかというと、

「あまり聴いてこなかった地方の曲や奏者のコピー(自分にとって全く新しい曲)」

→「もともと聴いてはいたし、やりたいと思ってはいたけれど、挑戦できていなかった曲のコピー」

へと変化しました。

最初は広く浅く曲のレンジを広げるのを目的としていたのですが、結果的に自分がもともとやりたかったものにより注力する、というような状態に変化しました。

ハードルが高かった理由

この「もともとやりたかった曲」というのは、正確には「いつかはできるようになったらいいなと思っていたけれどハードルが高くて後回しになっていた曲」のことでした。

ではなぜハードルが高く、後回しにしてしまっていたのか?

私にとってそれらの曲のハードルが高かった理由は、主に以下の3つです。

1.重音(メロディと同時に別の音も鳴らしてハーモニーを作ること)がたくさん入っていて、ちゃんとコピーするのに時間がかかると思っていた

2.動画でないとボーイングがわからないので、音源を聴いてボーイングを聴き分けるのに時間がかかると思っていた

3.録音の年代が若干古く、音質もあまりよくなく、メロディがよくわからないから、変に音を間違えてコピーしてしまうのを恐れて何もできずにいた

「ちゃんとコピーしなければいけない」という思い込み

これらの理由を見ていて、その背景には以下のような思い込みがあることに気がつきました。

1’.重音も最初から全部ちゃんとコピーしなければいけない

2’.ボーイングも聴き分けてちゃんとコピーしなければいけない

3’.正確なメロディをちゃんとコピーしなければいけない

ここまで書くとおわかりかもしれませんが、ハードルが高いと思っていた曲は全て私の「ちゃんとコピーしなければいけない」という完璧主義のもとに勝手にハードルを上げられていただけでした。

もちろん留学中は、「曲を覚える時はできる限り真似をしなさい、それがトレーニングになるから」と言われました。

でもそれは「完璧に真似できないんだったらコピーしちゃダメだよ」ではありません。

そもそも完璧にコピーするのは不可能なので、「コピーする作業を通して自分ができることを増やしていく(耳も指も)」ことが本来の目的ではないかと思います。また、留学中に先生達が言っていたのは、「その割合に自分で制限をかけるな(ここまでコピーすれば終わり、ではなく常に向上できる)」という意味だろうと思います。

思い込みを変える

そう考えてみた時、さきほど挙げたハードルの高い要因をそれぞれ考え直すことが可能だと思いました。

1.重音もコピーできたらいいけど、最初から全部コピーしようとしなくてもいいのではないか(メロディ単音で弾いて、あとから足したらいいのではないか)

2.ボーイングも同じように弾けたらいいけど、同じでなくでもいいのではないか(違うと思ったらあとから修正してもいいのではないか)

3.メロディを間違えて覚えてしまってもいいのではないか(違うと思ったらあとから修正してもいいのではないか)

完璧主義の他にも、私は「鳥のヒナのように、最初に何かのメロディを覚えたら、もうそれで終わり(=メロディやボーイングを間違えて覚えたら、いっかんの終わり)」という思いもあったように思います。

間違えて覚えたってなんだって、あとから修正することは可能です。自分の演奏ですから。

あまり一回のコピーに気を張りすぎず、気軽に挑戦する方がいいのではないかと思いました。

間違える勇気を持つ・自立する

メロディやボーイングが、コピーした音源と違うからといって、別に誰も自分のことを批判しません。

もし誰かが批判していても、私の耳には入ってこないことが多いと思います。私も特に気にしません。

メロディを間違えて覚えるのが怖いのは、完璧主義の他にも間違いを怖れる心があったり、「誰かに正確なメロディを教えて欲しい(それが違っていてもその人のせいにできるから)」みたいな依存心が自分の中にあるからかなと思います。

そこをあえて、自分で「この音だ(自分にはこの音が聴こえる)」と決めて、自分の選択した通りに、一音一音意識して演奏します。それが演奏の質を上げ、また演奏中の自立心を養うことにも繋がります。

まとめ

以上のことをまとめると、こうです。

☆重音がたくさん入っている曲でも、まずは単音でメロディを弾くことに集中する。音源を聴いていれば重音の入るタイミングや重音の音色が耳に馴染んでくるので、重音はあとから、入れられる範囲で入れていけばいい。

☆ボーイングは自分が感じるようにやってみていい。その代わり、自分がどういうボーイングで弾いているのか毎回意識して弾くこと(この音で返しているとか、ここは繋げているとか)。意識すればするほど演奏の質が上がるし、意識すればするほどあとから変更することが簡単になる(無意識にやっていることをやめるのは難しいが、意識してやっていることをやめるのは簡単だから)

☆メロディの音に迷う場合は、今の自分はこちらの音で弾こう、と決めて弾いていく。違うと思ったらあとから変えればいいし、別に違っていても問題はない。「メロディがわからないから」という理由でその曲を弾かない方がもったいない。

このようなことを考えながら、曲をコピーするようになりました。

もしかしたら人によっては、「そんなにテキトーにやったらいけない」と言うかもしれませんが、やらないよりは少しずつでもやっていった方がいいと私は思っています。人それぞれ、ペースも違います。

弾ける曲の数を他の人と競う、ということは全くもって無意味ですが、自分が弾きたい曲に気軽に挑戦できるように、自分の考え方や曲への接し方を変えることは有意義ではないかと感じています。

この他にも思ったことがあったのですが、それはまた次回書きたいと思います。

花粉が舞う季節ですが、皆さまもどうぞお元気にお過ごしください。