HPを始めた頃にブログでよく書いていた内容なのですが、あらためて書いてみたいと思います。
私のこれまでのスウェーデン滞在歴と、スウェーデンのどんなところに興味を持ったか(私が何を考えていたか)、についてです。
私の場合、スウェーデンで好きなところは山ほどあげられるので、ここに書いたことは氷山の一角です。自分としては1000万分の1以下くらいの量に削って書きました。
お楽しみいただけましたら、幸いです。
最初の留学がすべてのはじまり
私はもともと、スウェーデンの伝統音楽やニッケルハルパを知るよりも前から、スウェーデンに興味がありました。
最初のきっかけは大学3年生の時の留学です。
もともとは留学自体に興味の無かった私ですが、ふとしたことがきっかけで留学に興味を持ち、1年生の秋から準備しはじめ、3年生の秋、スウェーデンのルンド大学へ行きました。
そこで経験したスウェーデンの生活、文化、人々の考え方のおおらかさ。自然体であること。
本音で話しているのに、ちゃんと相手への思いやりも持っていること(合理的な考え方をするのに、周りの人の繊細な気持ちの変化にも気づけること)。
経験する何もかもがおもしろくて、スウェーデンの人たちの心の豊かさや価値観は、自分には無いものばかりだと思いました。
人は周りの人の価値観に影響を受けると言いますが、私はスウェーデン人の価値観にもっと影響されたいと思いました。この国のことをもっと知りたい、スウェーデン語で、と思いました。
演劇学科でスウェーデン人たちに混じって過ごした2年間
ルンドから帰り、早稲田大学を卒業後、私はスウェーデンのブレーキンゲにある国民高等学校の演劇学科へ留学しました。
当時私はとても演劇に興味があって(恩田陸の小説などの影響で)、でも日本では経験したことが無く、観に行くだけだったのですが、「芸能人」や「芸能界」などのくくりがほとんどないスウェーデン人たちが、演劇をどういう風に学び、組み立てるのかにとても興味がありました。
この2年間がまたとてもおもしろくて、ルンド大学と比較にならないほどこじんまりとした学校での学校生活で、スウェーデンのことをより一層身近に感じ、ますますスウェーデンが好きになりました。森もサウナも湖も何度も行きました。
スウェーデン語も少しずつわかるようになりました。
普通、私のようなスウェーデン語がわからない外国人が演劇学科に混じっていたら、周りの子は嫌だろうと思うのですが、クラスのスウェーデン人たちはとてもやさしく、”言語もよくわからないのに演劇を学びにくる”という、私の「無謀な勇気」をとにかく買ってくれました。
わからなくても、とにかくなんでも「参加する」と言うとそれだけで喜ばれて、とりあえずやってみるだけですごく応援してくれ、色々なことに挑戦させてもらいました。
その2年間の終わりにたまたま受講したサマーコースでスウェーデンの伝統音楽とニッケルハルパに出会いました。
その時はシンプルなメロディに好感を持ち、先生でニッケルハルパ奏者のEmiliaの演奏が美しく、興味をひかれるくらいで終わったのですが、日本に帰ってきてから「ニッケルハルパ」と検索して出てきたレソノサウンドのニッケルハルパ教室でニッケルハルパを習い始めました。自分でも楽器を練習し、2018年の秋に伝統音楽のことを学ぶため、ニッケルハルパの伝承地ウップランド地方にある学校「ESI」に留学しました。
伝統音楽漬けの1年間。伝統音楽が楽しまれる土壌を知る
ESIでの1年間は伝統音楽漬けの毎日で、キッチンで皆で週末にごはんを食べる時にも、誰かの伝統音楽のCDをかけたり、皆で歌を歌ったりしました。
また、学校が位置していた場所がニッケルハルパと関わりの深い場所の1つだったこともあり、地域で開かれるセッション、ちょっとしたお祭り、コンサート、地元の人との交流、楽器の製作家との交流などを通して、伝統音楽が地域でどのように楽しまれているのかを体験し、知ることができました。
スウェーデンでは夏至祭が有名ですが、伝統音楽やフォークダンスをやっている人達にとっては、夏至祭的な感じで夏の間中楽しめる、各地のイベントがあるんです。Spelmansstämma(スペルマンスステンマ、通称ステンマ。意味は「演奏家たちの集まり」)です。
ステンマでは、夏至祭のような料理こそ食べませんが、一日中音楽を野外で好きに演奏し、名前もよく知らない人とセッションをしまくり、フォークダンスやコンサートも夜通し(大きい木造の建物で)楽しまれ、夜は野外のテントで眠ります。これを1日~4日間くらいやる、というものです。6月~8月にかけて各地で開催されます。
これがまた、特別で、印象深い思い出です。こんなにたくさんの人が伝統音楽やフォークダンスを楽しんでいるんだな、と思います。
伝統音楽を通して経験したスウェーデンは、私がルンドやブレーキンゲで経験したスウェーデンと根っこの部分は全く一緒でした。
それに加えて、伝統音楽だからこその色の濃さ、歴史の深さ、人々の生活に根差した伝統文化、みたいなものもすごくありました。
伝統音楽もニッケルハルパも、音楽自体の良さがもちろんあるのですが、それだけではなく、私は伝統音楽が楽しまれる土壌や背景が、音楽と一緒にまるごと好きだと思いました。
そして、その文化を私の中にも持ちたいし、他の人とも共有したいと思いました。伝統音楽を好きな人達の熱量と自然さは、私の気持ちを後押ししてくれました。
最初にルンドに留学した時に、「スウェーデン人の価値観に影響されたい」と思ったのと一緒で、私はスウェーデンの人や文化から、インスピレーションや考え方のヒントを今でも常にもらっています。
演奏活動を通して、私はそんなスウェーデンの人たちの姿、文化、生活、考え方などをお伝えしたいと思っています。
…という感じで、私なりに1000万分の1以下くらいにおさめて書いてみました。
私、「普段はMC用に原稿を書くのだ」とブログに何度も書いていますが、それは普通に話すと言いたいことが多すぎて、長時間いつまでもだらだらと語ってしまうからだと思います。
言いたいことを短くまとめるのはとても難しいし、そもそも何を言いたいのか、自分でわからない時も多いです。
演奏前に悩んで悩んで、逆算して、本当大切なことだけキーワードにして、原稿にするのは、やっぱり必要だなと(今回ブログで書いてみて)あらためて思いました。今回書いている内容も、今まで何度も色々なところで言ってきた内容ですが、書く度に、より適切な言葉が出てくるような気がしています。
お読みいただき、ありがとうございました。