先日、「日本でニッケルハルパを弾くにあたって自分がぶつかってきた壁」みたいなものについて書いたのですが、それに関連して思ったことがあったので、書いてみます。
先日書いた記事↓
同じ楽器をやっている=皆同じグループ、ではないし、相手と自分は全然違う
自分が感じてきた閉塞感を隠さずに、この楽器の魅力を伝えていきたいと思った
自分の留学経験を他人と比べてしまっていた(かもしれない、と気づいた)
私は今まで3回(4年間)スウェーデンに留学していたのですが、正直、「前情報が無い」「他の人が経験していない」ような留学の時が一番刺激的だったんですよね(笑)
それで言えば、おそらく演劇学科への留学(2回目の留学)の時が一番そうだったと思いますが。
前情報がないと、自分が経験したことを人と比べることができないので、「自分の経験がすべて自分目線で入ってくる」という感じで、すごく良かったんです。比較対象がいなかったので。
私の場合は、結果的に演劇そのものは今続けていないのですが、あの時の「自分の経験が100%自分のものになる」感覚はとても良かったし、好きだったなあと思っています。
それで、ニッケルハルパで留学した時(3回目の留学)は、それまでの留学とは違っていて、かなり「前情報」が自分の中に入ってきている状態でした。
サマーコースも含めて、過去に留学したことのある人が何人もいるような学校でしたし。
「他の日本人」の存在を、留学前からすでにかなり意識していたと思います。
だからでしょうか、なんとなく「色が薄まってしまう」ような感覚があったんですよね。
自分が体験していることが、100%自分のものにならない感覚、というか。
前の留学の時みたいに、「自分の経験に常に一喜一憂している」というよりは、「どこか遠くから自分を見ている感覚」みたいなものがありました。
(演劇学科の時も、1年目はすごく刺激的でしたが、2年目は若干そういう感じだったので、私自身の慣れもあったと思います)
当時はそれが何なのかわからなかったのですが、今思えば、他人との比較をしてしまっていて、「他の人と比べて私の留学は何点なのか?」みたいなことを無意識に考えていたような?気がします。
自分の留学経験をあらためて発見し直す
それで私が最近やろうと思っているのが、「自分の留学経験をあらためて自分視点で思い出す、発見し直す」ということです。
もう結構忘れていることだらけなんですけど(笑)
他人と比べるのではなく、自分だけの「唯一無二の留学経験」として、自分が体験したことをもう一度思い出してかみしめることで、当時の経験をもっと色鮮やかに、自分の中で確かなものにできないか?と思ったんです。
「自分の経験してきたことに自信を持つ」という感じですかね。
留学自体はもう終わったこと(過去のこと)なんですけど、当時のことを「今、どう定義づけるか」で、思い出や経験ってかなり変わると思うので、私は私の経験してきたことを、私だけの思い出として、大事にしたいと思いました。
(そもそも、同じ所に留学していても、皆さん違う経験をしていて当然なので、私に限らず誰の経験も全部違うはずなんですよね)
色々な人との出会い。楽しかったことも、大変だったことも、「なんで私が逆ギレされなきゃいけないんだよ~」と心の中で思ったことも(笑)、色々ありましたし、ニッケルハルパや伝統音楽のことで学んだこともたくさんありました。
先生が話してくれたエピソードも、教えてくれた曲もたくさんあって、それらを「数ある留学経験の1つ」ではなくて、私だけの絶対的な思い出として、自信を持って覚えておきたいなと思ったんです。
自分の感じる「楽しい」「好き」に自信を持って良い
演劇学科に留学した時は、本当に演劇初心者だったので、「井の中の蛙」状態で、ある意味無敵だったんですよ(笑)
その先に行こうとは思わなかったし、大海を知ろうと思わなかったんですけど、でもすごく楽しかったです。
(この「楽しかった」の感覚は、ずっと持っていたいと思っています)
ニッケルハルパは、以前書いたように日本で閉塞感を感じたり、今もまだそれを引きずっていたり、困難な状況を感じたりしてきましたが(周りのせいではなくて、あくまでも自分の中で)、それでもこの楽器を続けたいし、もっと知りたいと思っています。
なので、どうしたらもっと自分がのびのびと、自由に、この楽器と音楽の魅力を楽しんでいけるかな、ということを考えています。
あらゆることを自分視点でとらえ直したいんですよね。
何かを「楽しい」とか、「好きだ」と思う気持ちって、他人と比べるものではないのですが、それでもつい比べてしまうことがあります。
そうすると自分の感じる「楽しい」「好き」に自信がなくなったり、これで良いのかな?と思ったりして。自分は本当にこれが好きって言えるんだろうか?好きって言って良いんだろうか?って思うのですが。
(大学でジャズサークルに入った時も、この感覚をめちゃくちゃ抱いていて、それで結局燃え尽きて辞めてしまいました)
でも、誰であっても、自分の「楽しい」とか「好き」という気持ちに、自信を持っていて良い、と今は思っています。
そこにかける熱量とか、かける時間の長さとか、知識量とか、そういうものは関係ないし、そこで人と比べなくて良いと思います。
自分はいったい何が好きなのか、何を楽しいと思うのか。
それは自分にしかわからないことです。
そういうことをあらためて見つめ直しながら、この楽器と音楽とも真正面から向き合っていきたいなと思っています。
留学経験に対して、今自分が思っていることを書いてみました。
これって留学だけではなくて、あらゆる自分の経験に対して言えることでもあるな、と思います。
自分を主人公にする、みたいな感じですかね。
私は私なりの方法で、楽しく音楽をやっていきたいと思います。