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「17分でわかるスウェーデンの伝統音楽」の動画の内容紹介②(歴史)

/ ニッケルハルパ奏者

昨日に続き、「17分でわかるスウェーデンの伝統音楽(Svensk folkmusik på 17 minuter)」という動画(スウェーデン語)の内容紹介をしていきます。

昨日の記事→「17分でわかるスウェーデンの伝統音楽」の動画の内容紹介①(伝統音楽の紹介・役割)

動画

昨日は伝統音楽(Folkmusik)の紹介・役割についての解説でした。

今日はその続きから(7:48~)です。動画もそこから再生するようにしてあります。

内容紹介

(今回は小見出しだけは私がつけました)

歴史(Historik)

ロマン主義の時代

現在私たちが「Folkmusik(伝統音楽/民族音楽)」と呼んでいる音楽は、16~19世紀(1500~1800年代)にかけては「ポピュラー音楽(populärmusik)」だった。人々はこれを好み、演奏し、ダンスを踊った。

「Folkmusik」という概念が初めて使われれるようになったのは、19世紀(1800年代)、ロマン主義(Romantik、1800-1920)の時代のこと。

当時は、古来の農耕社会が消滅しつつあり、工業化の波が押し寄せてきていたことから、その土地の(ローカルな)歴史や伝統文化を守ることが重要になった。

Anders Zornの働きかけ

芸術家Anders Zorn(アンダーシュ・ソーン、※Zはザ行ではなくサ行の発音)は、当時のジャーナリストや発見家、芸術家らとともに村々を訪れ、インタビューをしたり、伝統文化や古い慣習、音楽、民族衣装、ダンスなどを、録音したり描いたりした。

古く美しいフィドルの曲は、20世紀のFolkmusikにおいて大きな割合を占めることになるアコーディオンなどの新しい音楽に、追いやられそうになっていたのだ。

さて、Zorn(ソーン※さっき出てきた人)の話に戻ろう。

Zornは、「古い伝統は保存されるべきだ。忘れ去られることのないように」と言った。

20世紀初めには演奏家のコンテスト(tävlingar)が開催されるようになった。これらはのちに「ステンマ」(spelmansstämmor=演奏家の集まり)と呼ばれるようになる。

様々な組織(集団)も作られた。(Spelmanslag、Folkdanslag、Hembygdsföreningar、Hemslöjdsföreningarなど)

これらの働きかけにより、伝統文化は本として保存され、どんな曲を、どのように人々が演奏してきたのか、どんなダンスを踊ったのか、どんな歌を歌ったのか、などが見てわかるようになった。

その後~1960年代

そして時とともに、スウェーデンでの音楽は理想化された。

(伝統音楽関係の)たくさんの絵画やハガキ、民族衣装が、人々に「膝の飾り(Knätofs、※男性の民族衣装の膝についている飾り)」を印象づけた。

多くの人が、伝統音楽を少し高尚なもの・厳かなものと考えるようになった。

1960年代になり、レコードやTVが登場。それにより、色々な人が音楽のジャンルで実験をするようになった。

1964年、まったく新しい音楽が登場した。「Jazz på svenska」だ。ジャズのタッチによるピアノでのスウェーデン伝統音楽の演奏だ。

(※「Jazz på svenska」…ジャズピアニストJan JohanssonによるCD。スウェーデンではとても有名なCDで、当時の世の中にかなりインパクトを与えたらしいです。特に動画で流れているこの演奏は、TV番組などでもよく使われます)

伝統音楽ブーム(Folkmusikvågen)

1970年代の「Folkmusikvågen(伝統音楽ブーム)」と呼ばれるものの影響により、伝統音楽はさらに盛り上がりを見せる。

商業的な文化の消費の代わりに、多くの人が自分たちで演奏やダンスを始め、たくさんのグループ(バンド)が作られた。

1980年代にはCDも登場し、このブームもさらに続いた。海外音楽やジャズからの影響を受け、そして管楽器や打楽器といった新しい楽器も使われるようになった。

1970年代から、伝統音楽と結びついた「ワール・ミュージック(världsmusik)」の考えが存在していて、ジャンルや文化の境界線をなくしていく動きがあった。これは「Folk och världsmusik」と呼ばれた。

その後も、伝統音楽は様々なブームを起こす。

たとえば、「フォーク・ロック」(folkmusikとrockの融合)だ。

(※ここで様々な音源が流れる)

また、伝統音楽の「聞く」ための音楽という面も磨かれ、「役割」としての音楽だけではなく、「コンサートの音楽」にもなり、高等教育機関(大学など)での伝統音楽のコースもいくつも創設された。

こんにちでは、クラシック音楽と伝統音楽との聞き分けがほとんどつかないくらいだ。そしてまた、ワールド・ミュージックも、より美しいものになっている。

たくさんのCDが売り出され、伝統音楽がポピュラー音楽にもなっている。

しかし一方で、トラディショナルな曲や、役割(機能。※前回の記事で紹介したもの)も残っている。

一般の人々はキッチン(ダイニング)に座り、日常の中で伝統音楽を演奏するか、ダンスの演奏をする。

音楽配信サービスにすべてがあるわけではない、ということを覚えておいて。

人を訪ね、演奏家から直接曲を教わることも大事なのだ。

(今回はここまで。~13:28)


あともう少しなのですが、最後までやると長いのでここで一旦切りたいと思います。

今回は伝統音楽の歴史についてでした。

18世紀まではFolkmusikという名前では呼ばれていなかったけれど、19世紀のロマン主義の時代にそう呼ばれるようになり、その後も様々な展開を見せた、ということでしたね。

また、Anders Zorn(この人はよく「Zorn(ソーン)」と名字で呼ばれます)は伝統音楽をやっているとよく聞く名前なので、今回こうして登場してくれて良かったです。

歴史の話になると、私は若干眠くなりがちなのですが(笑)、動画では大事なところだけかいつまんでまとめてくれているように思います。

では、また明日。