昨日の続きです。②と書いておきながら、すでに何を書いたら良いのかわからなくなってきましたが、私がやったことを順番に書いていきたいと思います。
昨日の記事→CD制作の道のり①(録音で準備したもの・参考にしたページなど)
1.(機材をそろえたら)録音してみる
昨日書いたような機材をそろえたら録音をしていきます。
それぞれの機材については、私はどれもオーソドックスなものを選んでいたので、ネット上に取扱説明書や使い方、録音の仕方、注意点などが出ていることが多かったです。「使ってみた」動画とか。
そういったものを一通り見て、やり方を学んでから実際にやってみました。
基本的・初歩的なことに気をつける
ここで一応気をつけたこととしては、録音を普段からしている人にとっては当たり前のことかもしれませんが、たとえば「マイクのプラグの抜き差しの順番」といった基本的なことです。
マイクは、(私が使っている物は)オーディオインターフェースから「電源」を供給しているのですが(ファンタム電源48V)、この電源が入った状態でマイクのプラグを抜き差しすると良くないそうなので、「必ず入り/切りのスイッチを確認して、切れている状態で抜き差しすること」とか。
そういう初歩的な注意事項をなるべく先に頭に入れてから、録音を始めました。
録って、気づいたことに対策。また録って…
実際に録音してみると、気づくことがあると思うので(マイクとの距離感、雑音の入り具合、部屋の響きなど)、対策できそうなものは対策して、何度も録ってみました。
(雑音や部屋の響きに関しては、雑音が出がちなものに布やダウンジャケットをかぶせたりしました。私の部屋の場合は物が少なくて変に響きすぎたので、あえて布製品をいっぱい持ってきて部屋に並べたりとかもしていました)
また、私が使っているマイクによくわからない切替のスイッチが入っているのですが、そのスイッチをONにするとプツプツ…という雑音が入ってしまうので、OFFにした方が良いぞ、とか。そういうこともやりながら覚えていきました。
マイクに慣れる
あとは、「マイクに慣れる」ことも大事だな、と思っています。
私自身は、マイクに慣れたのは本当に最近、10月後半に入ってからと言っても良くて、それまでは「マイクの前で弾く」というだけでプレッシャーや緊張を感じていました。特に、「マイクとの距離感」をすごく気にしてしまって、リラックスして弾けなかったんです。
(マイクに音を入れようと思うと、マイクに楽器を近づけすぎて弾きにくい。かといって、弾きやすさを優先するとマイクから遠ざかりすぎる、という)
最近はマイクに楽器を近づけつつ、自分の弾き方をすることが少しずつできるようになってきたので、その方がミスも少なく、音もリラックスしていて良いなと思います。この辺は慣れるしかないかなと思います。
2.プレス会社を色々見てみる(データの入稿方法を知る)
同時進行で、CDのプレスの会社を色々見てみました。
ネットで見るだけなら無料なので、色々な会社のものを。
値段などを比較するのはもちろんなのですが、私が見ていたのは「データの入稿フォーマット」や「注意事項」です。
どの会社もだいたい入稿方法が同じような感じだったので、「どの会社にするにせよ、この辺をクリアすればいけるのかな?」というだいたいのあたりをつけながら眺めていました。
音源はとりあえず録音してどうにかするとして、問題はジャケットのデザインです。
どういう風に作るのかが全くわからなかったのですが、どの会社もAdobeの「イラストレーター」か「フォトショップ」での入稿らしく、それらのフォーマットが会社ごとに提供されています。
試しに、良さそうな所のフォーマットをいくつかダウンロードして、(遊び感覚で)いじってみることにしました。
3.イラストレーター等を使ってみる
イラストレーターもフォトショップも今はサブスク利用しかなく、結構お金がかかってしまうのですが、今後何かで使うかもしれないし、とりあえずやってみよう!と思いました。
(私はイラストレーターでやることにしたのですが、あとからフォトショップも少し必要になり(写真のサイズや色、解像度を変更する関係で)、両方使いました)
イラストレーターは人生で初めて使ったので、最初は使い方が全然わからなかったのですが、「CD会社のフォーマットもあるし、とりあえず遊びでやってみよう」と。
なんとなく遊びでやっていたら、少し形になってきたので、本番用にちゃんと作り始めて、わからないことがあればネットで調べて、やってみました。
プレス会社の「注意事項」が役に立つ
その際、各プレス会社の「注意事項」(文字をアウトライン化してください、画像は埋め込みにしてください、総インクは300%以下にしてください、等)がとても役に立ちました。
私がお願いしようとしている所はそこまで色々注意事項は無いのですが、特に大手は、入稿データの条件(こうしてください、というもの)が厳しく事細かに書いてあるので、それらの意味ややり方を調べて、なるべく自分のデータも、そういう条件に沿ったものになるように反映させてみました。
私は基本的にわからないことだらけなのですが、わからないということは学ぶことがたくさんあるということでもあるので、こうやって1つずつ学んでいって、できることを増やすのは楽しいなと思いました。
条件を1つずつクリアするのも、面倒くさいといえば面倒くさいですが、そうすることでエラーが1つでも減るなら良いなと思いましたし、次また同じことをする際に使えるのは良いな、と。
できないことって、やらないでいるととにかく「怖い」んですけど、いざやってみたり、機能を使ってみたりすると、そこまで怖くないことに気づけるので。
4.ミキシングなどをする
音の話に戻ります。
録音したら、今度はそれらのミキシング(音の調整)をします。
イラストレーターでのデザインは、私は自分へのハードルがあまり高くなかったので、結構すんなりといき(といっても時間は多少かかりましたが)、「問題は音源だな」と思いました。
機能の使い方を知るところから
このミキシングの作業(と録音)が一番時間がかかりました。
何が大変かというと、まず「ソフトの使い方がわからなかった」ことです。
イラストレーターに関しては、私は「初歩的な機能が使えればそれで良い」という多くを望まないスタイルだったので大丈夫でしたが、音の方に関しては「もっとこうなったら良いのに」みたいなことが多く、でもわからないことだらけ。
解説動画やホームページもあるのですが、「機能の使い方を知る」だけでは足りなくて、結局のところ「自分の録音したものに対してそれを使うとどうなるのか」みたいなことを、自分で実行して確認しないといけないんですよね。
なので、「そういう機能があることを知る」→「実際に使ってみる」→「使ってみた時と使っていない時とで比較してみる」→「使い方のバランスを色々変えてみる」→「最終的に使うか使わないか判断」といったプロセスを地道に繰り返しながら判断していきました。
機能の使い方を知ることと、使いこなせるようになることは別なんですよね。
そうやって機能のことを学んで、最終的に使わないと判断したものもいくつかありますが、結局のところシンプルな形に落ち着けられたのは良かったかなと思います。
比較・検討に時間がかかった→最終的には録り直し
また、ミキシングで一番時間がかかったのは、とにかく「比較する」「悩む」という時間でした。
同じ音源に対して色々アプローチをして、条件を少しずつ変えたものを全部聴き比べしたりしていたので、それでどんどん時間が経っていきました。
そして思ったのは、「ミキシングで色々やらなければいけないと思う時ほど、録音し直した方が早い」ということです。元も子もありませんが。
ミキシングではどうにもならないことが残念ながらあるのですが、「その悩みを踏まえたうえでもう一度録音する」ことで、より良い演奏が録音できて、悩みが多少解決できたりしました。
さきほど、「最終的にはシンプルな形になった」と書きましたが、それはミキシングと録音を繰り返したことで、結果的に録音の演奏そのものが良くなったからかなと思っています。
5.他のCDを聴き比べする
これは私が趣味でやっていたことですが、色々なCDや音源を聴き比べて、参考にしていました。
たとえば、曲の初めと終わりの「無音の秒数(の感覚)」とか、「音の大きさ」とか。
聴き比べていて思ったのは、「CDによって、無音の秒数も音の大きさもバラバラなんだな」ということです。
特に音の大きさに関しては、自分の思い込みもあったので、「これって意外と音量が小さいんだな」みたいなことがありました。
ニッケルハルパ奏者のCDに関しては、音質やミキシングの感じなども参考にしました。
あまり聴き比べしすぎるのも良くない(自分はあくまでも自分)
一方で、あまり他の方たちのCDの音質と自分の録音を比べすぎるのも良くないなとも思いました。
というのも、皆さんのCDが素晴らしすぎて…。
それらと同じ土俵に立たなくてはいけないと思ってしまうと、ここから先に行けないぞ、と(笑)
なので、自分はあくまでも自分、自分にできる範囲でやると良いな、と思いました。
ミキシングは、今回のプロセスの中で最も悩んだ部分ですが、最終的には「自分が今持っている機材と技術でできることをする」しかありません。
「録音で録れた音」が基本軸であり、あくまでもそれに寄り添うかたちで、少しだけ聴きやすくする…そんなつもりでミキシング等もやってみました。
私はおそらく、今回のCD全体を通して「素朴さ」を出したいと思っている(たぶん)ので、素朴な感じで調整していると思います。
【ミキシングに関しては以前も雑談的にチラホラ書いていますので、もしよければ↓】
ミキシングの話。「スウェーデン人演奏家の好むミキシング」と、「日本人に受け入れられやすいミキシング」ってあるのかな?聞き比べてみよう~(10/11)
ミキシングの話2(聞き比べの続き)(10/12)
リバーブの話(10/15)、イコライザーの話(10/16)、ニッケルハルパとコンプレッサー(ミキシングの話)(11/18)
やって良かったこと:人に話した
これは補足ですが、CDを作っていることを10月くらいから色々な人に対してお話しするようにしていました。
私はもともと秘密主義で、基本的には何かやり始めても「結果が出るまでは誰にも言いたくない」派だったのですが、こうして数年前ブログを書き始めたこともあり、「途中でも良いからオープンに言ってみよう」と思って。
その結果何が起きたかというと、他の人とのちょっとした雑談から、自分の気持ちが変わったり、「え、それったやった方が良いのかな?」と不安になって調べる機会につながったりして、結果、人に話して良かったな、と思いました。
もちろん相手は選んだ方が良いというか、親しい人や関係者の方、理解のある方が良いとは思いますが。
人に話して、たとえばその人からアドバイスをもらったとして、別にそれを実行しなくちゃいけないわけではありません。
「アドバイスをもらったけど、やらないことに決めた」というのも、「やらない理由があることを自分で確認した・確信した」ことになるので、良いんですよね。
あと、人に話すと、「話しちゃったから、本当にやらなきゃヤバイ」という気持ちにもなるので、自分の背中を押すのにも有効です。
という感じで、CD制作の道のりを私なりにまとめてみました。
本当はもっと書くことがあるはずなのですが、ちょっと忘れてしまって…(笑)昨日書いた機材の話も、当時はめちゃくちゃ調べまくって悩みながら1つ1つ買ったのですが、半年以上前の悩みって忘れてしまいますよね。
そうやって悩みは色々忘れながら、次、次!という感じでやるべきことをやっていきたいと思います。
では、お読みいただきありがとうございました。参考にしていただけましたら嬉しいです。
