ニッケルハルパ製作家として非常に有名な「Esbjörn Hogmark(エスビョン・ホーグマルク)」という人がいるのですが、彼の特集動画(密着動画)を見たので、今回はそちらをご紹介したいと思います。
Esbjörn Hogmarkとは?
最初にエスビョンについて軽くご紹介です。
有名な製作家(製作家として/製作家をつなげる人物として)
エスビョンは、ニッケルハルパの製作家に興味のある方だったら必ず知っているような人物です!
今のスウェーデンの製作家の方々の中でも「最高峰」と言われているのではないでしょうか。
「作り手」としてはもちろん、「製作家向けのセミナー」を開催したり、「コンテスト」の開催(順位を決めるのが目的のコンテストというよりは、製作家の方々のモチベーションを上げるためのコンテスト)をしたり…
「製作家どうし」をつなげたり、ニッケルハルパに関する交流を作ったり、私の留学先でも生徒の皆を自宅に招いて製作について紹介するなど、「ニッケルハルパ関連の人どうしを繋げる役割」も果たしてきた方だと思います。
数年前にユネスコの「無形文化遺産」にニッケルハルパ(をめぐる伝統やネットワーク)が登録されましたが、その際もかなり尽力されていました。私が留学した年に、早々にエスビョンが学校にやってきて授業をしてくれたことがあったのですが、「ユネスコの登録のために今自分がどんなことを頑張っているか」を力説していて、「へー」と思いながら聞いていました(当時の私はあまり興味が無かったのですが…)。
いつもオープンな方で、ご自宅の作業場も製作中の生徒や弟子に開放しており、「常に誰かの訪問を受けている」という印象がありますね。
(製作家だけではなく、演奏家の訪問も多い。楽器の不具合などすぐに見てくれるような気がします)
スウェーデンのプロのニッケルハルパ奏者の中でもエスビョンの楽器を使っている方は多く、日本でも使っている方が何名かいらっしゃいます。
(もちろん他の製作家の楽器を使っている方もいらっしゃいます。奏者の皆さんの使用楽器については、CDを出されている方はアルバムに書いてありますので、ぜひご覧ください)
楽器を注文したら、おそらく数年待ちなのではないでしょうか?(人気の製作家や忙しい製作家の方は、数年待ち(5年以上)も普通だったりします)。私はエスビョンに注文したことが無いのでわかりませんが。
年齢の割にかなり元気で、少なくとも私が留学していた時は、「ランニングを日課にしている」と言っていました。
そんな感じの方です。
「Nyckelharpa Luthier Esbjörn Hogmark」(2025.10)
動画はこちらです。全編英語です!
スウェーデン、ウップランド地方のÖrbyhus(オルビヒュース)のご自宅での撮影。
最初はご自身による演奏から。
0:16~のテラスの柵(という日本語で良いのかわかりませんが)がニッケルハルパの模様になっているのが見えますでしょうか?おもしろいですよね。確かご本人が建てたお宅だったと思いますが。
おうちがかわいいです。
あと、どうでも良いですが、このカメラの画質がとても良いですね。私もエスビョンのご自宅をスマホで撮ってあるのですが(さすがに個人宅なのでSNSなどには出していないと思いますが)、こんなきれいな画質では映っていません。
演奏の後、ニッケルハルパについて紹介しています。
ざっとまとめると、こんな感じ。(詳しくは動画でご覧くださいね!)
この楽器は、このウップランド地方で400年ほど弾かれてきた(→つまり1600年代、17世紀頃から弾かれてきた)。
当時は、200年前においても、「楽器」と言えば(ウップランド地方には)この楽器しか無かった。アコーディオンやバイオリンは無かった。それらが入ってきたのは1900年代の初めの頃。
その後(新しい楽器が入ってきて以降)、この楽器は途絶えかけたけど、Eric Sahlströmが楽器の構造に色々変革を起こし、ドローンの響きを少なくし、より現代的な楽曲に対応できるようにした。彼のおかげでこの楽器が現代まで生き残った。
今日では、この楽器は世界中に広まっている。
私は彼と一緒に過ごした。彼が突然亡くなった後、彼の基金を作り、彼の名を冠した学校を作った。
「アコーディオンが後から入ってきた」というのは、スウェーデンの他の地域にも共通して言えることですね。
以前、「フロム・オッレ」というヘルシングランド地方の演奏家を主人公とした劇の動画を、私が勝手に解説した記事を書きましたが、その劇中でも、「村にアコーディオンや新しい音楽が入ってきて、フロム・オッレのフィドル演奏がどんどん追いやられてしまう」という場面がありました。
ただ、他の地域では、「フィドル」が早い時期から演奏されており、アコーディオン等が後から入ってきたそうですが、ウップランド地方の場合は、「フィドル自体の流入も遅かった」(と言われている)ことが大きな特徴ですね。
フィドルの流入も遅かった分、ニッケルハルパがよく弾かれていたみたいです。
さて、今回は動画が英語なので、特に内容は解説せずに動画をご紹介して終わりにしようと思ったのですが…
せっかくなのでもう少し内容を一緒に見ていきたいと思います。
というわけで、明日に続きます!
エスビョンの特集動画をご紹介しました。
明日の続きもぜひお楽しみに♪
