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Källunge(シェッルンゲ)教会のレリーフについて②

/ ニッケルハルパ奏者

前回の①に続き、「ニッケルハルパらしき楽器が見られる最古の例」として有名な、シェッルンゲ教会のレリーフについて見ていきたいと思います!

★①はこちら→Källunge(シェッルンゲ)教会のレリーフについて①

(※前回と重複しますが、一応記事の主旨を説明させていただきますと…このレリーフに刻まれているものがニッケルハルパかどうかは誰にもわかりません。ただ、このレリーフの存在自体が有名なのと、それなのに私はこのレリーフや教会について何も知らない!ということに気づいたので、「ちょっと知ってみよう」ということでこの記事を書くことにしました)

レリーフは教会のどこにあるのか?

前回の記事で、Wikipediaの引用可の写真をお借りして、教会の様子やレリーフについてご紹介しました。

まず、教会はこんな感じでした↓

Wolfgang Sauber, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

そして、該当のレリーフの写真がこちらです↓2人の音楽家が何かの楽器を演奏していて、特に「向かって左側の人」が演奏している楽器が、ニッケルハルパに似ているかも?と言われているかなと思います。

Bene Riobó, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

(ちなみに、Wikipediaの写真を引用する場合は、引用可かどうかを確認したうえで、このような↑ライセンスのクレジットとリンクをつけるのが必須だそうです。これで合っているのか私も少々不安ですが…。一応調べて書いてみました)

…で、「このレリーフが教会のどこにあるのか?」という話でした。

どこにあるのか、検討はつきますでしょうか?

ここにあります

まず、入口みたいなものが2つ見えると思うのですが、左側の入口の方(小さい方)を見てみてください。

Karl Brodowsky, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

その左側の入口を正面から見ると、こんな感じになっています↓

Arkland, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ここまで来ると少し見えてきたかも(?)しれないのですが、ドアの横に左から右にかけて、ずらっと何かが彫ってありますよね。

その右側部分の真ん中あたりに、ニッケルハルパらしき楽器を演奏する音楽家たちのレリーフがあります。

こちらの動画がわかりやすいかもしれないので、動画もぜひご覧ください↓スウェーデン教会の動画です。

スウェーデン語なのであれですが、特に0:52~をご覧いただくと、位置関係がわかりやすいかなと思います。

(※ちなみに、この動画の解説者の方(教会に詳しい方だと思いますが)は、レリーフの楽器がニッケルハルパであると信じて色々解説してくださっているのですが、ニッケルハルパに詳しい人からするとツッコミどころがある内容な気もするので(すみません)、お話の内容についてはあまりふれないでおきます)

このレリーフ、相当削れたり欠けたりしている感じがするのですが、こんな建物の外壁に700年も存在していたら、そりゃ削れるよなあ~と私は思いました。

これらのレリーフ…「一般の人々の日常生活」を描いたもの

教会の動画でも解説されていますが、音楽家たちだけでなく、他のレリーフを見ても色々とおもしろいみたいです。

たとえば、テーブルの上でサイコロを使ってゲーム(賭け事?)をし、ケンカになっている男性2人、とか(1人はナイフを手に持っている)。

他にも様々な人々の様子や、ヤギも彫られていてかわいいですね。

こちらのレリーフは、教会にしては珍しく、宗教的な人物よりも「中世の一般の人々の日常生活」が刻まれたものになっているのが特徴的で、とてもユニークなものなんだそうです。

その一般の人たちの中に、楽器を演奏している音楽家たちも入っているんですね。

てっきり「天使のレリーフ」だと思っていた私

ニッケルハルパの歴史の話でよく出てくるのが、「ウップランド地方の複数の教会の壁画に描かれた、ニッケルハルパに似た楽器を演奏している天使の絵」です。

私はその「天使の壁画」とこの「レリーフ」がごちゃ混ぜになっていて、こちらのシェッルンゲ教会のレリーフも「天使のレリーフ」だと勝手に思っていました。

なので、今回調べてみて、「一般の人々の日常生活を描いたレリーフ」だと知って、「へえ~」と思いました!

(外国の文化について調べていると、言語の問題もあって、「思い込み」や「勘違いしていること」も、とても多いなと感じます。でも思い込みって、自分ではなかなか気づけないものなので。気づいた時に「へえ~」と思って、1つ1つ修正していけば良いかなと思っています)

レリーフに刻まれた一般の人々の生活=当時のスウェーデン人の生活、というのも少し違うかもしれない

そして、前回のヴィスビーの話でも書きましたが、ヴィスビーはドイツ商人をはじめとする様々な国籍の商人たちによって成り立っていたそうなので、教会を建てたのも、スウェーデン人というよりは「外からやってきた、それぞれの国籍・教派の人たち」(宣教したいと考えている人々)が中心だったのかな?と私は思っています。

なので、レリーフに刻まれた「一般の人々の日常生活」というのも、当時のスウェーデン人の生活というよりは、「教会を建てた人・レリーフを作った人たちの思う、一般人の生活」みたいなものだったかもしれません。

(この辺の話は、天使の壁画の話でもよく出てきます。「ニッケルハルパらしき楽器がスウェーデンの教会に描かれていたとしても、それは『壁画を描いた職人たちの出身地の文化』かもしれないので、スウェーデンの伝統と結びつけられるのかどうかは、また別の話」ということです)

シェッルンゲ教会について

最後に、シェッルンゲ教会について簡単にご紹介したいと思います。

かたつむりのような、ユニークな形←成立年代の違い、建築計画のストップ

この教会は、前回も少しふれた通り、3つの部分によって成り立っています。

塔(torn)と、廊下のような細長い部分(身廊、långhus←今回のレリーフが刻まれている入口の所)、そして広くて大きい部分(クワイヤ、koret)です。

これらの成立年代が少し異なっていて、塔(torn)と身廊(långhus)は、もともと12世紀のものだそうで、12世紀の教会というのは「小さめ」に作られるのが一般的だったみたいです。

それが、14世紀になり、大規模な改築が行われました。

14世紀の教会は対照的に「大きめ」のものが作られたということで、シェッルンゲ教会も最初はそういった大きな教会へと建て替えようとしたみたいなのですが、経済的な理由や、14世紀半ばのペストの流行、戦争などの影響で、クワイヤ(koret)が建てられた後、計画が途中で止まってしまいました。

なので、「大きなクワイヤ(koret)」に対し、「小さな身廊(långhus)と塔(torn)」という「カタツムリのような形」の教会になっていて、この新旧の建物の組み合わせが、シェッルンゲ教会を非常にユニークなものにしているのだそうです。

(おそらく建て替えが完了していれば、「身廊」も「棟」ももっと長く・大きくなっていたのではないかと思います)

身廊や塔も手が加えられている

そして、身廊も塔も、12世紀のままのものではなく、後から手が加えられているそうなので、それで身廊の入口にあるレリーフも「14世紀半ばのもの」と言われているんですね。

後から手が加えられているのが見てとれるのが、たとえば塔の窓の形、だそうです。

こちらの動画(1:38~)で解説してくれているのをそのまま書きますが、中世のゴットランドの教会建築は、「ロマネスク様式」と、その後身の「ゴシック様式」の組み合わされたものが一般的だったそうですが、窓の上の部分が丸いものはロマネスク様式、尖っているものはゴシック様式だと。

で、塔の窓を見ると、下の窓は丸い窓(ロマネスク様式)なのに対し、上の窓は先が尖っている(ゴシック様式)ので、上の窓がついている部分は後から付け足されたもの(→後から塔をより高くした)なのではないか、だそうです。

(※他の日本語のサイトで調べると、ロマネスク様式の窓の特徴は「小さい窓である」という説明もされるみたいです)

参考:Wikipedia「Källunge kyrka」

教会の中を見たい方は、こちらの動画も参考にどうぞ↓


ということで、「ニッケルハルパらしき楽器が見られる最古の例」として有名なシェッルンゲ教会のレリーフと、教会自体について、私なりにご紹介してみました。

私は教会や世界史について全然詳しくないので、何か間違えていたらすみません…気づいたら修正します(でも気づかなければそのままになりますが)。

今回調べてみて、私は「へえ~」と思うことがとても多かったです。イメージしていたものとだいぶ違っていて、少し親近感がわきました。

中世のレリーフと聞いていたので、もっと厳かな感じのものだと思っていたのですが、意外とさりげない所にあるんだな、とか。すごく田舎の方にあるんだな、と思いました。

ぜひ参考になれば幸いです!