自分の録音や動画を見て、ダメ出しばかりしたくなって、最終的に行き詰まることはありませんか?
私はとてもよくあります。
行き詰まってしまっても、その先に進まなくてはいけないし、ダメ出しばかりしていても演奏が縮こまるばかりだと、頭でわかってはいるのですけどね。
練習中は、自分で演奏方法の変え方(改善方法)が想像できるものは、変えて演奏してみて、方向性が良ければそれをしみこませるようにして…というのをやっていて、もちろんそれは必要なことですが、それだけを繰り返しているとだんだんと完璧主義に陥っていって、落としどころがわからなくなります。
ダメなのはわかっているけど、変え方(改善方法)が思い浮かばなくて途方に暮れたりとか。
「もっとこうしよう」が次から次へと出てきて、だんだんと、できていないところばかりに耳がいくようになります。本当は、その時点でできるようになっていることがたくさんあるはずなのですが。
永遠に埋まらないギャップ(=伸びしろ)
自分が「こうしよう」と思うものと、実際に自分がやっていることとの間には、大抵は大きなギャップがあります。
そのギャップを無視することはできないし、かといって完全になくすことも不可能で(何かが良くなっても、常に次の「もっと」が出てくる。なぜなら常に耳が肥えていくから)、ギャップを埋める努力をしつつも、それに捉われないこともまた必要です。
このギャップは伸びしろでもあるので、そういう意味では、常に、誰にでも伸びしろがあるということなのですが。
伸びしろと思えれば良いのですが、「まだまだダメだ」と自己否定しながら弾くのは苦しいし、自分の中での及第点が出ないまま、人生が終わってしまうのはもったいないので、どうにか考え方を変えることはできないか、と考えてみました。
思い浮かぶ解決法を試す
解決法として、私が思い浮かべるのは、例えばこちらです。
①自分の録音を聴いて、以前よりも良くなっているところをあえて探す
②自分がダメだと思っている箇所の見方(聴き方)を変える(「これも悪くない」と思ってみる)
①の「以前よりも良くなっているところを探す」というのは、以前ブログにも書いたかもしれません。
とても大事なことだと思います。
でも、「それでもどうしてもダメなところに注目してしまう」、「どうしても気になってしまう」、そして「自信をなくしてしまう…」という時もあると思います。私はありました。
また、②の「これも悪くない」と思ってみる、というのも良いかなと思ったのですが…。
率直に言うと、私自身は、それでも「どうしてもこれをどうにかしたい」と思ってしまう、ということに気がつきました。
「悪くはないかもしれないけど、やっぱりもっとこうしたい」というのがどうしても出てくるし、その気持ちを無視したり無かったことにはできない、と感じました。
「だって思っちゃうんだもん!」という感じです。
そんな時にどうすればいいのか、さらに考えました。
結論:自分なりの開き直り方を見つける(=楽しさと嬉しさにフォーカスする)
今の時点で、最終的に有効だと思ったのは、自分なりの「開き直り方」を見つけることでした。
私の場合は、「演奏中は楽しさと嬉しさにフォーカスすること」です。
「自分の演奏は自分で聴いたら未熟に思えるし、他の人からしたら、変かもしれないし、ダメかもしれないし、もしかしたらつまらないかもしれないけど(そう思いたくないけど)、演奏している間は、曲の楽しさと演奏の楽しさと、演奏できる環境にあることの嬉しさ(それが人前であるかどうかに関わらず)という、自分自身の感情にフォーカスしよう」と思えることです。
もしくは、フォーカスしても良いと、自分に「許可」が出せること、とも言えます。
自分で自分に及第点が与えられない時は、他人目線で自分を批評しすぎて、自分目線での演奏ができていません(自分目線での演奏をする許可が自分に出せていないから)。
しかし、他人目線で演奏しても、良い演奏にはなりません。
良く悪くも、自分発信でやるしかありません。
もちろん、練習中、色々なことを考えて、「ああしよう」「こうしよう」と試行錯誤し努力することは必要です。良い意味で自分にダメ出しをすることは、大切なことだと思います。
ただし、そのダメ出しは自分を前に進めるためのものであって、自分を立ち止まらせるためのものではありません。そのことを、覚えていなくては、と思います。
練習ではたくさんもがいても、最終的には自分を開き直って、夢中でやる。
今の自分で開き直って、堂々とやる。
その後、録音や動画を聴いたり見たりする時には、それはそれで今の自分を受け入れる。
そこから先にどうやって進むかも同時に考えるけど、それがクリアできなければ進んではいけない、とは思わないようにする。
現状と、行きたい方向(未来の理想の自分の状態)を区別して考える。(=二つの時間軸を別々に並行させて頭の中に置く)
これが今のところ私が出した結論です。
「自分にダメ出しばかりしてしまう」というのは、以前もブログで何度か書いているかもしれません。
留学中にもそれでよく行き詰まって、先生(有名なニッケルハルパ奏者)に解決法を訊いたりしていました。
ちなみにその時に教えてもらった解決法は、「地下室や大きな鏡の前で演奏する」でした。
「地下室や大きな鏡の前はよく響くから、上手くなったように聞こえるんだよ」だそうです。
実際に試してみましたが、私はよく響く場所で演奏しても自分が上手くなったようにはあまり思えなかったのと、日本には地下室は無い場合が多いので、あまり参考にはならないなと思ったのを覚えています。(すみません)
ただ、結局は「思い込みでも良いから自信をつけることが大事だよ」と先生は言いたかったのだろう、と私は解釈しているので、それも開き直り方の一つだ、と思っています。
何かの参考になれば幸いです。
お読みいただき、ありがとうございました。