16-delspolska、8-delspolska、Triolspolskaについてです。
前回はそれぞれの説明をしました。
16-delspolska、8-delspolska、Triolpolskaについて(その1)リズムによる分類/ダンスの分類の違いと、それぞれの解説
今回は、16-delspolskaの例を音源や動画でご紹介します。
特に、普段あまりブログでふれていない地域の曲を中心に、紹介していきたいと思います。
ぜひ、参考にしていただけましたら嬉しいです。
16-delspolska
16-delspolskaは、たとえば先日書いたダーラナ地方のBingsjöpolskaなどがそうです。
他にも各地域にたくさんの曲があるのですが、
今回は、slängpolska(スレングポルスカ)、Hälsingland(ヘルシングランド地方)の曲、Gotland(ゴットランド地方)の曲、Gästrikland(イェストリークランド地方)の曲をご紹介したいと思います。
Slängpolska
slängpolska(スレングポルスカ)は、16-delspolskaです。
slängpolskaは定義が難しいのですが、私のイメージで言うと
「もともとはスウェーデン南部のSkåne(スコーネ地方)やSmåland(スモーランド地方)あたりを中心によく弾かれて(踊られて)いたポルスカ」
という感じでとらえています。(違っていたらすみません)
SkåneやSmålandの他にも、Närke(ネルケ地方)や、Södermanland/Sörmland(セーデルマンランド/セルムランド地方)などにも曲があると思います。
他にも伝わっている地域があるかもしれませんが、「とりあえず、北の方ではあまり無い」というような認識でいます。
お互いの両手(か片手)を軽く持ったまま歩くようなダンスのポルスカで、歩きながら二人のポジション替えをしたり、一人がまわったり、二人でまわったり、その他にも色々します。
たとえばこのような。
上の動画はダンスですが、曲だけですと、このような感じです↓。
・Småland(スモーランド地方)の奏者Bengt Löfbergの演奏する伝統曲2曲。ニッケルハルパ奏者のEmilia Amperも、アルバムの中でこの2曲を弾いています。
・Södermanland(セーデルマンランド地方)の伝統曲を主に演奏している、Tradpunktの演奏(とダンス)。
・Småland(スモーランド地方)のAndreas Dahlgrenの伝承曲。演奏しているPelle Björnlertは、Smålandのすぐ北のÖstergötland(エステルヨートランド地方)の奏者。
「slängpolskaの定義が難しい」というのは、今現在では曲のルーツに関わらず「slängpolskaのダンスを踊れそうな雰囲気の16-delspolskaの曲」をどれもすべてslängpolskaと表現してしまうことも多いからです。
たとえば、もともとslängpolskaが全く踊られていなかった地域の伝統曲(=slängpolskaではないポルスカ)もslängpolskaとして紹介する、など。
また、Uppland(ウップランド地方)でslängpolskaというと、これらの曲とは全然違う雰囲気の8-delspolskaを指してしまう場合もあります。この場合、曲のリズムも、ダンスも違います。
私自身は、一応「やたらとslängpolskaと言わないようにしよう」と気をつけてはいますが(曲の伝わっている地域を考えてから言うようにするなど)、あまり深くは考えなくてもよいかもしれません。
Hälsingland
16-delspolskaといえばHälsingland(ヘルシングランド地方)で伝わるポルスカも多いなと思います。
たとえばこのような感じです。
・19世紀のHälsinglandの奏者Hultkläppenが伝えた曲。Hultkläppen→Wikipediaのページ(スウェーデン語)
・19世紀のHälsinglandの奏者From-Olleが伝えた曲。From-Olle→Wikipediaのページ(スウェーデン語)
・20世紀のHälsinglandの奏者Per Westbergが作った2曲。「Senpolska」と「Bas-Pelles Eriks Brudpolska」
・次の曲はThe Nordic Fiddlers Bloc(上の動画の3人組)も弾いていて、伝統曲だと思っていませんでしたが、HälsinglandのMyra(Järvsö)の奏者“Flinka-Johane”(Johan Johansson Flink、1827-1905)が伝えた曲なのだそうです。
・次の曲もHälsinglandの曲で、色々な人によって弾かれている曲だと思います。弾いている女性はNelly Östlundという女性ですが、私は以前スウェーデン国営放送Svtの、女性の伝統音楽奏者への30分のインタビュー番組(昔の番組。たぶん90年代とか)で、この女性が特集されているのを見て、素敵だなと思っていました。
Hälsinglandの曲ですが、さきほどのslängpolskaと同じように、どの曲にも16分音符のリズムが入っています。
でも、曲のテンポや雰囲気はslängpolskaと結構違いますよね。
ちょっと、カッコよくしゃくったような感じがあるような気がします。
私はHälsinglandの奏者についてあまり詳しくないのですが、Hälsinglandの奏者のリスト(名前のリスト)がWikipediaにありましたので、リンクだけしておきますね。
参考:Lita över hälsingespelmän(Wikipedia)
Gotland
Gotland(ゴットランド地方)の曲も、私が知っているものは16-delspolskaだなと思います。
・この曲は、私は動画のMarkus Svenssonに教わったので、動画のままの曲のイメージを持っていますが、他の人のバージョン(ゴットランドのフィドルの人が弾くバージョンなど)も聴いてみたいと思っています。
・次の曲は有名な曲なので、聴いたことがある方も多いのではないかと思います。弾いている方は存じ上げないのですが、シンプルに演奏されていて、いいなと思いました。
・次の曲も、Gotlandの伝統曲です。演奏しているSvante Pettersson(1911-1994)もGotlandの奏者だそうなので、アルバムの他の曲も聴いてみるとGotlandの雰囲気がよりわかるかもしれません。この曲も、私はさきほどの動画のニッケルハルパ奏者Markusに教わったのですが、教わったものと結構雰囲気が違う(音はそんなに違っていない)のが、おもしろいなと思います。Svante Pettersson→Wikipedia(スウェーデン語)ページ
・次の曲はニッケルハルパ奏者のEric Sahlströmが弾いているので知りました。この音源は別の方が演奏しています。Gotlandの音楽家Carl Romin(1772-1847)によってつくられた曲だと考えられているそうで、Romins polskaと呼ばれています。→Folkwikiより。
Gotlandの曲は私はあまり詳しくないのですが、聴いてみるとやっぱり「良いな」と思いました。
Gästrikland
Gästrikland(イェストリークランド地方)は、8-delspolskaも結構あると思いますが、16-delspolskaだとこのような感じです。
・こちらはよく色々な方が演奏されている、Gästriklandの伝統曲です。Ockelbo(オッケルボー)は地名で、gubbarna(グッバナ)は「おじさん達」という意味です。「Ockelboのおじさん達のお気に入りのポルスカ」です。
・次の曲は、Gästriklandの奏者Anders Gustav Jernberg(A.G.Jernberg)が伝えたポルスカです。動画のSven AhlbäckとJeanette Evanssonは、二人でよく一緒にJernbergの曲を弾いています。たしか二人とも、A.G.Jernbergの子孫のAnton Jernbergなどから直接曲を教わったり、Antonと一緒に弾いていたのだったと思います。
・次の曲もA.G.Jernbergの伝承曲です。演奏しているのはJeanette Evanssonです。
私が知っているGästriklandの曲は、こちらのJeanette Evanssonが弾いている曲が中心なのですが、おもしろい感じの曲がたくさんあって素敵だなと思います。
以上、16-delspolskaの音源や動画をご紹介しました。
同じ16-delspolskaといっても、地域や曲、奏者によって、リズムの運び方や演奏の仕方などが全然違っていることが、お聴きいただけたかなと思います。
他の地域にもたくさんの曲があるので、ご紹介できたものはほんの一部になりますが、ぜひ参考にしていただけましたら嬉しいです。
また明後日以降に、8-delspolskaやTriolpolskaの音源や動画を紹介したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。