演奏中、テンポがふらついたり、テンポ感がよくわからなくなってしまう時があると思います。
今回は、そんな時におすすめの練習方法(小さいエクササイズ)を1つ、ご紹介します。
「拍を数えながら演奏する練習」です。
拍を数えながら演奏する
拍を数えながら練習するというのは、文字通り、
「1・2・3・1・2・3…」とか
「1・2・1・2…」とか
「1と2と1と2と…」
などと、数えながらメロディを弾き、練習することです。
口に出して言う
私の場合は、これを口に出して言います。
身体は音楽のメロディを奏でながら、口では数を数えます。
(口に出せない楽器の場合は、心の中で数えながら演奏すると思います)
これは、曲によっては簡単にできるかもしれませんが、曲によってはかなりややこしいです。
私は普段、メロディを思い浮かべながら弾いていることが多いのですが、数を数えていると、それができない箇所があるからです。
特に、メロディ/ボーイング/拍がずれている(ように思える)曲は、最初はかなり難しいです。
たとえばHärjedalsschottisとか。こちらの曲です↓
ボーイングと拍がずれているので、結構難しいと思いました。
普段も演奏しながら足踏みはしていますが、「足踏みする」ことと「数を数える」ことでは、数を数える方がややこしいです。
ゲーム感覚で
この練習は、「頭のエクササイズ」のような感じで、ゲーム感覚で普段の練習にちょっとずつ取り入れてみると良いのではと思っています。
「この曲はどんな感じかな?できるかな?」というように。
普段の練習と視点が変わって、発見があると思います。
※ただし、のどが痛い時や空気が乾燥している時は、やりすぎるとのどが痛くなるかもしれないので、ほどほどに。
拍とメロディ、ボーイングの関係性が整理される
ややこしい曲であればあるほどそうだと思いますが、
メロディだけを思い浮かべて演奏していると、メロディの雰囲気に流されて拍感が薄れたり、拍がよくわからずに演奏してしまう、ということがあります。
たとえば私の場合、「細かい音が続く部分」は自分の中ですごく拡大されていたり、「伸ばしの部分」は縮小されている、ということがあります。
「1・2・3…」と数えながら弾くことで、「意外とここはさらっといくんだな」とか「意外とここはしっかり拍分伸ばしているんだな」ということに気がついたりします。
また、さきほどのHärjedalsschottisのような曲の場合、メロディ/ボーイング/拍がぐちゃぐちゃになっていることが多いです。
数えながら弾くことで、それぞれの関係性が整理されてきて、メロディ/ボーイング/拍がよりはっきり、ぴったりとお互いに当てはまるようになります。
口に出して言う→自分で聞こえる→テンポ感の向上
また、拍を口に出して数えると、自分の声で「1・2・3…」と言っているのが自分の耳に聞こえます。
これはやってみるとわかるのですが、自分の声のリズムがちょっとでもずれて「1…23!」とか、「1・2・……3」とかになると、声のリズムが一定でないことに自分で違和感を感じるので、結果的にテンポ感が良くなると思います。
もちろん、演奏する時には、全部テンポ通りに弾くわけでもないかもしれません。
しかし、「テンポ通りに演奏することができない状態」でテンポをゆらすよりも、
まずは「テンポ通りに弾こうと思えば弾ける状態」から、あえてテンポを遅らせたり速めたりすると、テンポをゆらす効果がより出るし、曲の安定感が出ます。
曲の速さを自分で調節しやすくなる
「『この速さでいこう』と思うのに、いつも速く/遅くなってしまう…」
という場合にも、この練習をすることで、自分で速さの調節がしやすくなると私は感じています。
さきほど書いた内容ともかぶりますが、この練習中は「自分が拍を刻む声」が自分に聞こえているので、演奏中でも曲の速さがわかりやすい(弾きながら速さを把握しやすい)です。
演奏中に、「速くなってしまう」「遅くなってしまう」という人は、メロディの雰囲気(16分音符が多いとか、ゆったりに聞こえるとか)に、拍が引っ張られていることが多いと思います。
自分の声の間隔(拍の間隔)を調整することで、演奏の速さも調節できるので、メロディの雰囲気に流されずに、テンポをコントロールしやすくなります。
実際の演奏では言わないけれど
実際の演奏では「1・2・3…」と口に出して数えながら弾くことはありません。
拍をカウントするよりも、メロディを思い浮かべながら演奏することが中心になると思います。
ただし、その間も、拍のカウントは常に頭の片隅にあります。
頭の体操のような感じでこういった練習してみると、人によって色々な発見があると思います。
自分のテンポ感や、演奏中のリズムをもうちょっとどうにかしたいな、という場合に、ぜひゲーム感覚で試してみてください。
以上、「拍を数えながら演奏する練習」について書きました。
ちょっとした練習法ですが、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
お読みいただき、ありがとうございました。