私は2019年から、レソノサウンドという所でニッケルハルパ教室の講師をしています。
正確には2019年の11月頃からなので、今現在で、約3年半ほどが経ちました。
皆様のおかげです。ありがとうございます。
今回は、講師をつとめる中で、学んだ大切なことを書きます。
「教室=上達のヒントを提供する場」と思いこんでいた
私は、「楽器教室」というのは「上達のためのヒントや課題を提供する場」だと思っていました。
私自身が、自分が生徒であった場合に、そういったものをレッスンに対して強くのぞんでいたからです。
教室に通うことでステップアップできる、
自分では気がつかなかったことを教えてもらえる、など。
「自分で練習すればできることなら、わざわざレッスンに通う必要は無い。そこを通ってくださっているのだから、有益な情報を提供して、ぜひもっと演奏を楽しんでもらいたい」というのが私の思いでした。
それだけではない、と気づいた
しかし、よく考えてみれば、レッスンにそういったものを求めるのは「楽器を持っていて、普段から練習できる状況にある場合」に限られるのかもしれない、と気がつきました。
その点、ニッケルハルパは楽器を持っていない人の方が多いので、「ちょっと考え方を変えた方が良いのかも」と思ったのです。
ニッケルハルパの教室では「上達のヒントを伝える」以外に、求められる役割があるのかもしれない。
生徒さんが教室に求めていることと、「生徒さんが求めているだろう」と私が想像していることが、違っているかもしれないことに、気がつきはじめました。
教室=生徒さんが体験し、発見し、学ぶ時間
ニッケルハルパという楽器を最初からお持ちの方は、ほとんどいらっしゃいません。
教室にいらした時に初めて楽器にふれますし、その後も、教室で弾く時間が唯一の「楽器とふれ合う時間」であることが多いです。
また、ご自身で楽器をお持ちの場合も、練習の時間をとることが難しかったり、なかなか音を出しにくい環境にいらっしゃる場合もあります。
つまり、教室で楽器にふれる時間は、生徒さんにとって貴重な楽器体験の時間になります。
自分でふれる・体験する→学びになる
自分で楽器にふれるのは、動画や音源で楽器の音を聴いたり、人が演奏しているところを見るのとは全然違います。
「こういう風に弾くんだ」とか、「こういう風に音が出るんだ」とか、「こういう風にすると音が出ない」とか。
「なかなかきれいな音が出ないな、というかそもそもきれいな音ってどんな感じだろうな?」とか。
「楽器が響くとか、弦が共鳴しているというのはこういう意味なんだな」とか。
「意外と難しい」、「意外と軽い」、「意外と長い」とか。
自分でふれ、様々なことを感じ、体験し、多くの発見をすると、それがその人にとっての学びになります。
楽器に自分でふれるだけで、実はその人自身がご自分で多くのことを発見し、すでに学んでいるのです。
私が良かれと思って伝えているアドバイスは、反対に、生徒さんの学びの機会を邪魔し、挑戦の機会をうばってきたのかもしれません。
そうではなく、生徒さんが体験し、学んでいる時間を尊重しつつ、適切にサポートすることが、講師が果たすべき役割の1つなのはないか。
そんな風に考えられるようになりました。
目標へのプロセス自体が楽しい
また、私自身が先日のブログで「楽器でもなんでも、上達のプロセス自体が楽しいのだ」ということを書きました。
より小さな目標にフォーカスする(前編:目標設定・フォーカスの仕方)
私が良かれと思って先回りしてアドバイスすることは、このプロセスをすっ飛ばして、目標への近道(だと私が思っていること)を教えてしまうことです。
もちろん、それをのぞんでいる方にはなんでもお伝えしますが、そうでない場合は、生徒さんがプロセス自体を楽しむ機会を私がうばうべきではない、とも思いました。
そこも、楽器の楽しみの1つなのです。
楽器との付き合い方は、生徒さんが自分で決める(私がおしつけない)
楽器を習うことで自分がどうなりたいのか、その楽器と自分がどう付き合っていきたいのかは、生徒さんご自身が決めることです。
私が決めて、おしつけるものではないのだと思いました。
そもそも、楽器との付き合い方自体、決めなくても良いかもしれません。
生徒さんと楽器との付き合いは、1回で終わるものかもしれないし、数回で完結するものかもしれないし、もっと長いものかもしれません。
どれを選択しても、正解です。
選択というか、成り行きに任せても良いと思います。
私はそれを、サポートします。
普段、私は「何事も続けることの大切さ」みたいなものを書いていますが、それは私の価値観の1つにすぎないので、生徒さんの選択とは一切関係がありません。
それに、繰り返しますが、どれも正解なのです。
体験したことは、必ずその人の人生に生きてきます。
ゆっくりと時間をかけること
楽器との関係性を築いていくのには、少し時間がかかります。
以前の私は「早く上達する方が良い」と思っていましたが、違うかもしれないと、今は思います。
ゆっくりと時間をかけて、少しずつ、楽器との関係を築いてくことも、実は楽しいのです。
そこを、講師としてじっくりと見届けていくことも、とても大切なのだと思うようになりました。
レッスン形態・生徒さんに応じて
今書いたことは対面でのレッスンの話になりますが、
動画レッスンなどは、基本のスタンスは上記と変わらないものの、やり方としてはまた別の方法をとった方が良いと感じています。
こちらは楽器をお持ちの方が対象なので、より専門的な知識や、アドバイス、テクニック、練習時のヒントなどをこれからもお伝えしていきたいです。
それぞれのレッスン形態や、生徒さん個人の状況に応じて、私ももっと対応力をつけていきたいと思います。
以上、「講師をつとめる中で学んだ大切なこと」について書きました。
ただ単に「ふーん」という内容かもしれませんが、何かの参考にしていただけたら嬉しいです。
お読みいただき、ありがとうございました。