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曲紹介の仕方について(スウェーデンのテンプレではなく、日本で伝わる言い方へ)

/ ニッケルハルパ奏者

今回は演奏時の曲紹介の仕方について、私がこれまでに感じてきたことや方法などを書いていきたいと思います。

「自分の曲紹介の仕方、変化しているかも」と気づいた

最近、CDを作っているという話を書いたのですが、CDのジャケット自体は実は3月頃に一度作り終えていたので、また見直してみたんです。

CDの曲紹介ってかなりスペースが限られるので(予算を割いてブックレット付にすればたくさん書けますが、私は今回はそれはいいかなと思うので)、1~2文くらいでスペースが埋まってしまうんですね。なので、3月に書いた時点では「これが無難かな~」と思うことを書いていたのですが。

見直したら、書き直したくなってしまったので、結局少しずつ書き直しました。

それで思ったんですね。「あれ、私の曲紹介の仕方(伝えたい内容)、この半年間で少し変わったのかな?」と。

何が変わったのか?

スウェーデンのテンプレートから、日本で伝わる言い方へ

何が変わったのかというと、あくまでも自分で認識している範囲ですが、以前は「スウェーデンでよく紹介される曲紹介のテンプレート」にのっとって曲を紹介していたわけです。

「どこどこの、誰々が伝えた曲で~」みたいな感じですね。

これは全然良いのですが、テンプレートって、テンプレートとして機能しているからこそ使えるのであって。

テンプレとして浸透していない状況で使っても、テンプレの効果が薄いんだ、ということに気づきました。

つまり、スウェーデンの伝統音楽界隈で、この言い方を使うのはわかりやすくて効果的なのですが、スウェーデンの伝統音楽があまり知られていない状況(日本)で、ニッケルハルパなども全然知られていないなかで、この言い方をしてもそこまで上手く伝わらないんじゃないかな?と気づいたんです。

たとえば「○○地方の~」と言っても、たいていの人は、それがスウェーデンのどこに位置しているどんな地方なのか、わからないわけです。

かといって、じゃあ「北西の~」とか、地図上の場所だけ示しても、いまいちピンとこない。

聞いている人は、単純にどこなのか知りたいのではなくて、それが「どんな所なのか」、そして「この曲はどんな曲として聞いたら良いのか」というフックを知りたいわけです。

「スウェーデンのテンプレをただ日本語に訳すだけじゃ足りない。日本で伝わるような日本語を使っていかなくちゃ!」と思いました。

聞く・楽しむためのフックを提供する

たとえば、地域きっかけの紹介をするなら、具体的なこと(山が多くて~、海があって~、隣国のノルウェー音楽からの影響があって~、とか。他にも北欧の景色を感じさせるようなこととか、北の方ですごく寒いとか)を言った方が良いな、とか。

あと、曲紹介で言えば、単純に○拍子の曲です、ダンスの曲です、という言い方だけではなくて、自分がその曲に対して抱いているイメージや感情(華やかな曲、陽気な曲、しっとりとした曲、よく演奏される曲、あまり演奏されない珍しい曲、不思議な曲、など)を、少し添えると良いのかな、とか。

以前は、そういう「曲に対するイメージ」って、「聞いている人にすべてがゆだねられているものだから、あまり言わない方が良いはずだ」と思っていました。

(それに、私のイメージが一般的なものと違っていたりとか、解釈違いとか、あるかもしれないので、黙っていた方が良いだろう、と)

でも、やっぱり言った方が良いなと思うようになりました。

理由は、その方が聞いている人が色々と想像できるし、「曲を聞く準備」ができるからです。

初めて聞く音楽に対して、たいていの人は身構えると思いますし、「果たして、この曲・演奏をどんな風にとらえたら良いのか?」と感じることは多いと思うんですね。

そういう時に、演奏している私自身が「私はこんな風にとらえて演奏しています」とか「こういう地域に伝わっているので、こういう景色を想像します」みたいなことをあらかじめ言葉で紹介していると、安心して曲を聞くことができるのではないかと思ったんです。

聞いている人の、聞きやすさ・安心感につながる、かも。

そこから、違うものを想像していただくのはもちろん自由なのですが、最初のきっかけをこちらが提供するのは、大事なことなんじゃないかなと思いました。

「楽しめない自分がダメなんだ」と思わせないために

この音楽を聞き慣れている人は、平気なんです。もうその人の中で色々な情報が醸成されているので、何も曲のバックグラウンドやとっかかりが無くても、色々と感じられると思います。

でも、そのジャンルの音楽を初めて聞く人や、あまり聞き慣れていない人にとっては(私も伝統音楽以外はあまりよく知らないので)、何かとっかかりがあった方が断然聞きやすいんですよね。

聞いている人に、「これは自分に知識が無いから楽しめないんだ」「自分の感性が足りないんだ」と思わせてしまうと、もったいないので。

そう思わせない工夫をしたいな、と思っています。

なので、「こんな風にして楽しめば良いんだな」と気軽に思えるようなことを、曲紹介でお伝えしたいですね。

そしてその際、必ずしも「めちゃくちゃ詳細な曲の解説」などは求められていなかったりするので、そこを切り捨てる勇気も必要かもしれません。

ワークショップとかレッスンとか、そういう専門的な解説が求められる場合と、コンサートなどの楽しんでいただく場面とで、情報の出し方は区別していった方が良いなと思いますし、

ワークショップやレッスンにおいても、相手や状況によって求められる情報の深度は違いますよね。

めちゃくちゃ詳細な解説って、ある意味「自分の知識を披露して満足」という自己満足的な解説(って言うと、ちょっと言い方キツイですが…)になってしまう時があるので、そこからの脱却。

相手に伝わる楽器紹介・曲紹介をできると良いなと思うし、そこには私の曲に対するイメージ・感じ方・感情など、「パーソナルな部分」を盛り込むことがおそらく大切なんですね。

客観的な情報と、主観的な情報。両方使って、人に伝わるような曲紹介をしたいなと思っています。


曲紹介について、でした。

最近インスタグラムで毎日何かしら投稿しているので、その投稿の中でも、どういう風に曲を紹介したら良いかの練習をさせてもらっているような気持ちでいます。

シンプルな文章や言葉で、曲に親近感が湧くような紹介ができると良いな~、と。

読むのが苦痛じゃないやつですね。

日々、練習です。