無印良品「BGM8 STOCKHOLM」に収録されている曲を解説していきます。
これまでの記事→無印良品BGM8に収録されている曲を解説①(1・2曲目)、②(3曲目)、③(4・5曲目)、④(6・7曲目)、⑤(8曲目)
今回は9曲目です。どんどんいこうと思ったのですが、今日もちょっとブログを書いている時間があまり無くて、9曲目だけ書いていきたいと思います。
解説
9.Polska efter Per Jonas Lång(ペール・ヨーナス・ロング伝承のポルスカ)
演奏家
3・7曲目と同じGöran Månsson(ヨーラン・モンソン、笛)とRoger Tallroth(ローゲル・タルロート、12弦ギター)です。
(お二人それぞれについては3曲目の解説記事をどうぞ。また、7曲目の記事はこちら)
曲について
非常に爽やかで印象的な演奏ですよね。私も大好きな演奏の1つです。このBGM8の中でも、特に人気がある曲の1つなのではないかと勝手に思っています。
こちらの曲は、Per Jonas Lång(ペール・ヨーナス・ロング)という演奏家が伝えたポルスカです。
ポルスカは、これまでにも出てきていますが、スウェーデンの伝統曲の中でも最も多い3拍子のダンス曲です。
が、こちらの曲は他の曲と比べ、メロディの切れ目が少し独特で不思議な感じがしますので、あまりはっきりとした「3拍子感」は感じにくいかもしれません。そしてそれこそが、ギターのアレンジと合わさって、この曲をより魅力的にしていると感じます。
さて、曲を伝えたLång(ロング)一家は、笛を演奏しているGöranの親戚(確か母方の親戚だと伺った気がするのですが)に当たるそうです。
GöranはLång一家の伝えた曲をよく演奏されたり、ワークショップで教えたりされている印象ですし、反対に、Långの伝えた曲をたどると必ずGöranにたどり着くように思います。
Lång一家がレパートリーとするのは、スウェーデンのメーデルパッド地方(Medelpad)にあるHaverö(ハーヴェロー)という所の曲です。
メーデルパッド地方はこちらです。ヘルシングランド地方よりもさらに北部で、イェムトランド地方と接しています↓
さらに、Haveröはこちらの青い印のところ↓左側にあります。
Göranご自身も、Haveröの曲をたくさん演奏されているので、私は「Göran Månsson」「Lång」「Haverö」というこの3つのワードのうちのどれか1つを聞くと、その他の2つが無意識に連想されるくらい、イメージが強いです。
スウェーデンの演奏家は、ご自身の出身地にまつわる伝統曲や、その地域の昔の演奏家の曲をとりあげて演奏する方が多いです。
これは、「近所や周りの演奏家たちがそういう曲を演奏しているから、自分も自然とそれらを覚えていった」という場合もあれば、「周りではそういう曲を演奏している人はあまりいないけど、自分で知りたいと思ったから、古い資料から調べて身につけていった」という場合もあります。
いずれにしても、専門とする地域のレパートリーを持っている方の演奏や話を聞くのはおもしろいですし、自身のルーツ(別に出身地でなくても良いので、何かつながりのある人や地域など)の伝統曲を深くたどる作業というのはおもしろいだろうなと思っています。
(同時に、色々な地域の曲について知るのもおもしろいです)
曲の話に戻りますが、Haveröに伝わる曲をテーマとしたGöranのCDアルバムが日本語で発売されており、そちらのプロモーション動画でも、Haveröの地域や演奏家についての紹介が少し出ています。
アルバム自体もとてもかわいいです。
今回の「Per Jonas Lång伝承のポルスカ」は、Göranの別のアルバム「Mon」の1曲目にも「Pj 2」という名前で収録されています。
また、Göranご本人の演奏動画(Rogerとの演奏ではなく、ギターChrister MalmgrenとアコーディオンPatrik Svedbergとのトリオ演奏)もありますので、もしよければぜひご覧ください。
ということで、ちょっと短いですが、今回は9曲目を解説しました。
さきほどの、「演奏家が専門とする地域やレパートリー」の話ですが、出身地に限らず、何か「とっかかり」や「きっかけ」があることが大事なのかなと私は思っているんですよね。
それについて掘り下げるきっかけ、理由、動機です。
私は日本人なので、出身地はスウェーデンとは全く関係が無いのですが、たとえば今回こうして「無印良品の曲を解説しよう」と思うと、それらを深く掘り下げていくことができて、おもしろいなと思っていますし、
テーマを持つことで、よりはっきりと1曲1曲に取り組めるような気がします。
これは外に向けてというよりは、ほとんど「自分の中」での話で、そういうテーマを持てると、自分がやっていることの意味について自信を持つことができて、前に進みやすくなるような気がしています。
では、また明日続きを書いていきます。