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相手の音を聴きすぎる問題とその対策

/ ニッケルハルパ奏者

2人以上で演奏する時、相手の音を聴かなさすぎるのも問題ですが、相手の音を聴きすぎるのも実はあまり良くありません。

「相手の音を聴きすぎる」ことの弊害と、そんな時にどうしたら良いのか、私なりに考えた対策を書きます。

相手の音を聴きすぎる問題

2人以上で演奏する際、たいていの人は以下のどちらかのタイプになると思います。

  • 相手の音を聴かなさすぎる
  • 相手の音を聴きすぎる

アンサンブルや集団での演奏の時、一般的に、「相手や周りの音を聴こう!」ということを強調されることが多いです。

そのため、「相手の音を聴かない」ことの弊害はよくわかっていますが、実は同じように、「相手の音を聴きすぎる」のにも弊害があります。

これは、普段の会話と同じです。

相手の話や意見を聞かずに、自分の話や意見ばかり言う人とは会話が難しく感じるし、相手に合わせてばかりいる人ともちょっと話しにくく感じる(気を遣う、本音が言えない)と思います。

「聴かなさすぎる」ことはよく問題にされていますが、「聴きすぎて、かえって演奏しにくくなっている人」も意外と結構いるのではないかと思います。

相手の音を聴きすぎることの弊害

私が感じることですが、

相手の音を聴きすぎると、自分の演奏の軸がぶれます。

1曲の中で自分が出す音の流れに、一貫性・連続性が無くなります。

今自分が何を演奏していて、次どう動いたら良いのかがわからなくなり、流れが悪くなり、音楽がばらばらになります。

結果的に相手の音次第で動くことになるので、自分のリズムもふらふらします。

自分にとっても、相手にとっても、演奏しにくくなります。

自分の軸を持つ

つまり、2人以上で演奏していても、あくまでも自分は自分軸で、相手は相手で、それぞれに軸のある演奏をすることが求められるのです。

対策方法:自分の音を聴く

「自分の軸を持つ」というと抽象的なので、具体的にどうしたら良いのか?を考えました。

今私がやると良いなと思っていることは、

「自分の音を聴く」こと

です。

相手の音を聴くよりも前に、まずは自分の音を聴きながら、旋律を1つ1つ紡いでいきます。

このことについて、少し詳しく見ていきます。

音楽は連続性

音楽は一瞬一瞬の連続性です。

「今自分が出した音」に応じるかたちで、次の音が瞬間的に繋がっていき、それが結果的に旋律になります。

(決まっているものを決まっているタイミングでぱっと出すのではなく、今の自分の音の次に、次の音がきます)

それなのに自分の音を聴かずに相手の音ばかり聴いていると、その肝心の「今の自分の音」が聴こえなくなってしまいます。

すると、「次に自分が何をしたら良いか(どんな雰囲気で次の音を出すか、旋律の流れ)」が、わからなくなってしまうんです。

結果、出すべき音やタイミングを「待つ」ことができずに、焦った演奏になるし、雰囲気もぶれます。

自分の出す旋律を聴いていれば、次の音を出すタイミング、瞬発力が自動的にやってくるので、

その瞬間がやってくるまで、「待つ」ことができるし、その瞬発力の強さや流れに応じて、その場に合った音を出す、ということができます。

演奏中というのは、常に全速力で走り続けるというよりも、ちょっとした「待ち」と「ここぞのタイミング」の駆け引き、「波」の大小の繰り返しです。

緩急、メリハリ、の連続です。

それが全体の流れになります。

この一連の流れ、メリハリ、連続性が無いと、焦った演奏・一貫性の無い演奏・印象の弱い演奏・幼い演奏になってしまいます。

反対に、これができれば、ほんのちょっとしたフレーズであっても人を惹きつける演奏ができると思います。

自分の演奏における一貫性を持つと、相手の音も聴こえてくる

そうして、自分の演奏に一貫性を持てると、その合間合間で相手の音もちゃんと聴こえてくるようになります。

自分の音を聴いているからと言って、相手の音が聴こえなくなるなんてことはありません。

むしろ、「相手に頼る(相手の出方次第という感じになる)」ことが無くなるので、おそらく相手は演奏しやすくなると思います。

…と、ここまで書いていて思いましたが、もしかして「相手の音を聴かなさすぎる」場合も、本当は、聴こえているのかもしれませんね。

聴こえているけど相手を無視しているとか、「自分の演奏の仕方の方が正しい」と思ってしまって突っ走っているのかもしれません。

これは想像ですので、実際のところはわかりませんが。

自分の音を聴き、自分の演奏の一貫性を持つこと。

私自身も意識していたいと思います。


以上、「相手の音を聴きすぎる問題とその対策」について書きました。

相手の音を聴きすぎてしまうと、本当に、すごく弾きにくくなります。

これを克服するだけでも、誰かと一緒に弾くのが段違いに楽になり、演奏もとても良くなります。

参考になりましたら幸いです。

お読みいただき、ありがとうございました。