峰村茜のホームページへようこそ!どうぞごゆっくりご覧ください。

ニッケルハルパのアルバム紹介:Olov Johansson「Storsvarten」(1997)

/ ニッケルハルパ奏者

巣鴨のレソノサウンドでVäsen duo(ヴェーセン・デュオ)の最新作のCDが入荷したということですが、その際にVäsenのニッケルハルパ奏者Olov Johanssonの、過去のソロアルバム2枚(「Storsvarten」「I LUST OCH GLÖD」)も入荷されたということで、普段はケチな私ですが、3枚とも購入しました。

Olovの過去のアルバムはSpotifyなどで数年前から聴いていますが、CDだとライナーノーツに曲のちょっとした解説や録音時のエピソードなどが軽く書いてあるので、史料的な価値があり、Spotifyで流し聞きする時よりも私はかなり真剣に聴くことができます。

(自分でお金を出して購入しているから、というのもありますが)

特に2作目の「I LUST~」に関しては、デュオの曲が結構多い印象ですが、メロディ担当がどちらか?などの情報もライナーノーツに書いてあるので(曲紹介で先に名前が書いてある方が主なメロディ担当だと思います)、「やっぱりメロディの音はこっちの人か」とか「アレンジはこっちの人か、なるほど」などと思いながら聴いております。

Storsvarten

さて、本当はここでVäsen duoの最新アルバムの紹介をした方が良いのかもしれませんが、私は初見で聴いてからこういうところに感想を書けるようになるまでに時間がかかることが多いので、まずはOlovの過去2作のソロアルバム紹介を先にしたいと思います。

今回は1作目の「Storsvarten」です。

Storsvarten

「Storsvarten」は1997年に出されたOlovのソロ名義のCDです。教会で録音されたそうです。

ソロの演奏を中心に、ゲストミュージシャンとの演奏もありますが、Olovはメロディを担当しているものが多い印象かなと思います。

私はこのCDはかなり何度も聴いていて、特に以前は、2作目の「I LUST~」よりもこちらを好んで聴いていたような気がします。と言っても、2作目よりもこちらの方が良いと思っていたわけではなく、ただなんとなく、聴きやすく感じたからかもしれません。

このアルバムを聴きながら山手線に乗ったり、東京の街を歩いていた記憶があります。

一番よく聴いていたのは、ブログでも何度か書いていますが、こちらの曲です。

この曲は私はよく1人で練習しています。留学先の個人レッスンで本人に演奏動画を撮らせてもらったのですが、その演奏動画(2019年)とこのCDの演奏(1997年)とで、芯の部分が全く変わっていなくて感動しました。

CDを聴けばわかることでもありますが、CDを録音した時点ですでに完成されているというか、OlovはOlovだったんだなあとあらためて思いました。

音だけを聴くと「すごいこと」をやっている感じがするのですが、本人が弾いている様子(見た目)はかなりあっさりとしていて(ふんふん♪という感じ)、Olovに限らず、伝統音楽の奏者のそういう自然体な弾き方が好きです。

また、このCDに収録している曲で、その後のCDにもたびたび収録されていたり、今でも演奏されている曲もありますね。

たとえば「Schedins brudpolska」。

演奏のキーが違いますが、こちらはVäsen duoのCD「MELLIKEN」(2023)の同じ曲↓

伝統音楽は何度も聴くことでより好きになったり、同じ曲を何度も聴くのがおもしろかったりするので、過去作で演奏されていた曲が出てくると嬉しいです。

聴き直して印象が違った曲ーAlvaringen

さて、このCD(Storsvarten)はソロの演奏も多いので、以前から「Olovの音研究」のためによく聴いていました。

その分、今聴き直していても以前とあまり印象が変わらないものも多いのですが、あらためて聴いた際に「印象が結構違うな」と思った曲を1曲紹介します。

「Alvaringen」です。

印象が違うなと思ったのは、ニッケルハルパではなくて、Anders Bromanderの弾くピアノの方なのですが…。

この曲は伝統曲ではなくてOlovの作曲です。

1曲が少し長めで、曲を1周するのに2:20くらい。演奏では2周しています。その2周目でのピアノが、私が思っていたよりもかなり自由にジャズの感じで動いている、というのが、あらためてCDを聴き直した時にとても印象的でした。

おそらく即興的に弾かれているのだと思いますが、むしろメロディが脇役になっているような場面も(短いですが)あります。

「あれ、この曲のピアノってこんなに色々動いていたっけ?」と思いましたが、よく考えてみれば、この曲はOlovとAndersのデュオのアルバム「Sommarlåt」にも収録されていて、私はそちらのバージョンをよく聴いていたんですね。

それであらめて「Sommarlåt」の方を聴き直してみたら、尺の長さの関係かもしれませんが、2周目が短くなっていて、このピアノの遊びの部分もあまりありませんでした。

(Sommarlåtも良いCDです)

聴き比べるとテンポ感などもかなり違っていて、こちらはこちらで良いというか、洗練されていると思います。私はこちらのバージョンでとにかく聴き慣れていたので、「Storsvartenのバージョンも良いな」と思い、CDを聴き直したことで新しい発見になりました。

(この曲以外にも「Storsvarten」と「Sommarlåt」でかぶっている曲もあります。また、「Sommarlåt」に収録されている曲には、無印良品の「BGM8」に入っているニッケルハルパとピアノの曲が入っています。録音自体はそれぞれ別のもの(BGMとSommarlåtで、アレンジは同じだけど、演奏は微妙に違う)だと思いますが)


という感じで、「Storsvarten」のご紹介と、聴き直してあらためて思ったことを書いてみました。

書いたこと以外にも、音の出し方や音の伸びなど、聴き直してみて「そうか~」と思うこともたくさんあるなと思いました。

もしよろしければ、ぜひ、気になる曲や聴きやすい曲だけでも、聴いてみてください。

SpotifyやYouTubeなどの音楽配信サービスで聴くこともできますし、レソノサウンドでCDの販売もしていると思います。

レソノサウンド→ネットショップのHP巣鴨のスタジオのHP

お読みいただき、ありがとうございました。