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Polska till Wikについて

/ ニッケルハルパ奏者

Polska till Wik(ポルスカ・ティル・ヴィーク)という曲があります。(WikはVik表記もあり)

Wik(ヴィーク)というのはウップランド地方の地名です。曲名を邦訳すると、「Wikへのポルスカ」などでしょうか(tillは英語のto)。

この曲は、Viksta-Lasse(1897-1983、ヴィークスタ・ラッセ)というウップランド地方のフィドル奏者によって、1960~70年代頃に作られました

ウップランド地方ではとても有名な曲で、当時から今現在に至るまで、色々な人によって演奏されている曲です。

本人の演奏はYouTubeにはありませんでしたが、こういう曲です↓

美しくて優しい曲という印象があります。

構成も少し複雑で、人によってパートの捉え方も構成も違うのですが、本人が弾いていたのはだいたい「A・A’・B・(B)・(ここから2周目で)A’・B」というような構成だったそうです。AとA’は最初だけ違いますがその後はほとんど同じです。1周目の2回目のBも、弾いたり弾かなかったり両方あるようです。

他の単純明快なポルスカともまた雰囲気の違うような、でも意外と違わないような、素敵な曲です。

ちなみに、Viksta-Lasseはこちらの人です。違う曲ですが、弾いている映像がありました。どの曲でも、演奏の前後によく笑ってしゃべっています。

Wikへの道中にできた曲

このPolska till Wikにまつわるエピソードとして、「Eric & Lasse」というCDの解説文から引用(意訳あり)します。

1960年代の終わり頃から10年間、夏の間、Wik城(Wiks slott、Wikのお城)で若者向けの音楽のサマーコースが開かれていた(Mälarkvartetten(メーラカルテット)主催)。

サマーコースはヴァイオリニスト向けで、オーケストラやカルテットでの演奏、合唱、フォークダンスや民族音楽の演奏などを学ぶことができる1週間となっていた。

毎年、コースの初めには、参加者達にインスピレーションを与えるため、Eric SahlströmとViksta-Lasseが招かれ、最初の夜に演奏をしていた。

とある夏の夜、Wikのコースに向かう途中に、Viksta-Lasseはこの曲を思いついた。

「あなた達に曲を作りました。私はこれからこの曲を”Polska till Wik”と呼びます」

Eric Sahlström(エリック・サールストルム)というのはニッケルハルパ奏者で、私の留学先の学校名にもなっている人です。Viksta-Lasseと一緒によく演奏していました。

「移動中に曲を思いつく」というエピソードは、他の奏者の曲でも聞く話ですが、こんな曲をよく移動中に思いつけるなあ、といつも感心します。

お城でのサマーコース、そしてオーケストラやカルテットと聞くと、なんとなくこのPolska till Wikも、そういう雰囲気がある気がします。クラシック音楽の華やかさと美しさみたいなものでしょうか。

Wik城(Wiks slott)ってどこ?

Wiks slottはウップランド地方にあります。地図でいうとこちらです。縮尺を変えるとよりわかりやすいかもしれません。

「メーラレン湖(という割と有名な湖)から2マイル(約3km)南東にある」そうです。

ちなみに、さきほどのサマーコースで出てきたMälarkvartettet(メーラカルテット)のMälarはメーラレン湖(Mälaren)からとっているのだと思います。メーラレン湖は、スウェーデンで3番目に大きい湖です。私は地理にはかなり疎く、1番目と2番目に大きい湖の名前は聞いても「?」という感じなのですが、メーラレン湖だけはよく聞くので覚えています。

Wiks slottはこんな感じだそうです。HPから画像をお借りしました。

https://regionuppsala.se/wiks-slott/ より

このお城もそうですが、スウェーデンのお城は、私達が想像するシンデレラ城みたいなものよりも、少しシンプルなものが多いような気がします。建てられた年代にもよりますが、私が見たものだとピンクや黄色のパステルカラーの色彩の外壁が多い印象です。

他のお城もそうですが、こちらもホテルとして宿泊したり、レストランや庭を訪れたり、研修をしたり、結婚式を挙げたり、催しものを開催したりできるようです。

HPの解説を見ると、こちらは15世紀後半に建てられた中世の建物で、スウェーデン中部では最も良く保存されている中世のお城、だそうです。また、お城やその周辺地域の歴史としてはさらに200年さかのぼることができ、13世紀頃から既に存在していたそうです。(おそらく建物自体は15世紀のもので、城としては13世紀からある、という意味だと思います)

建物は、修復や建て直しが行われてはいるものの、1600年代と1800年代の様々な建築様式が示されており、城の周りにはバロック様式の庭園や英国式の庭園が存在しています。また、様々な伝説や言い伝えも残されている、とのことです。

HPより(https://regionuppsala.se/wiks-slott/kulturarvet-wiks-slott/


曲の背景を調べるのって、ちょっと面倒くさいのでついつい後回しにしてしまいます。

でも知るととてもおもしろいです。

Wiks slottのHPの写真を見ていると、スウェーデンに行ったような気分になり、爽やかな気持ちになりました。

言い伝えや何かもたくさん残っているそうなので、また機会があれば調べていきたいと思います。

Polska till Wikもぜひ色々なバージョンで聴いてみてください。

お読みいただきありがとうございました。

参照:CD”Eric & Lasse”、Wiks slottのHP(https://regionuppsala.se/wiks-slott/)