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スウェーデンの都市部の発展(Så byggdes Sverigeを見て②)

/ ニッケルハルパ奏者

昨日に続いて、スウェーデンのTV番組「Så byggdes Sverige」(全8回)を見て気づいたことや知ったこと、感じたことを書いていきたいと思います!

今回は「2.都市部の発展について」です。

★昨日の記事→スウェーデンの一軒家(Så byggdes Sverigeを見て①)

(※Så byggdes Sverige…スウェーデンの都市部(町)や農村部などの、ここ100年間の歴史について、建築物を中心に紹介している特番。私はスウェーデン語の勉強のために見始めたのですが、せっかくなので見て気づいたことをここにメモすることにしました)

2.Storstaden(大都市)

スウェーデンの都市部といえば名前が挙がるのが「ストックホルム」、「マルメ」、「ヨーテボリ」ですね。

番組でも、この回はこの3都市が主に登場しています。

大都市と言っても、今回は特に「スカイスクレイパー(=高層ビル)」に焦点が当てられていて、各都市のランドマークになっているような超高層ビルがとりあげられています。

(※ちなみに、スカイスクレイパーはスウェーデン語でもそのまま「Skyskrapa(複数Skyskrapor)」と書きますが、読み方は「フイー・スクラーパ」。Skyを「スカイ」ではなくて「フイー」と読むので、初めて聞いた時は「なんのことだろう?」と思いました)

ストックホルムーKungstornen(クングストルネン)にはじまり…

ちょうど100年前、1924年頃に完成したのがストックホルムのKungstornen(王様の塔)。ツインタワーになっていて、2つの塔が通りを挟むかたちで建っています。

当時はスウェーデンで最も高い建物だったそうです。

Wikipedia「Kungstornen」

ニューヨークの高層ビルをヒントにしながら造られたそうですが、スカイスクレイパーとはいえども、装飾がほどこされていて、まだ他の石造りやレンガ造りの建物とそんなに外観の雰囲気は変わらないかな?という印象があります。

そこから、1930年代に交通網が発達。

「都市が都市として機能するように」整備されていきました。

※その後、第二次世界大戦の時代のことは番組では少し省略(スウェーデンは中立国ではありましたが、戦争に全く関係していないわけではありませんでした)。

1950~1960年代ー時代が大きく動き出す、近代化

戦後の1950年代に時代が大きく動き出し、戦時中にストップしていたような計画(都市部の開発)がどんどん進められました。

都市をどんどん都市らしく。便利に。

1950~1960年代にはKungstornen以外にもいくつかの高層ビルが建てられ(ストックホルム以外の都市でも)、その中には今の高層ビル群にも通じるようなガラス張りのビルもあり、そういったビルは「The international style」(それまでのスウェーデンの建築物とは異なる外観)と呼ばれるようになったそうです。

鋼、コンクリート、ガラス。この辺の素材が多く使われました。

1970年代ー近代化に対する反発

一方で、そういった建築物に対して「醜い建物だ」という意見もあらわれ始めます。

1970年代には都市部の発展やコンクリートの多用に対する反発、交通網を広げることによる環境破壊の影響などが訴えられるようになり、それまで「良し」とされていた近代化の動きが一転して「悪だ」「間違いだった」とも言われるようになりました。

高層ビルなんて取り壊してしまえ~という人も。

(20世紀後半は、スウェーデンだけでなく各国で激動の時代だったと思うので、10年~20年単位で人々の考え方が大きく変わるような時代だったのかなと私は思っています)

その後(2000年代以降)

そして、その後の動きは番組では少し省略されていましたが、なんだかんだ1980年代には再び近代化の方向へと動き始め、高層ビル(高層マンション)も2000年代以降にまたいくつか建てられるようになります。

例えばマルメの「Turning Torso」(ターニング・トルソ)。54階建ての高層マンションです↓(これだけ、私の撮った写真があります)

そして、その後に建てられたのが、ヨーテボリの「Karlatornet」(カーラ・トルネット)。こちらはまだ未完成の部分も一部あるみたいですが、もうおおむね完成していて、人が住んでいるみたいです。今現在「北欧で最も高い建物」だそうで、73階建ての、こちらも高層マンションですね。

Wikipedia「Karlatornet」

レストラン、ジム、プール、テラス、ホテルなどなど「なんでも揃っている」そうです。

マルメの「ターニング・トルソ」も、建築時の批判やコスト面での問題が無かったわけではないみたいですが(コストがかかりすぎて担当者がクビになったとか?)、やはり建ってみるとそれはそれで「町のランドマークになる」ということで、ターニング・トルソの計画以降、各地でランドマークになるような建物(必ずしも高層ビルでなくてもいい)が建築されていったらしいです。

一方で、「高さ」という意味では、世界的に見ればスウェーデンのこれらの建物はそこまで「超高層」というわけでもなく、「今後そういった超高層マンションが増えるかというと、果たしてどうか…?」「案外このままの感じが続くのかもね?」「むしろ自然を増やす動きになるのかも?」みたいな感じで番組は終わっています。


以上、都市部についての内容をまとめてみました。

本当はもう1つ、次の回の「工業地域について」も書きたかったのですが(私的にはこの回が特におもしろかったです)、時間がなくなってしまったので、今回はここまでにしたいと思います。

全く大晦日感の無い内容になってしまいましたが、皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください!