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スウェーデンの工業地域/産業都市について(Så byggdes Sverigeを見て③)

/ ニッケルハルパ奏者

あけましておめでとうございます。

昨年は大変お世話になり、ありがとうございました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今日から2026年ですが、ブログはマイペースに進めてまいりたいと思いますので、早速昨日の続きから書いていきます。

スウェーデンのTV番組「Så byggdes Sverige(スウェーデンはこんな風に建てられた)」(建築物を軸にスウェーデンのここ100年の町や村の歴史をたどる番組、全8回)の第3回目「工業地域/産業都市について」です。

3.Bruksorten(ブルークス・オーテン=工業地域/産業都市)

「Bruksorten」を、なんと訳したら良いかはよくわからないのですが、とりあえず「工業地域」「産業都市」といったところかなと思って書いています。

(※ort(オート)=場所)

「bruk」の意味

ちょっと話が逸れますが、そもそもこのbruk(ブルーク)という言葉、よく耳にする単語ですが、単語の意味自体は私の中ではしばらく曖昧でした。

たとえばjordbrukなら「農業」だし、järnbrukなら「鉄鋼業」だし、前につく単語によって意味が変わるのか?なんなのか?と思っていたのですが、要するに「bruk=『○○業』(産業全般)ということなのかな」と、私の中では今は落ち着いています。

また、ニッケルハルパが伝わっている地域に「Österbybruk(エステルビーブルク)」という所がありますが、これはもう「bruk」が地名の一部になっていますね。ここも、鉄鋼業などが盛んだったことからその名前が来ているのかな?と思っていますが。

地名にbrukがついている例も結構ありそうです。

工業地域(産業都市)

さて、話を戻します。

今回は「工業地域」「産業都市」に焦点が当てられています。

(「工業」と「産業」では意味する範囲が微妙に違うそうですが、番組ではbruksortenの一言で扱っています。今回の記事では「工業地域」と書いたり「産業都市」と書いたり色々ばらけてしまうかもしれません。すみません)

「工業地域」とか「産業都市」と言うと、なんかちょっとおもしろくなさそう…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが(私は少し思いました)、そんなことはありませんでした。

スウェーデンって、工業(をはじめとする産業)が国を支えてきたところがおそらく大きいんですよね。

農作物の収穫でやっていくのには非常に厳しい条件の気候や土地において、人々の暮らしを支えたものの1つが、鉱物などの資源の採掘や、それらの加工に関わる工業(鉱工業、その他)などでした。

Kiruna(キルナ)(スウェーデン語風に読むと「キールナ」)

その中でも、番組で特に中心的に取り上げられていたのは、スウェーデン北部の町「Kiruna」(キルナ)の例です。

以前のブログの記事にも書きましたが、キルナは鉱山の採掘産業を中心に成り立っている町です。

近年、採掘場所の拡張により地盤沈下の可能性が出てきたため、「町の移住計画」が数十年にわたり実行されていて、「教会の移動」のライブ中継などが話題になりました。

日本のニュースにもなっていたみたいです↓

産業に合わせて町を移動させる、まさに「産業都市」ということですね。

鉱山事業により人々が移り住み、町がつくられるー住居、学校、その他

キルナはスウェーデンの中でもかなり北部に位置する町で、もともと厳しい気候下にあった(寒くて風が強い)ため、人々は貧しく(仕事も無く)大変な生活を余儀なくされていたそうですが、20世紀初頭に鉱山の開発が始まったことから、鉱山を中心に町が整備されていきました。

その例の1つが、働く人たち用の住居(宿舎)の建設です。

番組でも取り上げられていましたが、宿舎は天井も高く、外観もきれいな感じで、今もまだ残っています。

今は町の移転計画のためにあえて空き家になっているそうですが、もともとは単身者向けに作られた宿舎が、1950年代には家族向けにリフォームされ、多くの家族がその住居で過ごしたそうです。

働く場所ができることで、労働者たちが移り住み、労働者用の住居が整備され、子どもが増え、学校や遊び場ができる…。

そういった一連の流れがとてもおもしろいなと思いました。

キルナの場合は、特に1950年代に事業が拡大し、それに伴って町も大きくなっていったそうです。

町全体の作りも気候条件に合わせたものになっていて、風が吹き抜けることのないようにわざと通りが曲がりくねっていたり(まっすぐな通りを作らないようにしたり)、太陽光をなるべく取り入れられるようになっていたり、工夫されて設計されているそうです。

文化的な施設、スポーツ等の娯楽

また、これはキルナに限ったことではありませんが、「働く場所」や「住居」といった必要最低限のものだけではなく、多くの産業都市では「文化」的な施設や娯楽、「スポーツ」を楽しむ施設なども(地元のスポーツチームの設立や観戦施設も)徐々に整備されていきました。

働くことしかできないと、人々のストレス発散方法がお酒に向いてしまう、それは良くない、ということだそうです。

つまり、「仕事、衣食住、子どもの教育、医療、文化、スポーツ」などなど、これらすべてを備えていたのが多くの産業都市だった、と。

それは素晴らしいことである一方、裏を返せば、もしもその産業が何かの理由でダメになったり、自分自身が健康上の理由などで働けなくなってしまったら、これらすべてを失うことになります。

番組では、「その産業がもしもダメになったり、その人自身が働けなくなったとしても、町やその人が生き残っていけるような仕組みを作る方が、より良いのかもしれないね」と言っている意見もありました(理想論なのかもしれませんが)。

他にも、番組では実際にキルナの鉱山の地下に行ったり、キルナの町の人にインタビューしたり、色々やっていておもしろいのですが、そこは省略しますね。

キルナ以外の例ー戦後の厳しい時代

また、キルナの場合は鉱山事業が続いていますが、他の町で見てみると、必ずしも好調な事業ばかりではなかったようです。

番組で例として出ているのはFacit社(ファシット社)の例です。

私もあまりよくわからないので、間違えたことを書いていたら申し訳ないのですが、Facit社は地元エステルヨートランド地方のÅtvidaberg(オートヴィーダベリィ)で産出される「銅」を使った製品(部品)を最初は作っていました。

その後、銅製品があまり売れなくなると(?)、次に地元の「木材」を使った家具(オフィス家具など)を作るなど、時代に合わせて扱う製品を変えて生き残り、最終的には「機械式計算機」の製造でかなり発展したそうです。

一時は世界的にかなりのシェアを誇っていたとか。

が、その後、電卓やPCの登場で打撃を受け、徐々に事業を縮小。今はもう会社は無いみたいですね。

特に1970~1980年代においては、世界の「他の国々の戦後の復興」に伴い、スウェーデンの工業(産業)全体の勢いが衰退した時代でもあったそうです。

(他の国が「より安く」「より良いものを」作れるようになってきたため。その中には日本も含まれています)

工業/産業の衰退に伴い、雇用が失われ、人々は慣れ親しんだ土地を離れなければいけませんでした。

「産業中心の町づくりではなく、町と人を中心とした街づくりをしろ~」「産業を優先するな~」といったデモなども行われたそうです(でもそれって果たして可能なのでしょうか。とても難しそうな気がします)。

一度廃れてしまった地域は、「かつての産業都市」ということで、なんとなく悪いイメージを持たれてしまったり、「ダサい町」「美しくない町」のように思われてしまうこともあるそうです。

文化を残す、再利用する

そんなかつての工業地域・産業都市も、廃工場をショッピングセンターとしてリフォームして再利用したり、かつての事業で加工した製品を新しい建物の外壁に利用するなど、「過去の産物を取り壊すのではなく、文化にして残そう」という動きもある、という方向で番組は終わっていました。

確かに、廃工場をリフォームして別の建物に使う(カフェやイベントの施設など)というのは、たまに見かけるような気がします。かっこいいですよね。日本でもありますよね。

また、キルナの場合もそうですが、鉱山採掘などの事業(輸出)を今後もどんどん拡大していって良いのか?という所もまた考えるべき課題だそうです。

資源は無限ではないからです。


以上、工業地域(産業都市)についての回でした。

この回は私的には結構おもしろかったな~と思っています。

スウェーデンって、工業地域や産業都市が多い感じがするので(ニッケルハルパが伝わっている地域もちょっとそんな感じがします)、この回を見ると、他の地域のことも少しわかるような気がしました。

ちなみに、記事冒頭の写真は、キルナではありませんが、ダーラナ地方のFalun(ファールン)の鉱山の写真です。この鉱山もすごく広かったです。

では、今年もよろしくお願いいたします。