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弾いている時に「考えすぎる」のを手放す

/ スウェーデンの民族楽器「ニッケルハルパ」奏者

私は弾く時に考えすぎる癖があるので、最近はあえてあまり色々考えないようにしています。

きっかけは「寝る前やお風呂に入っている時など、リラックスしている時こそ脳が活性化している」という話を聞いたからです。その話が本当かどうかは別として、というか例え本当ではなかったとしても、おもしろい話だったので試してみました。普段の自分のやり方でうまくいかない時はあえて違う方法を試してみると、うまくいく時があるからです。(ちなみに、この話に根拠があるかどうかはどうでも良いです笑)

結論を言うと、演奏が良くなりました。私の場合は特に右手をコントロールしようと思いすぎて固めていたところがあったのですが、腕と手首から先がより自由になった気がしますし、きっと他の部位にも影響していると思います。あと演奏全体に対する意識が少し変わりました。

楽器の演奏は身体で行うので、全ての動きを頭で考えてコントロールしようとするよりも、ある程度は身体に委ねてしまうのも良いのかもしれないと思いました。もちろんバランスの問題だと思うので、これをやって効果がある人もいれば無い人もいると思います。特に私は普段頭で考えすぎているから有効なのであって、普段から何も考えずに弾いている人はやる必要がないかもしれません。

ただ、ニッケルハルパに限らず考えながら弾いている人は多い気がします。弾いている時に目が据わっている人、どこかあらぬ方向を見ている人は、集中するために意識が別のところにいっているような印象を受けます(それが悪い訳ではないです)。反対に弾いている時に一緒に弾いている人を見ていたり、お客さんを見ていたり、周りの状況を見られている人は余裕があるように見えますし、演奏も地に足がついているように聴こえます。

それに、頭で考えて演奏をコントロールしようとするとその日のメンタルに影響される部分が大きい気がします。自分のメンタルの調子によって演奏の調子が変わってしまうよりは、安定した演奏がしたいなと常々思っていたので、身体をある程度信頼してそこに任せる方法、というのも試してみたいなと思っていたんです。今までその勇気がなかっただけで。もちろん安定した演奏をするためにメンタルを鍛えることも大切ですが、どんなに鍛えても心というのは調子が良い時もあれば悪い時もあります。人間なので仕方がありません。天気によって気分も左右されるし、緊張もするし、演奏本番前に何かハプニングが起こるかもしれません。もしくはすごく嬉しいことがあって、はりきりすぎてカッコつけたくなるかもしれません。感情は、抑えつけてしまうと逆効果だと思っています。だからこそ、自転車の乗り方を覚えるように、演奏を身体で覚えていくことで心にも余裕を持ちたいんですよね。


留学中、演奏コースの生徒も必修でダンスの授業がありました。その時にダンスの先生が教えてくれました。

「去年、生徒から『ダンスで毎回同じように踊ろうと心がけているのか、それとも違うように踊ろうと心がけているのか?』と聞かれて、こう答えたんだ。『毎回同じように踊ろうと心がけている。そして願わくば、その【同じように踊ろうと心がけたダンス】が毎回違うものであっていて欲しい、とも思っているよ』

「自分、良いこと言うなー」って先生自身も思ったらしいのですが、私達もそう思いました。

私の場合は「毎回同じように弾こう」とは思っていないのですが、自分が意図したものと実際のパフォーマンスが違うものになる、というのはとても素敵なことだと思いました。演奏やダンスを完全にコントロールすることはできないし、見ている人や聴いている人の受け取り方によってもその印象や意味合いは全く変わってきます。

頭で考えてコントロールしようとするのを手放す、というのは「自分を信頼する」ことにもなるのかなと思います。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。