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目的によって練習方法(内容)を変える、練習方法にバリエーションを持たせる

/ ニッケルハルパ奏者

私は普段、その日の自分の音の状態によって、練習方法や練習目的を変えながら練習しています。

今回はこのことについて書きます。

やみくもに練習していた

以前(数年前)の私は、練習方法がよくわからずにいました。

「曲を覚える」という段階では、「音を覚えて、指と弓を練習して…」というようにある程度やることがわかっていましたが、曲を覚えて以降、いったいどうやってその曲をより良く弾くことができるのか?はわかりませんでした。

それでも、試行錯誤して色々やってみてはいましたが。

手当たり次第に思いつくままにやってみて、様子を見て、やってみて、様子を見て…の繰り返しだったと思います。

特別な練習方法を見つける必要がある、と思っていた

また、『何か「特別な練習方法(練習メニュー)」を見つけて、その練習方法で練習していけばうまくなるのではないか』と考えていたところがありました。

その練習方法(練習メニュー)さえ見つければ、あとはそれに従って練習すればいいだけだ、という。

「ルーティーン」のようなものを期待していました。

目的に応じて練習を変えること

しかし最近練習していて、

「その時の自分の音の状態によって、必要な練習は常に変わる(その時々で変化させる必要がある)」ということ、

また、手当たり次第にやるのではなく「目的を持って、小さな練習を色々なバリエーションでやってみると良いのかもしれない」

と思うようになりました。

たとえば、このような感じです。

・弾いていて力が入ってしまう、響きがかたいと思ったら

→力を抜いて音を出す練習や、共鳴弦の響きを感じる練習をする

・「音がぼやけている」と感じたり、もっとキラキラしたハリのある音を出したいと思ったら

→弓を弦にバウンドさせずにすっとつける練習や、弓から弦に圧力をかけて、さらに一気に圧力をゆるめて音を出す練習をする。鋭く弾く練習をする

・曲の最中に弓がばたつくと思ったら

→弓のどの部分からでも音が出せるように、色々な所からいきなり音を出す練習する

・動きが小さい、勢いがない、こじんまりしていると思ったら

→響きのコントロールは一旦置いておいて、とにかく自分が動きたいように動いてみる。そこから響きや弓のコントロールをどうしたらいいかを考える

など。

こういった練習は、練習時の動き(テクニック)をそのまま単独で曲の中で使うことはあまりなく、実際には色々な要素を組み合わせて使います。

やみくもに曲を弾いて、こういった複数の要素を混ぜて考えるよりも、まずは今の自分に足りない要素を小さく取り出して練習した方が、より練習時間を効果的に使えるし、練習中に飽きたり集中力が切れることも少なくなると思いました。

また、特別な練習方法や日々のルーティーンを作るよりも、今の自分の音や演奏を聴いたり見たりして、「今の自分に必要な練習」を適宜入れていく方が、私には向いているのかな、と感じています。

日々のルーティーンは作らなくても大丈夫、練習方法は日々変えて大丈夫なのだ、と思いました。

大事なのは「目的」と「現状」を知ること

練習方法を考える際に、大事なのは

  • 自分がどういう音を出したいのか(どういう音をイメージしているのか)を知ること
  • 今の自分の音がどうなっているのかを知ること

かなと、思います。

「自分が出したい音」と、「今の自分の現状」を知ることです。

この2つを意識することで、自分がどういう音を目的としていて、そのためにもっと何をどうしたらいいのかがわかるようになります。

「今の自分に何が一番必要か」を認識して、目的を限定したトレーニングを取り入れることで、より効果的に練習できると思います。

例:「響きがかたい」と思った時はこういう風に練習してみる

たとえばですが、さきほどの例で書いたように、「今の自分の音はかたい。もっとやわらかい響きを出したい」と思ったら、共鳴弦の響きを感じられるような練習をします。

私の場合、共鳴弦の響きを邪魔しているなと思う要素としては、

  • 「圧力をかけようとして手に力が入り、響きをつぶしてしまっている」
  • 「テンポが速くて、響きをイメージできないまま弾いてしまっている」

などがあるので、以下のような練習をとりいれます。

  • あえて弓に圧力をあまりかけずにやわらかく音を出してみる(1音ずつ)
  • 曲は弾かずに、その曲のキー(調)の音をスケール(ドレミファ…など)でゆっくり弾いてみて、そのキーの響きを知る
  • 弓を上の方からポンッと軽く(でもある程度の勢いで)弦におろして、音をポンッと出し、残響を聴く
  • 響きを聴きながら、ゆっくり弾く

この時の弾き方は、実際に曲を弾くのとは違った弾き方になるかもしれませんが、それで大丈夫です。

運動選手が筋トレをするのと同じような感覚で、細かい動きに特化したトレーニングやイメージトレーニングをすることで、実際に曲を弾いた時にもそれらの動きやイメージが自然とできるようになるのを目指します。

まずは響きのイメージを作ることと、その響きを生み出す際の自分の身体の感覚をすり合わせていく、ということを行います。

また、上に書いた練習はすべて右手のことですが、左手のキーを上げる力が強すぎて響きを消している場合もよくあるので、次のような練習も良いと思っています。

  • 左手だけ動かす練習(=右手は動かさず、音も出さずに、左手だけ曲を弾いているつもりで動かす)
  • 左手の感じに注意しながらゆっくりと曲を弾いて、1音を長く弾き、響きを感じる

1つ目に書いた練習の「左手だけ動かして練習する」という場合、特に注意すると良いと思うのは、「開放弦のラやドの音や、指を動かさないようなフレーズの時にも、その音を弾いているつもりでいる」ということです。

これはやってみるとわかると思うのですが、左手だけで曲を弾く動作をした場合、「開放弦の音」や「指を動かさないようなフレーズ」の時にどうしても思考が一瞬止まるというか、指のアクションが無いというだけでその瞬間の音楽が途切れがちになると思います。

(「ここは左手は動かさなくていいから楽ちんだ~」みたいに考えてしまい、音楽のことを一瞬忘れたり、「休み」のような感覚で一瞬ぼーっとしてしまう)

開放弦で左手の指が一切キーにふれていなかったり、指の動きが無い時(分散和音を弾く時など)であっても、「それらの音を弾いているつもりでいる」だけで、開放弦を弾いている最中の左手の雰囲気が全く違ったものになりますし、前後の音とのつながりがなめらかになります。

また、右手と左手を分けて練習するだけでも、それぞれのやりたいことがより明確になり、動きが整理されます。


こんな風に、「響きがかたいな」と思った場合だけでも、考えられる練習方法というのはいくつもあります。

自分次第、やり方は常に変わる

そして、実際に今、どういう練習をするのかは自分次第です。

だらだらと長時間練習するよりも、自分なりの目的を意識して練習することで、1つの練習による効果がより大きくなり、練習時間を有効に使うことができます。

5分10分の練習時間であっても、こういった練習をちょっとだけしてから曲を弾くと、弓や楽器への触れ方・扱い方が変わると私は感じています。

また、昨日うまくいった練習方法が、今日はあまり役に立たない(効果が得られない)ということもあると思います。

人は常に変化しているので、練習方法も常に変化します

さきほどの例でいえば、「共鳴弦の響きを感じよう」と思って最初はやわらかく弾いていたけど、そのうちそれができるようになってきて、今度は「やわらかいけど音がぼやっとしている・音のハリが欲しい」と思うようになり、今度はあえて鋭く弾く練習をする…など。

昨日と今日とで、一見矛盾するような、真逆の練習が必要とされることもあります。

目的に応じて自分で練習方法を変え、さらに練習方法にバリエーションをもたせることで、今の自分がどういう状態であっても(壁にぶつかっていたとしても)、前に進むことができると思います。


以上、練習方法について書きました。

ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。

通常のレッスンやオンラインレッスン、動画レッスンでもこういった細かい練習方法を1つずつお伝えしていきたいと思っています。

もちろんブログでも、書いていきます。

お読みいただき、ありがとうございました。