話が飛び飛びになりますが、ブレーキンゲでの2年を終え、そしてその後のストックホルムでの半年間の滞在を終えた私は2015年の年末に日本に帰国しました。
燃え尽きたというかなんというかという感じで、帰ってきてしばらくはやる気が出ませんでした。部屋の片づけをずっとしていました。
自分には何もできないような気がしていました。でも2か月くらいぼーっとした後、またスウェーデンに行こうと急に思いました。そうしたらそれまで感じなかったようなパワーが湧いてきました。そのためにお金を貯めよう、そのためにバイトをしようと思い、実際にバイトを始めました。
そして、ニッケルハルパも始めました。
なぜニッケルハルパを始めようと思ったのかはわかりません。スウェーデンと関係することがしたかったから。音楽がやりたかったから。またスウェーデンに行く口実が欲しかったから笑。EmiliaのCDを聴いていたから。サマーコースが楽しかったから。色々理由は挙げられると思います。どれも合っていますがどれもしっくりこないような気もします。(サマーコースは印象的でしたが、「よし、帰国したらニッケルハルパを始めよう」とは全く思っていませんでした)
私がスウェーデンに初めて行った時もそうでしたが、私は体験しているうちに好きになるということが多いのかもしれません。最初に何かすごいきっかけがある訳ではなくて、でも行ってみたら良かった。聴いてみたら良かった。弾いてみたら楽しかった。など。
私は今まで、何かを始めたり好きになる時には「ちゃんとした理由がないといけない」と思っていました(受験でも就活でも、必ず面接で聞かれますから)。でも何かを始める時に、特に理由も何もなくなんとなく(もしくはなんか下世話な理由とかで)始めて、やっていくうちに好きになるというのも全然ありなんだなと思います。というかそうでないと、私は自分のことを説明できません。
何か始めたり好きになることに、別に理由は無くても良いんですね。一つ学びました。
さて、ニッケルハルパを始めようとした私ですが、「ニッケルハルパ」で検索すると必ず上の方に本田倫子さんのニッケルハルパ留学のブログが出てきます。そしてその他にもニッケルハルパ協会のホームページも上の方に出てきます。
ただ初心者の私には何がなんだかよくわからなかったので、そこで更に「ニッケルハルパ 教室」で検索してみたところ、レソノサウンドの体験教室のページにすんなりとたどり着きました。
2016年3月開講予定のの体験教室というのがあり、早速申し込みました。
申し込んだ時は「ニッケルハルパを始めたいだなんて、変な人だと思われないだろうか」と思っていました。ということは、私自身が「ニッケルハルパに興味を持つ人は変わっている人だ」という思い込みがあったのでしょうね笑。変わっているか変わっていないかという話をすれば、人は多かれ少なかれ変わっているので(普通の人なんて実はいない)自分が変わっているのだと自覚して受け入れてしまった方が楽に生きていけるなあと今は思います。皆、実は変。
話が逸れましたが、そうして私はニッケルハルパを弾き始め、とんかつ屋さんでのバイトも始め、それなりに充実した日々を送っているはずでした。が、それがいつの間にかバイトだらけの日々になり、ニッケルハルパに触れる時間が全くとれなくなりました。2016年の6月頃までは良かったのですが、7月くらいからはもう全然ニッケルハルパをやる心と身体の余裕が全くなくなりました。
そんな中、ニッケルハルパ教室で先生をしてくださっていた鎌倉さんは何度もイベントに誘ってくれました。私はそのお誘いを断りたくはないのだけれど、正直しんどすぎて断らざるを得ず。そんな日々が約1年続きました。
スウェーデンでは一切働くことができなかったから、最初は単純に働けるのが嬉しかったんです。仕事を覚えてできることが増えていくのも嬉しかったんです。でも私は一人で抱え込みすぎました。
そして私は決めました。「このままでは地獄だ。私はもう一度スウェーデンに行くんだ。ニッケルハルパもやるんだ」
2017年9月からはバイト先は変えずに働き方を変え、スウェーデン語の勉強とニッケルハルパの練習に時間を割くようになりました。そして2018年3月頃、Eric Sahlström Institutという学校に申し込み、私は2018年8月からスウェーデンに再び留学したのでした。
2016年3月にニッケルハルパ体験教室に行った時、鎌倉さんの話すスウェーデンの風景が私の中のスウェーデンと重なりました。私がいたところは南の方で、かこさん(鎌倉さんのこと)がいたところとは全然違う場所だし、私は民族音楽の世界は全く知らなかったのに、それでも同じような景色を見、同じような人に逢い、同じようなことを思うのは「スウェーデンという国とそこで暮らす人々がそうだから」なんだろうなと思いました。そのことに私は安心しました。
大丈夫。なんかちょっと精神的に崩れた時期(ブレーキンゲの後の半年)もあったけど、やっぱりスウェーデンはスウェーデンだ。私はスウェーデンが好きだ。私は私の見たものと感じたことを信じよう。
そう思い、私はおそらく最後になるだろう長期留学へ旅立ちました。もうこの頃には、スウェーデンに住みたいという思いは少し薄れていました(それでも周囲には『スウェーデンに住みたい』と言っていた気がしますが笑、心の中ではもうちょっと冷静でした)。それよりも、学べることを学んで掴めるものを掴んで帰ってくること。予想もしない運命の出会いとか、何か思いもかけないことが起きてミラクルな人生を送るようになるとか、そういうのを変に期待するのはやめました。自分の手でチャンスを掴むこと。自分の足で踏み出すこと。できることをやること。そうすれば、それがスウェーデンであろうと日本であろうと私は自分らしく生きていけると思いました。
今日もお読みいただき、本当にありがとうございます!