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「17分でわかるスウェーデンの伝統音楽」の動画の内容紹介①(伝統音楽の紹介・役割)

/ ニッケルハルパ奏者

以前、「17分でわかるスウェーデンの伝統音楽(Svensk folkmusik på 17 minuter)」という動画を少しご紹介したのですが、

動画がスウェーデン語なでよくわからないかもしれないので、私のほうで日本語にまとめながら、簡単に内容をご紹介したいと思います。

(訳だと権利的に微妙かもしれないので、訳(完訳)ではなく、私が要約するような形でいきます)

※以前動画を紹介した時の記事→思いついたこと、最近見た動画など

動画

動画はこちらです。

以前たまたま見かけた動画なのですが、教育的な意図で作られている動画のようで、伝統音楽の演奏家も協力しています。

動画の内容の良しあしや是非については私は特に論じませんので(基本的にどんな情報にも諸説ある分野なので)、「スウェーデンの伝統音楽(Folkmusik)に関する一般的な説明の1つ」というような感じで、気楽にご覧いただければと思います。

内容紹介

Folkmusik(伝統音楽/民族音楽etc)について

「Folkmusik(=Folketsmusik、人々の音楽)」という言葉は様々な文脈で使われているが、基本的には「1人の演奏家(spelman)により演奏される音楽」をさすことが多いかもしれない。

Folkmusikは口頭伝承(Muntlig tradition)により広まってきた。つまり耳で聞いて伝える音楽(gehörsmusik)だ。

直接人と会って、音楽を聞くことで、世代から世代へ伝わっていった音楽である。

この音楽はどこから来たのか?

芸術的な音楽やポップスなどでは、その曲を作った人(Upphovsman)がいるものだが、伝統音楽においてはそれが不明であることが多い。

時には、神秘的な説明がなされることもある。自然の中から曲が生まれた、という考えだ。

たとえば、昔の人は「ネッケン(Näcken)から演奏を教わることができる」と信じていた。

木曜日の夜に連続して3回(連続して3週の毎木曜日の夜に)河辺に行き、水の音をしばらく聞いていると、音や旋律が聞こえてきて、曲になる、というものだ。ちょうど「ネッケンのポルスカ(Näckpolskor)」の1曲のように。

(※「ネッケンのポルスカ」というのは伝統曲で、色々な地域に、様々なメロディで存在しています)

また、人々が外国に旅行に行くようになると、海外から曲や音楽を持ち帰ることもあった。

Folkmusikで使われる楽器

スウェーデンの伝統音楽を初めて耳にする人は、その多くの演奏がフィドル(Fiol)によるものだと気づくだろう。

しかしまた、ニッケルハルパ(Nyckelharpa)やアコーディオン(Dragspel)も一般的だし、他にもたくさんの楽器がある。

(※その他の楽器とその名前がたくさん表示されています)

Folkmusikの6つの役割

①祝祭の音楽(Högtider)

こんにちでは、様々な祝祭で伝統音楽を聞くことができる。

たとえば、結婚式(Bröllop)、お葬式(Begravning)、クリスマス(Jul)(※ツリーの周りで踊ったり、皆で歌いながら踊る)、それから、祝いの食事の席を開始するための特別な「Skänklåt(フェンクロート)」など。

②ダンスの音楽(Dansmusik)

また、ダンスの音楽もとても一般的だ。

たとえば、Långdans(ロングダンス)や、Balladdans(バラッドのダンス)、一部のSångleka(ソングレーカ=遊び歌)などは、スウェーデンでも最も古いタイプのダンスの音楽である。

(※バラッド(ballad)…物語などを歌った民謡・伝承歌。短いメロディにたくさんの歌詞(何十番もあるものも)がついていたりする)

夏至祭や、ロッジ(小屋)で行われるダンスの音楽でも伝統音楽を聞くことができる。

よく踊られるダンスとしては、ワルツ(Vals)やショッティス(Schottis)、ハンボ(Hambo)もあるが、

とてもたくさんのパリエーションがあり、多くの人が愛するのがポルスカ(Polska)だ。

こういった伝統的なダンス・曲・リズム・歌は、伝わった地域によって異なる特徴がある。いくつかの例でポルスカのリズムを感じてみよう、1・3・1・3…。

(※ここでいくつかの地方の曲が流れる)

③家畜を呼ぶ歌/牧畜の歌(Vallmusik)

Vallmusikもまた、伝統音楽の最も古いものの1つである。

これは動物とコミュニケーションをとったり、少し離れた牧場にいる人々同士で連絡をとる時に使われた。

使われる楽器は、角笛や笛などの息を吹き込む楽器、離れた場所でも聞こえるような歌(※高い声の特別な歌)など。

動物が好むのは穏やかな曲だ。

そしてこれらのメロディの一部は、子守唄(Vaggvisor)として今も残っている。

④子守唄(Vaggvisor)

子守唄は、人間が存在する限り使われてきた音楽で、子どもをなだめたり眠らせる時に歌われてきた。

⑤伝承歌や物語(Visor&berättelser)

文字(書き文字)が発明されるよりも前は、人々は歌を歌って互いに語ることで、歴史やできごとや伝説を保存してきた。

こういった物語、神話/伝説(sagor)、詩(verser)、歌詞(sångtexter)は時にはいくらでも古いものにさかのぼることができる。

その後も、人々は、起きたできごとや、望み、冗談などを歌にしてきた。

歌は、音楽と言葉を同時に表現できるものなので、メッセージを教えたり伝える重要な手段として使われてきた。

⑥労働歌(Arbetsmusik)

伝統音楽の重要な基本の1つは、リズムである。

人々は歌い、演奏し、リズムを足踏みした。

労働をする際に、リズム感のある民謡などを歌ってきた。

鉄道の線路を敷く線路工夫、重い漁網を引っ張る漁師、重い荷物を運ぶ港湾労働者など。リズムにのって運ぶと運びやすかったのだ。

また、畑で綿花を摘む奴隷のことを考えてみると、彼らの労働歌がブルースやジャズになった。

その他にも、皆で一緒に歩く際のリズムを生む音楽、たとえばゴングロート(gånglåt)や結婚行進曲(brudmarsch)などがある。

(※いきなり奴隷の話が出てきてちょっと面食らったのですが(ブルースやジャズなど、スウェーデンというより急にアメリカの話?が出てきたような気がしたのですが)、そのまま載せます)

(今回はここまで~7:48)


長くなりそうなので、続きはまた次回です。

伝統音楽について、よくまとめられていてわかりやすく、興味深い動画になっているのではないかなと思います。

ちなみに、スウェーデン語が少しわかる方や、内容をきちんと知りたい方は、ぜひ自分で動画を見て、辞書をひいてみてくださいね。自分で調べる方が勉強になるし、わかると楽しいので。

ではまた明日。