動画などでお話ししている内容と同じなのですが、私がスウェーデンの伝統音楽(伝統曲)をはじめて教わった時のことや、その時に思ったこと(伝統音楽で興味を持ったこと)について書いてみます。
サマーコース
そもそも私がスウェーデンの伝統音楽に出会ったのは、演劇で留学していた先の学校で、学年修了後(2015年6月)の夏季休暇中に行われたサマーコースでした。
このサマーコースは、会場こそ学校で行われていましたが、学校が主催していたものではなく、おそらく自治体などが主体となって毎年行われていたサマーコースのようです。
(今年もやっていたみたいです。Blekinge Jazz & Worldという5日間くらいのコースです)
様々な音楽ジャンルのミュージシャンが先生となって、色々な種類のワークショップを受けられるというもので、アコースティック楽器か歌であれば何の楽器でも参加OKでした。
私はもともとクラリネットを吹奏楽部で吹いていたので(中学・高校)、クラリネットをスウェーデンまで持っていっていたんですね。なので、このコースもクラリネットで参加しました。
基本的に、内容としてはジャズが多めで、あとアイリッシュ、スウェーデン(楽器、歌)、無国籍な感じのインプロヴィゼーション(これだけ私は時間の都合で受けられなかった)、マインドフルネスなど。
曲を教わるものから、先生の話を聞くのが中心のものまで色々ありました。
スウェーデンの伝統音楽の授業
そんな中でスウェーデンの伝統音楽の授業もありました。
先生はニッケルハルパ奏者のかなり有名な女性だったのですが、当時は私はそんなことは全く知らなかったので、「なんかかっこいい女の人だな~」という印象を持ちながら授業を受けました。全部で2コマくらいありました。
(授業は人数がばらけるように運営側が適当な組み合わせで組んでくれるので、そのタイムスケジュールに従って各自動いていました)
その授業で、「ポルスカ」(スウェーデンの伝統音楽で最も多いタイプの曲)というものがあること、それが「3拍子」であることや、「1拍目と3拍目で足踏みしながら演奏すること」などを聞いたり、歌も歌ったりして、曲を教わりました。
このサマーコース自体は本当になんでもありな感じで、その雰囲気がすごく楽しかったですね。
参加者も皆さん音楽をとても楽しんでいて、オープンな人たちで、空き時間にセッションしたりして楽しかったです。
伝統音楽を体験して思ったこと
前置きが長くなりましたが、伝統音楽をはじめて体験した時に思ったことがこちらです。
①楽譜が無いのが良かった
スウェーデンの伝統音楽は、楽譜を使わずに曲を教わるスタイルが基本です。
とにかく何度も弾いて、曲や音を覚えていきます。
一応、こういったサマーコースなどでは、先生が気を遣って楽譜を準備してくれて授業後に配ってくれたりしますが、教わる時は楽譜は使わないですし、演奏中も楽譜を見ながら演奏することはあまりありません。
それが、「いいな」と思いました。
私は楽譜があるとけっこうそれに縛られる気がしてしまって、身体が硬くなるというか、音が硬くなってしまうんですよね。
吹奏楽部の時にわりとそれを感じていたので、楽譜が無いとすごくありがたいな~と思いました。
あと、楽譜が無いと、お互いの顔を見たりもできるので、コミュニケーションがとれる感じがして、それも良かったです。
といっても、教わったばかりの曲ではそんな余裕は無かったかもしれませんが(笑)
②曲が短い・シンプルなのが良かった
楽譜が無いのもあって、伝統曲は曲が短くてシンプルです。
曲の基本の構成は「前半部・後半部の2パート構成」になっていて、それぞれを2回(前半×2+後半×2)弾いて1曲が完成します。
その1分くらいの曲を、何回か繰り返して演奏するだけなんですね。
曲がシンプルなのも、「いいな」と思いました。
曲を演奏することだけに気を取られすぎずに、演奏の仕方や音色に気を配ったり、一緒に演奏している人とのコミュニケーションを大切にできる気がしたからです。
さきほども書きましたが、音楽をやる時に、私は音楽を介したコミュニケーションを大切にしたいと思っているみたいです。これはソロの時も同じだと思っていますが。
授業では先生がアレンジを提案してくれて、アレンジしながら皆で演奏しました。
最後のコンサート
さて、当時伝統音楽に対して思ったのはそんなところだったのですが、サマーコースの最終日の前夜に、参加者+先生によるコンサートがありました。
このコンサートは、自分で今まで受けたクラスのどこかを選んで、選んだ人たち全員で、クラスで教わった曲を演奏する、というものでした。
(それに加えて、有志の個人発表もありました)
私はどこのクラスを選ぶか特に決めていなかったのですが、参加者の中にジャズ経験者が多かったこともあり、特にサックスのおじさんたちが皆ジャズを選んでいて、ジャズのクラスがどこも大盛況だったんです。
で、伝統音楽の方はあまり人気が無いみたいな感じだったので、「じゃあ伝統音楽の方にいこうかな」と思って参加したら、これがまたおもしろかったんですよね。
リハの時間もそんなにたくさんとれないので、パッとリハして、あとはもうぶっつけ本番!って感じでしたが、楽しかったです。
コンサートの後に、皆でセッション大会みたいな感じになったのですが、その時間もすごく楽しかったですね。
その時はもう音楽のジャンルとかは関係なくて、先生たちとも話ができてとてもおもしろかったです。
泥棒が入った
ここからは余談なのですが。
コンサートの夜は結局、夜中の2時くらいまで先生たちと話をしたりして、とても楽しい気持ちで寮に帰って(寮は学校と同じ敷地内にある)寝ました。
翌日(サマーコース最終日)はそんなにやることはなくて、皆で最後の挨拶などをしながら午前中を一緒に過ごした後、少し豪華めのランチを食べて終わり!となるはずが、
朝食を食べに学校に行ったら「昨夜食堂に泥棒が入って、今警察が調べているから、食堂が使えない」ということでした。
(ランチは急きょピザ屋さんでピザをとって、皆で教室でピザを食べて解散になりました)
その泥棒ですが、特に金品はなくなっていなかったそうなのですが、食堂の冷凍庫の中のアイスとか、お菓子とかを大量に食べていったそうです(笑)
愉快犯ですかね。
「ていうか、昨日の夜だったら、もしかして私たちがまだどんちゃん騒ぎ(セッションなど)をしていた時に、泥棒が学校にいたんじゃないかな…?」と思ったりしましたが(笑)
私たちがいたのは学校本体ではなくて、古い体育館の方だったので、もしも学校の方に行ってたら鉢合わせしてたかも!?と思いしました。
そんな思い出のあるサマーコースです。
以上、私がはじめて伝統音楽を体験した時の話でした。
サマーコースの最終日には先生達ミュージシャンによるCD販売の時間があったので、その時にニッケルハルパの先生のCDも購入して、日本に帰ってきてからよく聞きました。
私はこのサマーコースのことを思い出すと、いつも心があたたかくなります。
周りの人たち(先生も参加者も)がすごくオープンで、音楽を楽しむ気持ちで繋がれたのがとても楽しかったです。