スウェーデンの地方ごとの伝統音楽の特徴(4)です。
昨日で終わりにしようと思ったのですが、もう1地方だけ書こうと思います。
昨日までの分はこちら↓
それぞれの地方の伝統音楽の特徴…①ウップランド地方、②ダーラナ地方について
それぞれの地方の伝統音楽の特徴(2)…③イェムトランド地方、④ヴェルムランド地方について
それぞれの地方の伝統音楽の特徴(3)…⑤スモーランド地方、⑥その他南部の地方について
⑦Hälsingland
今回書こうと思ったのは、ヘルシングランド地方です。
こちらの青い丸の所です。
ちなみに、ヘルシングランドの「グ」は、言うか言わないかぐらいの(あまりはっきりと言わなくていいくらいの)グですね。
ヘルシングランド地方は、「装飾された木造の農家群(建物)」が世界遺産に登録されているそうです。
写真で見てみると、いかにもスウェーデンの昔の農家、という感じの建物で素敵ですね。
参考:Wikipedia「ヘルシングランドの装飾農家群」(日本語)
伝統音楽の話で言うと、ヘルシングランド地方の存在もかなり大きいので、紹介しておこうと思いました。
ヘルシングランド地方出身の伝統音楽奏者もたくさんいる印象ですし、曲もたくさん伝わっているイメージです。
以前書いた、「ステンマ」と呼ばれるイベント(伝統音楽やダンスなどを楽しむ集まり)も、ヘルシングランド地方だとDelsbo(デルスボー)で行われるステンマが有名です。長く続いているステンマの1つですね。
私は全然行ったことがないのですが、こうして動画で見ると行きたくなります。
なんとなくですが、伝統を重んじているというか、大切にしている雰囲気が感じられます。
曲の特徴
ヘルシングランド地方の曲も、私は全然詳しくないのですが、こちらのイメージです。
- 16分音符のポルスカが多い(ただしスレングポルスカとは少し違う)
昨日の記事では、「スレングポルスカとしての16分音符のポルスカ」についてご紹介しましたが、ヘルシングランド地方のポルスカは、スレングポルスカではない普通のポルスカの印象です。
ポルスカは3拍子のダンスの曲で、1・2・3拍のうち、1拍目と3拍目で足踏みするタイプのものですね。
スレングポルスカと、ポルスカの違いですが、そもそもダンスが全然違います。
また、楽譜に書かれた情報としては、スレングポルスカも普通の16分音符のポルスカも、どちらも同じような感じなのですが、
音楽的な違いという意味では、「曲のリズムの感じ方」や「雰囲気」に表れていると思います。
私のイメージで言うと、スレングポルスカの方が、「等間隔のリズムで、1拍目・2拍目・3拍目であまり違いを出さない、ずっと同じ感じ」なのに対し、
ポルスカの方は「1拍目・2拍目・3拍目の違いが出ていて(1で沈み、2で上がり、3でまた沈む)、ところどころ音の伸びなどがある感じ」という印象があります。
さらに、テンポ感や、曲のシンプルさ(16分音符の多さ)も若干違うかもしれません。
この辺はもう私の印象なので、違う考えの方もいらっしゃると思いますが。
楽譜にすると同じなのに、感じ方が違うというのはおもしろいですよね。
せっかくなので曲の音源を載せてみます。ヘルシングランド地方の曲です。
この曲を伝えた「Hultkläppen(フルトクレッペン、1834-1898)」というのは、ヘルシングランド地方の19世紀の有名な昔の演奏家です。
他にも。ヘルシングランド地方と言えば、Draupnerというバンドです。
この曲を伝えた「From-Olle(フロム・オッレ、1796–1876)」という人も、ヘルシングランド地方の有名な演奏家です。
あとたとえば。
タイトルのFlinkenというのも、この曲を伝えたFlinka Johane(Johan Johansson Flink、1827-1905)という演奏家のことだそうです。
今ご紹介した以外にも、現代の演奏家だと、Lena Jonssonや、The Nordic Fiddlers BlocというトリオのAnders Hallがヘルシングランド地方出身の演奏家で、ヘルシングランド地方の曲をよく演奏していてカッコいいですね。
私の、きわめて個人的なヘルシングランド地方の曲の印象は、「シュッとしていてカッコいい感じの曲が多い」です。
ヘルシングランド地方の曲は、これも短調・長調の曲の両方がたくさんあるかなと私は思っていますが、私の友達の友達(ヘルシングランド地方出身)によると、「短調の曲の方が多い」ということでした。これはその人の趣味かもしれませんが。
今回は簡単な紹介でしたが、ヘルシングランドも有名な曲や奏者がたくさんいるので、私がもうちょっと詳しくなったらまたあらためて書いてみたいと思います。
という感じで、今回はヘルシングランド地方について簡単にご紹介しました。
ヘルシングランドの曲は、ニッケルハルパだとけっこう難しいイメージがあって、あまり弾いていない(挑戦する余裕が今のところ無い)のですが、弾けたら良いなと思っています。
良い曲がたくさんあります。
地方ごとの音楽の紹介は一旦こちらで終わりにしたいと思いますが、少しでも楽しんでいただけていたら嬉しいです。
また何か思いついたら書こうと思います。