私はダンスにはあまり詳しくないのですが、今回はHambo(ハンボ)というダンスと、Hamboで代表的な曲のHårgalåten(ホルガローテン)という、悪魔が出てくるお話がついている曲についてご紹介したいと思います。
今回はブログを書く時間があまりとれなかったので、短くまとめて書いていきますね。
Hambo(ハンボ)
Hambo(ハンボ)はスウェーデンのフォークダンスの1種です。
ポルスカ(スウェーデンのフォークダンスで最もポピュラーなダンス)と同じく3拍子で、2人のペアで踊ります。比較的新しめのダンスで、19世紀後半~20世紀初め頃に踊られるようになったそうです。
ポルスカの親戚でもあり、ポルスカの曲が「Hamboを踊る曲」として演奏されることもよくあります。ただし、メロディが8小節単位で区切れるものであることが必要です。
テンポは速めのものからゆったりとしたものまでバリエーションがあり、1拍目にしっかり踏み込む(重みがある)のが特徴的だそうです。
そもそもの始まりは、1883年にElias Lindell(エリーアス・リンデッル)という人がHambopolska(ハンボポルスカ。Hamburska(ハンブルシュカ)とも呼ばれる)というダンスをストックホルムで紹介したことから始まっていると言われています。
Hambopolskaというのは、「ヘルシングランド地方のHanebo(ハーネボー)という地域で踊られていたポルスカ」で、19世紀前半にはすでに記録されているダンスだそうですが、
これが、polka-mazuruka「ポルカ・マズルカ」といったダンスがすでに踊られていたストックホルムの地域で紹介されたことにより、それまでのHambopolskaとはまた少し違う、新しい形のダンスとして踊られるようになりました。これがHamboだそうです。
1890年代にはストックホルムでかなり広まり、Hamboの曲も作られるようになりました。1910年代にはスウェーデンの各地で「流行りのダンス」として広まりますが、当時アメリカからも新しいダンスが入ってきていたことから、競合していたようです。
こちらはヘルシングランド地方(Hälsingland)で行われているHamboのコンテストの決勝の様子(2010)だそうです。ダンスはこのような感じですね。こちらの方々のダンスは、なかでもかなり美しい踊りだと思いますが。
さきほどの話の通り、Hamboのルーツがヘルシングランド地方にあることから、このHamboの大会もヘルシングランド地方で行われているみたいです。
Hårgalåten(ホルガローテン)
さきほどのダンスの動画で演奏されていた曲が「Hårgalåten」(ホルガローテン)という曲なのですが、この曲はスウェーデンの伝統曲の中でも、かなり有名な曲の1つです。
曲にまつわる話
この曲にはお話がついています。
内容を簡単にご紹介すると、「ある土曜日の晩、若者たちが踊っていると、演奏家の姿をした悪魔がやってくる。彼はフィドルを弾き、ホルガの村の若者たちを躍らせ、そのままホルガ山へと連れ去ってしまう。若者たちは、踊るのをやめることができず、死ぬまで踊り続けることになった」というものです。
Hårgalåtenの歌に、英語字幕のストップモーションをつけてくれている動画です↓少し怖いかもしれません。
途中で山羊の足のような絵が出てきますが、この曲に限らず、「山羊の足をしている」というのが、「悪魔」(人間ではない存在)の象徴として、よく描かれています。
この曲では、「演奏家が山羊の足をしていることに気づいたけれども(気づいた少女がいたけれども)、他の人は気づいておらず、その時点ではもう遅かった」という場面です。
(この動画は歌ですが、もちろん楽器での演奏もされます。楽器演奏の方がよく聞くかもしれません)
メロディ自体は様々な地域で伝わっていた
この曲、メロディ自体はスウェーデンの他の地域でも広く伝わっていて、様々な曲名で呼ばれる曲だったそうですが、お話の方はヘルシングランド地方のものなので(確認できる記録での初出は1785年)、話の内容と合わさっていつしか「Hårgalåten」(=ホルガの曲)と呼ばれるようになったみたいです。
他にも、Hårgalåtenで検索すると、演奏やお話についての動画が出てきますので、興味のある方は調べてみてください。YouTubeの最初の方に出てくる動画が途中から血まみれの動画だったりするので、怖いものが苦手な方はご注意くださいね。
参考
参考にしたページです。
3つ目の、WikipediaのHårgadansen(スウェーデン語)のページには、もう少し詳しいバージョンのお話も載っています。
Wikipedia「Hambopolska」(スウェーデン語)
Wikipedia「Hårgadansen」(スウェーデン語)
今回は、Hambo(ハンボ)というダンスと、Hårgalåten(ホルガローテン)という曲について、ご紹介しました。
私は留学先ではHamboの曲は全く教わる機会が無かったので、あまりよく知らなかったのですが(名前と、なんとなくのダンスのイメージしか知りませんでした)、今回調べてみておもしろかったです。
こういう、神秘的な曲や物語って魅力的ですよね。
これまでの記事で、古い演奏家の話でよく「信仰復興運動」(リバイバル)の話が出てきていましたが、この話も、もしかしたら教会や宗教関係の「フィドル=悪魔の道具」というイメージと関連しているのかもしれないなと思いました。