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Roger Tallrothのインタビュー動画紹介(要約)⑥

/ ニッケルハルパ奏者

今回もスウェーデンの伝統音楽のギター奏者Roger Tallroth(ローゲル・タルロート)のインタビュー動画の内容紹介(要約・訳)をしていきます。

昨日までの記事(①~⑤)のリンク→

今回の内容は、「練習方法について」「暗記方法、音を間違えた時」です。

インタビュー内容

前回が~33:52辺りまでだったので、その続きからです。

練習方法について

David:何かおすすめの練習方法(練習のアドバイス)はある?

Roger:ギタリスト向けに?

David:いや。ギタリスト向けでなくても良いよ。

Roger:OK。練習方法ね…。私が練習する時というのは、あまり「練習する」という感じではなくて、音楽を演奏するという感じなんだ。ただ、たまに…。

David:難しいパッセージなどにさしかかった時に、何か問題への戦略みたいなものがあれば教えてもらいたいと思うんだけど。

Roger:そういう時は、クラシックギターのレッスンを参考にしている。開放弦やポジション移動などを効果的に使って、「いかに少ない動きで弾くか」ということだね。大きな動き(飛んだりとか)をせずに流れを作ること。これは皆やっていると思う。

それから、私は「ゆっくりと」練習して、それが身に着くまで。そしてインテンポまで持って行く。

さらに、私は「後ろから」練習していく。終わりの部分から取り組んでいくんだ。クラシックギターの作品はそうだと思うんだけど、「ここに行き着くんだ」と意識しておく。そこから、少しずつ弾く範囲を反対向きに増やしていく(後ろから始めて、少しずつその前の部分を足していく)。開放弦と手の移動を含めて。

(※クラシックギターの作品の練習方法ってそういうものなのでしょうか。私は全然わかっていないのですが、とりあえず聞いたままに訳してみています)

David:あとは、大きい問題のある箇所を特定すれば良いよね。弾いていて自然に感じるところを特別にたくさん練習する必要は無いから、難しい部分だけ個別に取り組んで、解決策を見つけて、それから全体を合わせれば良い。

Roger:そう。また、私の場合は特別に「どこにカポをつけるのが一番楽に(うまく)いくだろう」というのも考える。なぜなら、私のギターのチューニングは特殊で、様々なオクターブの2つの音だけで構成されているから。

David:ぜひそのチューニング自体についても話してもらえるかな?もしも知らない人のために。

Roger:(ギターを取り出して)チューニングは高い方から順に「DADADA」。

David:マイクの影響で音が乗りにくいかもしれないけど、DADADAというのは伝わっていると思う。

Roger:私のチューニングだと、どの弦に対しても同じような押さえ方が適用できるし(音が2つしかないので)、通常のような3度の間隔は無いから、他の人にとっては簡単なコードが私にとっては難しかったりする。あとは、私が弾くものがⅠ、Ⅳ、Ⅴのどれなのかとか、カポをどの位置にするのかによって、押さえ方の組み合わせも変わるので、「一番少ない動きでできるような状況」を作っておくことが大事なんだ。

David:とてもロジカルだね。何か問題が起きた時に、まず問題にとりかかる前に「いかに問題を小さくするか」を考える、という。

Roger:その通り。そしてその後で弾く。繰り返し練習して、必要なら調整して。どこかの弦を1音上げてチューニングする時もある。それでより簡単になるなら。

つまり、もしもネガティブな言葉をあえて使うなら私のアドバイスは「怠ける」ことなんだ。

David:(怠けることは)賢いね。

Roger:自分が持ち合わせているもので、いかに楽にやるかなんだ。

David:いかに良い音(音楽)を作るために、いかに楽をするか、それが目的だからね。

Roger:その通り、それが目的だ。自分の指さばきを魅せつけるためにやるのではないから。最終的に良い音(音楽)を作るための、調整だね。

暗記方法、音を間違えた時

David:効果的な記憶術などはある?たとえば短期間で覚えなければいけない曲とか、舞台上にメモを持ち込みたくない場合とか。

Roger:完全にカンペ無しで、暗記するっていうことね。

(※ここの箇所があまりよく聞き取れなかったのですが、「何かのフェスティバル用のバンドとか、10周年記念の特別編成で様々な楽器と一緒にやる時などは、覚えることがたくさんあるよね」みたいなことを言っているかと思います)

私のアドバイスは、なるべく早い時期に紙を見ずにやる(紙に頼らないようにする)ということだね。「紙を見て弾く」という世界に「入り込まない」こと。曲や曲のテンポについて自分が感じること、自分たちの伝えたいことなどを信頼し、それを自分に刻み込む。「そうだ」と思えるくらいに。そして、録音を聞く。これが私のやること。

つまり、「(録音を)聞く」、「紙無しで取り組む」、そして「たくさん弾く」。

紙(メモや楽譜)無しで自分ひとりで覚えることは全然可能だから。たぶん3~4日あればできるんじゃないかな。最初の段階から紙無しで取り組むことで、格段に早く覚えることができるよ。

David:メモありきで練習しちゃうと見たくなっちゃうよね。

Roger:そう。メモを用意しておくと見たくなっちゃうんだ。

David:興味深いね。私も同じような方法をとっているけど、メモから離れられずに苦労している人も(リスナーの中に)いるだろうから。

Roger:最終的に、これは「挑戦すること」「自分を信じる」ことに繋がるんだ。私は暗記において問題があったことが無いから、「信じる」というのがわりとやりやすいのだと思う。

David:私の場合は、(リハ時などに)自分が間違えることを望んでいたりする。間違えたところはだいたい記憶に残りやすいし、他の人の出す音も聞こえているから間違いに気づいたり修正するのも早い。一人で紙を見ながら、間違い探しのように弾くよりも。それに、その方が、他の人がいざ違う音を出した時にもリアクションしたり他の人に合わせたりできるし。

Roger:そう。舞台上では、音楽がすべてだからね。あなたの言う通り。(=正しい音を弾くことよりも、舞台上の今の音楽を作り上げていくことに集中する方が良い)

私は時とともに、間違った音を弾いた時の修正の仕方とか、もしくは「間違えていない」かのように見せることがとても上手くなったし速くなったと自分で思っている。

David:私もそう。間違えたとしても、間違えたと思わせないようにすぐに軌道修正している。それで自分が計画したものとは違う音になったとしても、文脈(音楽)では大丈夫だったりするから。

Roger:そう。もし注意深く聞いていれば、細かく間違えていることには気づくかもしれないけど、大事なのは流れであり、ベースラインを止めないこと。なぜなら、リズムの明確さが常に無いといけないから。

特に、そういう(フェスティバルとかの)大きな舞台だと、たくさんの演奏家が舞台上にいるわけで、演奏人数が多いほど、自分がやることは少なくて良い。

David:たくさん弾けば弾くほどミスも目立つかもしれないし。

Roger:(舞台上にたくさんいる場合は)他の人とのバランスをとった方が良いから、ちょっと休みながら、「ここに何が必要だろう?何か必要な音はあるかな?」と聞きながらやった方が良い。

David:(音を入れる必要が無ければ)コーヒーを飲みに行っても良いしね。

Roger:そう(笑)「皆なんか良い感じだから、私はコーヒーでも飲みに行ってくるよ」ってね。(※冗談です)

(~42:30あたり)


あとものすごくちょっとだけなのですが、時間になってしまったので今回はここまでにします。

明日、残りの3分を訳して終わりですね。頑張ります。

では、今日は月曜日。また一週間が始まりますが、良い一週間になりますように。

今週土曜日にライブがあるので、もしよければぜひお越しくださいね。