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スウェーデンの歴史②青銅器時代

/ ニッケルハルパ奏者

スウェーデンの歴史について知るために、「Historien om Sverige」というスウェーデンの歴史番組(2023年)を見てメモしたことを書いています。

前回は石器時代を見てきました。

今回は青銅器時代についてです!

(今回、ウップランド地方の話が出てきているので、そこだけ深く掘り下げてしまっています。興味の無い方は読み飛ばしてくださいね)

★前回の記事→スウェーデンの歴史①石器時代

紀元前1,700年~紀元前500年頃ー青銅器時代(Bronsåldern)

青銅器時代は、スカンジナビアで1,200年間にわたって続いた時代です。当時の記録や文献等は残っておらず、神秘的な時代ですが、多くの痕跡が残されている時代でもあります。

痕跡というのは、たとえば前回も書いたような岩絵群(ペトログリフ、Hällristningar)、大きな墓と埋葬された空間、埋葬品、湖に沈められた捧げもの(供物)など。

この時代は「青銅(ブロンズ、brons)」が大きなカギを握っていました。そして、その青銅をめぐり、暴力と戦争の時代でもあったそうです。

【紀元前1,400年頃の女性の墓…「ティーエルプの女性(Tierpskvinnan)」】

当時の生活を知るために、ある実在した女性の一生を見てみましょう。

彼女はウップランド地方(Uppland)北部の海岸沿い、ティーエルプ(Tierp)の男性に嫁ぐため、ヨーロッパからやってきました。ティーエルプに埋葬されたため、彼女のことを便宜上「ティーエルプの女性」と呼んでおきます。

(※現在のティーエルプは海沿いではなく、内陸の方にありますが、当時はまだ海岸線がティーエルプの方までせまっていたみたいです)

彼女について解説しながら、当時の様子を見ていきます。

外から配偶者を見つけてくる(異婚、Exogami)ー外部との同盟関係を築く方法

特に社会的地位のある家での話だと思いますが、当時の婚姻のシステムとして、「男性は生まれた地に留まり、外部(離れた所)から配偶者(女性)を見つけてくる」というのが一般的でした。

これは、遺伝子上のメリットもありますが、「婚姻によって他の集団との同盟関係を作ることが、戦争や交易において有利だったため」とも考えられます。

青銅器時代は交易が重要な役割を果たしていたので、外部との同盟関係を築いておくことが大切でした。

また、当時、基本的に力(権力)を持っていたのは男性だったそうですが、外部からやってきた女性というのは、彼らの知らない「文化」や「知識」を持つ存在だったため、儀式や宗教におけるリーダーをつとめることがありました。

(それだけでなく、政治的にも女性が力を持っていたケースもあったかもしれない、ということです)

飾り・服

当時は多くの人が農民(農作業をして生活していた)でしたが、このティーエルプの女性は非常に高い地位にいた(裕福な家柄に属していた)ことが、埋葬品からわかっています。

彼女の埋葬品に見られる青銅の飾りは特別なものでした。特にユニークだったのは、6つのペンダントです。これは当時の北欧諸国には無かったもので、ドイツのリューネブルクの辺りからやってきたもの(彼女自身がドイツからやってきた)と考えられるそうです。

(当時、これらの地域とスカンジナビアの間では、交流が盛んに行われていたそうです)

服は「ウール(ull)」を着用していたと見られ、当時、ウールというのは新しくて高価な素材でした。

お墓の中で、彼女は、当時おそらく最高級だったであろう服と装飾品を身にまとい、丁重に埋葬されていました。

青銅→原材料の輸入が必要→交易の重要性

青銅器時代という名前の通り、この時代を作ったのは「青銅(brons)」です。

青銅は、アクセサリーから、道具、武器にまで、様々なものに使うことができたので、とても重宝されました。

ただし、原材料は銅(koppar)とスズ(tenn)。これらは北欧の土地では産出されないため、ヨーロッパから輸入しなくてはいけませんでした。

それによりできあがったのが、交易のネットワークです。

当時のティーエルプは、ウップランド地方北部に戦略的に拠点を作りあげ、特にスウェーデン北部(ノルランド)の海岸での「毛皮の交易」に関して、支配権を持っていました。

ティーエルプは、スウェーデン北部と南部、両方とをつなぐ存在として、国のようなものを築き上げていたとも言われます。「ティーエルプの女性」が結婚によりこの地に招かれたのも、当時のティーエルプの権力の強さゆえではないか、と考えられるそうです。

儀式ー「2つの物をセットとしてとらえる」「宙返り」

当時の儀式においても、供物として青銅の品が使われました。

これらの供物は、たいていは湖などの水辺(=死者や神の国とこの世をつなぐ場所)で、そして「2つの物をセットで」捧げる習慣があったそうです。

この「2つをセットで」というのは、供物に限らず、当時の岩絵群やその他の出土品にも見られた特徴でした。

陰陽・生死・月と太陽…など、「2つをセット」として物事をとらえるのが、青銅器時代のテーマだったのかもしれません。

また、それ以外にも、「宙返りする人(バク転する女性)」の姿が頻繁に岩絵に描かれており(=舟の上で宙返りをする女性など)、これは「女性(女性司祭)が儀式的なダンスで宙返りをしている」という場面をあらわしているのではないか、とも言われるそうです。

農耕文化の発展→裕福になる→舟での長距離移動が盛んになる

さて、ここからはティーエルプの女性だけでなく一般的な話を書いていきます。

(番組ではティーエルプの女性についてもう少し話されているのですが、少し割愛します)

この頃、農耕文化の発展もまた顕著でした。新しい品種が生まれ(もたらされ)、より多くの農作物が収穫できるようになり、土地の所有者は裕福になりました。

それにより、人々はより積極的に外へ旅に出ることが可能になり、交易で銅やスズを手に入れ、多くの青銅品を作るようになりました。

当時の移動手段として、最も速かったのが舟による水上の移動です。海や河川を使うことで、ヨーロッパ大陸との交易が可能になりました。

通行手形や身分証明として使われていたのは剣(svärd)です。

また、この頃のヨーロッパ北部では「似ている言語」が話されていたようで、互いにコミュニケーションをとることが可能だった、とも言われます。

スカンジナビアの人々が交易により輸入したのは、銅やスズ以外にも、ウール、布など。代わりに、自分達は琥珀、ミツロウ、ハチミツ、干し肉、毛皮などを輸出していました。

奴隷、ヒエラルキー

人々の旅の目的は交易だけではく、奴隷を捕まえることでもありました。奴隷として捕まった人々は、売られるか、労働力として使われました。

青銅器時代はヒエラルキーが明確に存在していた時代だ、と言われます。

交易で長旅に出るということは、家を長期間空けるということなので、その間、奴隷に家の面倒を見させていました。

当時の社会は奴隷の「対価の無い労働力」無しではとても成り立たない社会でした。

東・西・南スウェーデンそれぞれの中心地(Håga、Tanum、Kivik)

ティーエルプの女性が亡くなってから数百年後。

ティーエルプはおそらく権力を失い、海岸線も遠のいていき、以降のティーエルプからは青銅器時代の出土品は見つかっていません。

代わりに、当時の東スウェーデンの中心地とされたのが、ティーエルプよりも数マイル南、同じくウップランド地方の「ホーガ(Håga)」でした。

●ホーガの古墳…最も金が豊富な墓

ここには現在も「ホーガヘーゲン(Högahögen)」と呼ばれる、当時のスウェーデンでも最大規模の墳丘墓(紀元前1,100年頃のもの)が残されていることで有名です。

ホーガは非常に強大な力を持った国だったと考えられており、ホーガヘーゲンからはたくさんの美しい品物が出土しています。その中には青銅だけでなく「金」もあり、現在見つかっている青銅器時代のスカンジナビア全体の古墳の中でも、「最も金が豊富な墓」だそうです。

(ただし火葬されているため、埋葬されているのが男性なのか女性なのか、誰なのか、わからないそうです。このお墓は別名「ビョルン王の墓(丘/塚)」と呼ばれていますが、ビョルン王というのはもっと後の時代の人だそうです)

ホーガでは、当時「Sveavälde(スヴェアヴェールデ=スヴェア人の国のようなもの?)」が成長しており、これがのちにバルト海の交易を数百年にわたり支配することになりました。

●西…ターヌム(Tanum)、南…シーヴィーク(Kivik)

そして同じようなことが、スウェーデンの別の地域でも、別の方法で起きていました。

ホーガは東スウェーデンの中心地でしたが、西スウェーデンではターヌム(Tanum、前回の記事で「岩絵群」で登場した地域)が、さらに南スウェーデンではシーヴィーク(Kivik)が中心地として栄えていたそうです。

(シーヴィークはホーガよりも少し古い時代(石器時代の始まり頃)からあったようで、絵が大量に刻まれた石棺(hällkista)が有名だそうです)

↓シーヴィークの様子。角笛のような笛を吹いている人が描かれていたり、車輪のついた車のような乗り物が描かれているそうです。

こういった大きなモニュメントは、当時の指導者・支配者の力の大きさを示すものでした。

紀元前800年頃(青銅器時代の終わり頃)には、各地域の間で(小国間で)戦争が起き始めます。これはスカンジナビアだけではなく、ヨーロッパ全体で起きていた流れでした。

(この他にも番組では別の男性の骨の例と、その男性の一生について紹介されているのですが、長くなってしまいますので割愛しますね)


ということで、青銅器時代でした。

本当は鉄器時代とくっつけてご紹介しようと思ったのですが、長くなってしまうので次回にしたいと思います。なかなか現代までいかないですね(笑)すみません。

ウップランド地方の話がたくさん出てきておもしろかったですが、番組では残虐なシーンも結構あって(子どもに見せないようにとの注意書きが毎回出ます)リアルに作られているんだな~と思います。

次回は鉄器時代です。ルーン文字やローマ帝国の話などが出てきます。