昨日、「細かい音でもしっかりと弾く」と書きましたが、要するに力強く弾く、ということです。
それで、昨日はメンタルのことを書いたのですが、具体的に「力強く弾く」という場合、どうしたら良いのか。どこに力を入れるのか、そもそも力を入れるのか?という話になるのですが、私は「力は確かに入るけど、意識するほどの大きな力をどこか一か所に集中的に込めるのではない」と思っています。
ここぞという時、特に音の出だしの一瞬前くらいから、瞬間的にガッと(グッと)「力が放たれる」感じはします。ただ、それが「ここに力を込めて…」みたいに腕や手首や手のどこかにグッと力を込めるのとは違うなと思います。そういう力の込め方はしません。手や手首が痛くなったりするのもちょっと違うかなと思います。
力を込めるというよりは、瞬間的に身体の内側から力が放たれる感じです。その『力が放たれる時の勢い』で音の迫力が変わるようなイメージでいます。
力が放たれる感じ、と書きましたが、実際に身体を分析したら、おそらく「どこかに力が入って抜ける」ということになるかと思います。その力が入る場所というのも、実際にその動きをする時に使っている(使うべき)筋肉なのですが、私は筋肉も意識しつつ、イメージとしては身体の中心から力が出る、ような感覚でいます。(身体の中心から…というのは私に当てはまる感覚なので、他の人には当てはまらないかもしれませんが)
その力が「抜ける」時というのも、ただ単にふわっと、力がいきなりどこかにいってしまうのではなくて、身体の中心で放たれた力がそのまま腕や肘や手首や手を伝って弓と弦に伝わって一気に音になって抜ける、という感覚がします。ふわっと消えてしまうのではなく、伝わって抜ける、ということです。
この、「力が伝わって抜ける」というのが、一昨日くらいに書いた「音の出だしで圧力がかかってそれを一気に抜く」というニッケルハルパの弾き方の原理と同じことなのだと思いますが、「音の出だして圧力をかけてそれを一気に抜いて弾く」という言い方よりも、私の場合は「自分の身体から力がどのように伝わっていくのか」を意識した方が、感じがとらえやすいのだということに気が付きました。
素晴らしい奏者の演奏を分析すると確かに「音の出だしで圧力をかけてそれを一気に抜く」ということをしているのだと思いますが、それは最初からその行為を『しよう』(=「音の出だしで~」という弾き方をしよう!)と意識してそうなっているのではなく、おそらく「良い演奏をする(良い音を出す)ために試行錯誤した結果、そういう奏法に『なった』」のであり、その「結果」の部分を分析して説明した言い方が上記のものなのではないかと思っています。
つまり何が言いたいかと言うと、「確かに結果的にはそうしているのだと思うけど、『そこを目指せばよいのだ』とだけ思ってしまうと、すっ飛ばしてしまう部分があるのではないか」ということです。(でも「」のような分析は説明自体はとても有用です。特に楽器を初めてすぐの頃など)
これは私が考えたことではなく、聞いた話ですが、「良い奏者のスタイルや形を真似ることは有意義ではあるけど、同時にその『目に見えている奏者の動き』を生み出している『目に見えない力の動き(プロセス)』というのが必ず存在していて、その内部の動きやプロセスを飛ばして形だけを真似ても、同じ効果を得ることができない」のだそうです。なるほどなあと思います。
ではそのプロセスを追うにはどうしたら良いかというと、これは今のところ私に言えるのは「実際に弾いて、感覚で掴め」ということくらいでしょうか。あとは弾いている人を見る、とか、聴く、とか。
「感覚で」というのが今の私のキーワードとなっていて、弾いている時の自分の感触、「なんとなく今のは良かった」とか、「なんとなく今のはビミョーだった」とか、「なんか練習してて眠くなるわー…ってことは今のこの弾き方ダメってことだな、音楽を感じられてなくて作業的に弾いているな」とか。そういう感覚に素直になるということかなと思っています。身体の痛み、とかもそうです。
自分の演奏を「ビミョーだな」と思った時に、いきなりめちゃめちゃ上手く弾くことはできないかもしれないけど、「今の自分にできる最大限心のこもった演奏をしよう」とか「今の自分でできるレベルで最大限にやろう(テンポを落とす、細かい音を省略する、その代わりにできる限りきれいにetc…弾く)」と思うだけでかなり演奏は良くなりますし、実際自分の気持ちの入り方が違うし、満足感を得ることができて、練習によってエネルギーをもらうことができます(自分で自分にエネルギーを生み出して、与えることができる、みたいな)。
昨日のブログのことから、思うがままに書いていたら話がここまできてしまいましたが、こんなことを普段も今日も練習しながら思っています。
今日の動画は「Härjedalsschottis」です!この曲もよく弾いていますが、ようやくここまで来ました。このままもっといきたいと思っています。
今日もお読みいただき、ありがとうございました!