19世紀のフィドル奏者で、Marstalla Olle(マーシュタッラ・オッレ)という人がいます。
私は実はこの人のことをほとんど知らなかったのですが、この人が伝えた曲は知っていたので、調べてみることにしました。
あまり多くの情報を見つけることはできませんでしたが、少しだけでもご紹介できればと思います。
”Marstalla Olle”(”Back Olle”)
”Marstalla Olle(マーシュタッラ・オッレ)”もしくは”Back Olle(バック・オッレ)”、本名はOlov Olsson(1839-1906)。
ウップランド地方西部、Harbo(ハールボー)という地域の、Marstalla(マーシュタッラ)という村の農民でした。
Olov Olssonという名前よりも、”Marstalla Olle(もしくはBack Olle)”と呼ばれることが多かったようです。
「Harbo(という地域内)で一番のフィドル奏者」とされていたそうです。
特に、結婚式やお祝いごとなどで頻繁に演奏を頼まれていました。
※今回の地域名の読み方(「マーシュタッラ」「ハールボー」など)は私の推測なので、もしも違っていたらすみません。
※今まであまり書いていませんでしたが、昔の演奏家は、どの人も演奏家以外の職をもっていました。農業・漁業・職人系が多いです。この人の場合は農民でした。
August Bohlinらによって曲が伝承される
Marstalla Olleもまた、他の奏者にもれなく、たくさんの曲をレパートリーとして弾いていました。
それらの曲を伝承したのは、先週のブログにも出てきたAugust Bohlin(1877-1949、アウグスト・ボリーン)や、Marstalla Olleと同じHarbo地域に住んでいたTallroth(タルロート)兄弟(→Ivar Tallroth、Curt Tallroth)でした。
ではどんな曲なのでしょうか。2曲、音源を載せます。どちらも素敵な曲です。
こちらの2曲目の方は「Dalmarsch(ダールマルシュ)」もしくは「Marstalla Olles brudmarsch(Marstalla Olle伝承の結婚行進曲)」と呼ばれる曲ですが、これはウップランド地方では特によく知られている曲の一つかなと思います。多くの奏者によって弾かれています。
このDalmarschは他にもいくつか音源がありますので、ぜひ聴き比べてみてください。
Marstalla Olleに関しては、あまりたくさんの情報を調べることはできませんでしたが、結婚式での演奏をよくしていたこと、Dalmarschは結婚行進曲でもあったこと、そして彼の曲をAugust Bohlinらが伝承していたことを知り、なるほどと思いました。
奏者や曲の情報が自分の中で繋がるとよりおもしろく感じられるので、ちょっとしたことでも、またご紹介していきたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
参照:”Uppländske spelmän under 4 århundraden” Lars Erik Larsson