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考えていること、当たり前のことを言葉で表現することの大切さ(伝統音楽・ニッケルハルパの場合)

/ ニッケルハルパ奏者

考えていることや、当たり前のことを言葉で表現できることは大切だな、とよく感じています。

スウェーデンのこと、伝統音楽のこと、ニッケルハルパのことなど、言葉で説明できることによって、音楽や楽器の魅力をより色々な人に伝えたり、共有することができます。

今回は、このことについて書きます。

言葉で伝えられなかった

私は、スウェーデンから帰国した2019年に演奏活動を始めましたが、最初の頃は特に

「言葉(日本語)でスウェーデンの伝統音楽の魅力を表す」

ということができませんでした。

私は伝統音楽の何を良いと思っているのか?

伝統音楽の魅力とはなんなのか?

自分の気持ちをうまく言葉にできませんでした。

別に「何も思っていない」わけではないのですが、説明しようとすると、どういう言葉が適切なのか、わかりませんでした。

それでもできる限りのことはしてきましたが、「これで伝わっているのだろうか…?」とよく不安に思っていました。

スウェーデンでは言葉で表現する必要がなかった

そもそも、スウェーデンでは伝統音楽の良さや魅力を言葉で表現する必要性がありませんでした。

私がスウェーデンで関わった人たちは、伝統音楽にすでに親しんでいる人達も多かったですし、

そうでない人達も、伝統音楽については(伝統行事を通じて)「なんとなくはふれている・知っている」という人がほとんどでした。

いちから説明しなくても「ニッケルハルパを演奏しているよ」と言えば、演奏される音楽が伝統音楽であることや、伝統音楽がどんな音楽なのか、相手に伝わっていました。

また、伝統音楽の楽しみ方も皆さん知っているので、曲を演奏するだけで「いいね~」となってくれました。

感想を言う時も、だいたい「きれいな曲だね」とか「いい曲だね」というような簡単な言葉で伝わるので、色々と説明する必要がありませんでした。

それで充分だったからです。

帰国してから考えた

そんな私が帰国してからいきなり演奏活動を始めたのですが、スウェーデンと日本とでは状況が全く違いました。

ただ曲を紹介して弾くだけではなくて、そもそも伝統音楽がどんなものなのかとか、楽器のことなど、この音楽の導入(紹介)を言葉で説明する必要がありました。

また、スウェーデンではスウェーデン語の文脈に合う表現で音楽や曲について話すことが多かったので、それをそのまま日本語にしても少し違和感があり、「日本語で、スウェーデンの伝統音楽のことを、どうやって伝えたら良いのか?」が最初は本当にわかりませんでした。

私は伝統音楽の何を魅力に感じているのか?

ニッケルハルパの何が良いのか?

そもそも伝統音楽やニッケルハルパはどんなものだと説明すれば伝わりやすいのか?

スウェーデンでは考えなくても良かったことを、あらためて考えるようになりました。

これは、私にとっては良いことでした。

それまであいまいに「いいよね」と思ったり言ったりしていたことを、初めてお会いする人にも伝わるような、具体的でシンプルな言葉で考えはじめました。

音楽や楽器の紹介は、時間をかけてゆっくり説明できる時もあれば、そうでない時もあります。

一言二言でも伝えられるように、自分の中で軸になる部分を考えました。

当たり前のことや、普通のことでも良いから、それを言葉にして伝える

言葉で伝えるのは、最初は上手くいかなかったと思います。

伝えようと思うことがありすぎて、MC中も自分で何を言っているのだかよくわからなくなりました。

お客さんの目線に立って、音楽や楽器の紹介を組み立てることができず、言いたいことが先走って空回りしました。

しかし、軸になる部分を考えるようになってから、「特別なことを言おうとするのではなく、当たり前のことを言葉で表現したら良いのだ」ということに気がつくようになりました。

伝統音楽で言えば、たとえば「素朴な音楽だ」ということや、「1人や2人で演奏されることが多い分、楽器の音色や響きがよく聴こえる音楽だ」とか。

「曲の1つ1つに歴史がある」とか、「味わい深い」とか。

奇をてらった説明や、飾った言葉、センセーショナルな表現をする必要はなく、

普通のことや当たり前に自分が思うことを、言葉にして伝えれば良いのだと思いました。

こういった説明(素朴だとか、歴史があるとか)はもしかしたら、伝統音楽をやっていない人でも思いつくような説明かもしれません。

でも、それで全然かまわないのだと思いました。

むしろ、そういう「もともと親しんでいない人でも想像がつくような説明」の方が、紹介を聴いている人にとっても「ああ、きっとそうだろうな」と納得しやすいのではないかと思います。

インパクトのある紹介の仕方をしたり、変におもしろおかしく紹介しようとする必要は無く、音楽と楽器がすでに持っている魅力を、相手と自分の間で共有できること。

誰でもわかるようなシンプルな言葉で、伝統音楽やニッケルハルパの魅力を表現できることは、とても大切なことだと思うようになりました。

スウェーデンの伝統音楽やニッケルハルパの魅力をお伝えできるように、これからも自分のペースで情報発信していきたいと思っています。


以上、考えていることや、当たり前のことを言葉で表現することは大切だ、ということについて書きました。

シンプルな言葉で表現できるようになればなるほど、周りの人と目線(情報)を共有しやすくなる気がしています。

また、言葉で表現するのはあくまでも音楽の入口(導入)の部分です。

それ以上のことは、実際に音楽を聴いていただいて、それぞれの方に感じていただけたらと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。