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録音や録画を使って自分の癖を知る

/ ニッケルハルパ奏者

楽器の練習中、私が特に意識しているのが、

「自分の癖を知ること」と、

「自分の頭の中での自分の弾き方と、実際の自分の弾き方のずれを自覚すること」

です。

そして、これらのことを自覚するツールとして、録音や録画を使うことが多いです。

今回は、このことについて書きます。

自分の癖は、自覚さえすれば変えることができる

自分の癖というのは、本来は無意識にやっていることが多いです。

たまに、「自覚して意識的にやっている癖」というのもあるかもしれませんが、これは私は癖というよりも「慣れ」や「好み(好きで、あえてやっていること)」に近いかなと思っています。

「癖」というのは、本人が自覚して、かつ「変えよう」と思えば、いくらでも変えることができるからです。

癖を変えるという意味で、一番難しいステップは、「自覚すること」です。

自覚さえすれば、少しずつ、変えていくことができます。

癖に気づくためのツール 録音と録画

私が自分の癖に気づくために使っているツールは、録音と録画です。

状況や気分によってどちらも使います。

曲に慣れていないうちは録音を使って、慣れている曲の場合は録画を使う、ということが多いかもしれません。

曲に慣れていないうちは、自分で弾いていて演奏の改善点や解決法がわかっていることが多いので(できていないところなど)、そういう時は録音で気軽にチェックしながら、曲に慣れるように練習します。

曲に慣れてきて、「納得いかない部分があるのだけれど、何をどうしたら良いのかわからない…」という時は、思い切って録画します。

(「手軽さ」という意味では録音の方がしやすいと思います。ただ、録音の場合は、演奏環境や部屋の響き具合によって聴こえ方が結構変わってきます)

また、自分の中では「すごく良い感じだ」と思える時も、だいたい録画します。すると、良い感じだと思っていたけどもっと良くなる部分が見えてくる、ということが起きます。

動画で見ると、自分の演奏の何がちぐはぐに思えるのか、違和感とその改善方法のアイディア(演奏中には思いつかなかったもの)がいくつか思い浮かぶことが多いです。

練習というのは、ある意味「実験」なので、「もっとこうすると良いかも」とか、「こっちの部分の弾き方をあっちにも使ってみたらどうだろうか」といったアイディアを実行する時間です。

練習で実験してみて、良いと思ったものは身に着けていって、微妙だと思ったものは忘れて、というのを繰り返して、前進したり後退したりしながら、自分なりの演奏方法を身に着けていきます。

頭の中のイメージと、実際の自分とのずれ

「癖」というのは「やっているつもりが無いのにやっていること」が多いと思いますが、

それとは別に「やっているつもりなのに、全然できていない(やっていないように見える)」ということもあります。

頭の中での自分の弾き方と、実際の自分の弾き方のずれです。

これも、録音や録画を使ってチェックしていくことができます。

もちろん、録音や録画では拾いきれない音のバランスなどもあると思いますが、そういったマイクや機器の問題以前にも、自分の演奏に関して改善できること(思いつくこと)がたくさん見つかるのではないかと思います。

そうして見つけた改善点を、小さく区切って、1つ1つ取り組んでいきます。

もしも、「頑張っても頭の中のイメージになかなか近づけない…」と思ったとしても、

「自分の現状を把握せずに弾いている時」と「現状を把握して弾いている時」とでは、演奏の仕方がかなり変化しています。

また、自分が乗り越えられない壁がある場合にも、その壁を意識しながら他の人の演奏動画を見ることで、それまでには見えてこなかったことが見えてくるようになったり、新しい発見が得られることがよくあります。

そこで得られた発見やアイディアを、また練習で実行して、自分の演奏を録音/録画して…というのを繰り返すだけで、自分の演奏を自分でどんどん良くしていくことができます。

実際の演奏のしやすさにつながる

録音や動画というツールを通して自分の演奏を改善すると、それが「演奏中の弾きやすさ」に直接還元されます。

つまり、単に録音や動画の「見映え」がよくなるだけではなく、実際に感覚として演奏しやすくなるのです。

「演奏しやすいな」「良くなってきたな」と思いながら弾いて録音・録画したものは、実際に良くなっていることが多く、演奏中の自分の感じ方と、録音や動画での自分の演奏は、方向性として一致していることが多いのだと感じます。

(演奏中に「良くなってきたかも」と思って、期待値を高く持ちすぎてしまうと、動画を見て「あれ、そこまででもなかった」とがっくりくることもあるかもしれません。しかしそんな場合でも、以前のものと比べてみると、演奏が良くなっていることが多いです)

自己批判のツールとせずに、優しく使う

録音や録画は、演奏中よりも自分の演奏を客観的に見られるので、良いという反面、「自分の演奏を批判するツール」にもなります。

自己批判のツールとして使うのではなく、あくまでも「より上達するためのツール」として使います。

「今も良いけど、さらにちょっとだけ良くするには、どうしたらいいか?」くらいの、優しい目線で使うと良いと思います。

あまり自分に厳しく、すべてを批判しても、演奏は良くなりません。

むしろ、モチベーションが下がってしまうし、人前で演奏するのが怖くなってしまうかもしれません。

「すでに自分の演奏には良いところがたくさんある」というのを前提に、さらに自分らしく演奏するためのツールとして録音や録画を使うと、

弾き方の癖だけではなく、演奏中の自分の様子がより客観的にわかるようになります。

たとえば、慣れている曲と慣れていない曲では弾く時の姿勢からして違うな…とか、(無意識だけど)曲によって弓の使い方や動き方が全然違う、とか。

自分自身について知ることは、発見があって楽しいです。

モチベーションを下げるための道具としてではなく、「もっとこうしたら良いのかも」というアイディアの発掘方法として、もしよければ、録音や録画も役立ててみてください。

最初は慣れなくて「聴くのも見るのも嫌」かもしれませんが、慣れてくればくるほど、自分の演奏の良さがたくさん見えてくる(聴こえてくる)ようになります。


以上、「録音や録画を使って自分の癖を知る」について書きました。

ぜひ、参考にしてみてください。

お読みいただき、ありがとうございました。