この前、コンサートを聴きに行った時に一つ発見したことを、今日は書きます。
昨日のブログで私が昨年見に行ったライブやコンサートをリストにしましたが、その中の一つの出来事です。
楽器のチューニングは変わりやすい
弦楽器でも管楽器でも、楽器は基本的に室温によってチューニングが変わりやすいです。
特に弦楽器は、演奏している最中に弦のチューニングが急に変わってしまう、ということがあります。
たとえばニッケルハルパは、メロディ弦のペグ(チューニングするところ)が木でできていたりするので、急激な温度変化でペグが動いてしまい、冬場は弦の音程が急激に低くなる(音2つ分くらい)ことがあります。
ドを弾いているつもりがラの音になっちゃう、みたいな。1つの音だけでなく、弦1列全部がそうなってしまうのです。
(夏は夏で、ニッケルハルパだとキーが湿気で動かなくなる時があります)
これはもうしかたないのですが、急に音程が変わってしまうと、演奏している側は困ってしまいます。
曲の最中に音程が変わってしまった
そんなわけで、その日もコンサートの曲の最中に急に弦の音程が変わり、弦が1本使えなくなってしまったので、演奏者の方は、当初予定していたこととは別の音を即興で演奏することになったそうです。
後からお話を聞いた限りでは、最初に演奏しようとしていたものは、かっこいい感じの伴奏(コード、和音)だったそうです。
でも弦が1本使えなくなってしまったので、実際に演奏したのは、単音のシンプルな、セカンドメロディかリフ(メロディとは違う短いフレーズ)のようなものでした。レードーミー、みたいな感じの。
すごく良かった
それで、ご本人はコンサートの後に「薄くなっちゃった~」と残念そうにおっしゃっていたのですが、私はその実際に演奏されたものを、「すごくいいなあ」と思っていたんです。こういう風に演奏するのか~、と。
コンサートで聴いている最中に、「ああ、素敵だなあ」と思ったので、コンサートの後に「実は音程のハプニングがあって~」と残念そうに言われた時に、「え、でもあれ、すごく良かったけどなあ」と少し驚きました。
(曲の最中には、弦のチューニングが落ちていることは私は気づきませんでした。曲の後、チューニングしている時に聞こえてきた音で「あれ?」と思いましたが、曲では違和感がなかったと思いました)
私自身も、いいなあと思ったから覚えていただけで、普段はコンサートで誰がどの曲でどう演奏していたのか、全部は覚えてはいません。
確かに、豪華なかっこいい感じのフレーズとは違うものでしたが、それが、その曲にすごく合っていたと思いました。
あの時のあの演奏に、あの音がはまっていた
最初に予定されていたものを聴いたわけではないので、聴き比べたら最初の方がいいということもあるかもしれません。
でも、何がどう良かったのかはうまく言えませんが、あの時あの場で、あの音が、あの曲のあの演奏にはまっていた、としか私には思えません。
ハプニングは、良くも悪くも、人の意識を「今、ここ」に向けさせるので、その影響もあるのかもしれません。
演奏されたフレーズ自体の問題ではなくて、演奏者の意識が「今、どう演奏するか」により集中したことによって、そういう効果をもたらしたのかもしれません。
何を弾くかも大事だけど、どう弾くかでも演奏は大きく変わりますね。
結局、何が良かったのかはわからないし、どうしたらああいうものを再現できるのか、うまく言うことはできませんが、あの時あの会場で私が聴衆の一人として体験したことは、私の心に深く残っています。
ライブやコンサートでは、その場でしか生まれない音楽が生まれるんだなと思います。
以前も書きましたが、自分がお客さんとして演奏を聴いていて、会場が一気に惹きこまれていく瞬間、というのを感じることがあります。
そういう瞬間を積み重ねていったらとても楽しいだろうな、と思います。
私自身も、演奏しながらそういう瞬間を感じていきたいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
(一応どのコンサートかは書いていませんが、勝手にブログに書いてしまってすみません)