Johan Nylanderのソロコンサートの和訳②です。
①はこちら→Johan Nylander(Boda, 2021)のコンサート和訳①
動画
前回の続きから(10:17~)の再生です。
Johan:私は大人の年齢になってからフィドルを始めました。
きっかけは、Bingsjöステンマ(※伝統音楽とダンスのイベント)の時、父方の祖母と祖父の家の庭で、素晴らしい、魔法のような体験をしたことです。
私たちはテーブルについてFika(フィーカ※スウェーデンのコーヒーブレイク的な習慣)をしていました。Thore Härdelin(トーレ・ヘデリーン)、Oline(オリーネ※Oline Bakkomのこと?)、○○ Hasse(※聴き取れず)、Lennart Järdström(レーナルト・イェードストルム)と一緒に。
彼らに祖母と祖父がコーヒーを振舞い、彼らは座ったまま、私たちに向けて演奏をしてくれていました。
私はそれに完全に…。
夢中になりました。
というか同時に、嫉妬もしていましたね。(少し笑いが起きる)
そこに座っていて、彼らは楽器と音楽を使って、話をしていたのです。
私は(音楽のことは)よくわかっていませんでしたが、それでも素晴らしいと思いました。
私の身のまわりの人々もそうであったこと。
そこで決めました。
フィドルを始めるのだ!と。
そんな風にして、私はフィドルを始めました。
そして楽器の演奏は私の人生の一部になりました。
その後の私の人生は、フィドル演奏、フィドル音楽、フィドルの曲と関わるものとなりました。
出会ったすべての知人・友人たち、愛情(※奥さんとの出会い)、などなど。
大きい、です。本当に。(※フィドルが人生に与えた影響が大きい)
それから私が幸運だったのは、私たちが住んでいた所はPäkkos Gustafの家からあまり離れていなくて、数百メートルというところだったので、この機会に(曲や演奏を)教わらなくてはと思いました。(※←ここ、「狩りの機会に助けを求めよう」と言っているかもしれませんし、違うかもしれません)
そして、実際にそうしました。
Gustafのもとで、長い時間を過ごしました。フィドルを弾き、硬い地面を耕し(?)、そして古い歴史の話をたくさんしました。
(※「硬い地面を耕し」の部分は「slagit hackslog」と言っていると思いますが、自信は無いです)
私はその頃、フィドルを弾くのがとても下手だったんです。本当にひどかったです。弾けませんでした(笑)
弾けるようになりたかったんですけどね。
それで、私はGustafにこう言っていました。
「Gustaf、そろそろBingsjöpolskanを教えてよ」
するとGustafaは「Nej(だめだ)」と。
「あれは難しすぎるから、代わりにMårtamesgubbens polskaにしよう」と。
それで私は「Jaha(そうか)」と言いました。
私たちはその曲を弾くことにしました。
ということで、「Polska efter Mårtamesgubben(モルタメス・グッベン伝承のポルスカ)」と呼ばれているポルスカを演奏します。
やってみようと思います。
※参考:Lista över hälsingespelmän(Wikipedia)
③(12:57~)Polska efter Mårtamesgubben(モルタメス・グッベン伝承のポルスカ)
※この曲も、以前の和訳で出てきた曲ですね→Anna Ekborg i Bror Hjorths ateljé(2022.1)コンサート和訳⑤
(15:25~)
Johan:ありがとうございます(ドイツ語と英語で)。
「Boda Gammelgårdで演奏する曲」と書いてあります、今回のために原稿を書いたので。
(原稿の紙を遠ざけて(老眼のような感じで)見ながら)
hackslogの話をして…(※さっき話した内容の部分の原稿を見ている)
年をとりましたね…。(※老眼のような感じで原稿を見ているので)
でも実は、つい最近50歳になったばかりなんですけどね。(笑いが起きる)
何て書いてあるのでしょうか…。
ああ、そうか。
Brudmarsch(結婚行進曲)を演奏します。Junkasgubben(ユンカス・グッベン)伝承の。
(ここでマイクを見て、「あ、マイクを使うの忘れてた!」と思い出し、マイクを手にしてあらためて話す)
では、「Brudmarsch efter Junkasgubben」を演奏します。C-dur(Cメジャー)です。
マイクを使うのを忘れてすみません。
C-durの、美しい響きのmarsch(マルシュ、行進曲)です。皆さん耳にしたことがあるでしょう。素晴らしい曲です。
ここに来る前、Hjort Andersがこの曲を弾いている録音を聴いてきました。とても素晴らしい演奏です。
では、演奏します。
④(16:32~)Brudmarsch efter Junkasgubben(ユンカス・グッベン伝承の結婚行進曲)
(続きは明日)
スウェーデンで伝統音楽をやっている人って、子どもの頃からフィドルなどにふれている人が多いので、そんな中で大人の年齢になってから楽器を始めて、こんな風に伝統音楽を弾きこなしている人を見ると、勇気づけられるし励まされます。
もちろんそういう人でも、「子どもの頃から周りに伝統音楽の文化があった」という人もいるかもしれませんが、そうではない人も全然いるんですよね。
大人になってから伝統音楽や楽器の良さに気づいた、それまではスルーだった、とか。
私は伝統音楽の話をする時、「スウェーデンでは生活に根付いた音楽で~」と説明していて、それはもちろんそうなのですが、伝統音楽のことをほとんど何も知らずに育つスウェーデン人もたくさんいます。興味の無い人にとっては。
私自身、日本の伝統文化で、名前しか知らずにほとんど体験していないものもたくさんありますから、それと同じです。
そんな中で、Johanは大人の年齢になってから楽器を始めて、それでこんなに弾けるんだ~、と。話を聴いて、とても嬉しくなりました。
話も演奏もとても興味深いです。
続きはまた明日。
お読みいただき、ありがとうございました。