スウェーデンに留学中、「スシ」(スウェーデンで見たお寿司は「スシ」とカタカナで書こうと思います)を見たり、作ったりする機会が結構よくありました。
今回は、スウェーデンで見たスシ文化の広がりと、スシにまつわる思い出について、書いてみたいと思います。
私が見た「スシ」文化の広がり
私が2010年~2011年に初めてスウェーデンに留学した時は、すでに「スシ」が結構有名で、大学のあった町にも「スシレストラン」がありました。
ただし、周りの人の中には「食べたことがある人」と「そうでない人」が分かれていて、食べたことが無いという人も結構多かったです。
海辺の町や、もともと魚介類を食べる割合が多い地域出身の人は抵抗の無い人が多い様子でしたが、それ以外の地域出身の人は少し抵抗があったり、スシに対してまだ「異文化」「謎」というイメージがあったと思います。
それが、2013年に留学した時には、「スシを食べたことがある人」の割合が圧倒的に増えているように感じました。
出身地域や世代に関わらず、スシが「定番の外食メニュー」の一つになりつつあるようでした。
もともと日本好きでもなんでもないスウェーデン人の友達も、「スシが好きだ」という人が結構多かったです。皆でよく手作りのスシを作りましたし、たまに休日に、レストランにも食べに行きました。
また、地域のおばあさんたちが「スシを一緒に作る会」を開いてくれて、近所の小学校の調理実習室で、私達日本人留学生3人+シニアサークル主催の上品なおばあさんたち3人で、スシを大量に作ったこともあります。
そして2018年には、もはやスシのある光景が普通でした。皆スシを知っていましたし、ちょっとぜいたくな外食のような感じで、レストランで食べたりテイクアウトしていました。
留学先のソニアという先生(当時60歳くらい)も、「今日の夕飯はスシをテイクアウトする予定なの」と言っていて、「スシはもはや、色々な地域の全世代に広がっているんだなあ」と思ったのを覚えています。
2010年から2019年の間、私は飛び飛びでスウェーデンに全部で4年滞在していましたが、その間に、スシがスウェーデンでどんどん広まっていくのを感じました。
スシの発音、レストランについて
そんなスシですが、スウェーデン語で言う場合は、「ス」にアクセントがあります。
(おそらく英語も同じだと思います)
日本語だと、「お寿司」と言う時(「寿」が高い)と、「寿司」と言う時(「司」が高い、しり上がり)とではアクセントが違いますが、ちょうど日本語で言う「お寿司」のイントネーションの、「お」だけとったようなイントネーションです。
逗子の「ず」が「す」になったような感じで「スシ」です。
スウェーデンのスシレストランは、日本人が働いているところには私は出くわしたことが無くて、すべてアジア系の別の国の移民の方がやっていらっしゃいました。
(日本人の方がやっていらっしゃるレストランもあると思います)
ちなみに、どうでもいいことですが、ルンド大学の学食でたまたま相席をした人が、スシ屋の店員さん(バイト、スウェーデン人)だったこともありました。
スシの写真
スシの写真を載せていきたいと思います。
2010年、スシレストラン(お寿司屋さん)で食べたスシです。確かZenという名前のレストランです。
ゴマがたくさんついているのは、カリフォルニアロールで、のりとごはんが裏返しになっている巻物です。
日本の皆さまがどういう感想をお持ちになるかはわからないのですが、私はスウェーデンで食べたスシ、どれも普通においしかったと思いました。「生魚が食べられる」というだけでとにかく嬉しい感じでした。
このZenのスシはわりとオーソドックスなタイプというか、わさびの盛り方も日本に近いと思いました。
↓2013年8月、Aspöという島にクラス旅行に行った帰りに、スシ好きのスウェーデン人クラスメイトたちに誘われて立ち寄ったスシレストラン。
お皿にサラダも盛られていて、わさびも生クリームのようにしぼられています。
緑色の具はアボカドです。日本的にはありえないかもしれませんが、アボカドのスシ、とてもおいしいです。
ちなみに店内はこんな感じです↓。カールスクローナという町にあります。
↓2013年9月、同じカールスクローナの、今度はタイレストランで食べたスシ。先生のコンサートがあるということで、そのコンサートを見に行った時に食べたスシです。
おいなりさんもありますし、カニカマも入っています。相変わらずわさびは生クリーム状にしぼられています。
スウェーデンで結構びっくりしたのは、「がり」を好きな人が「意外と多い」ということです。もちろん苦手な人は苦手だそうですが、好きな人は好きなんです、「がり」。学校のランチでも出たことがありました。
スウェーデンも「ニシンの酢漬け」など酢関係の食品があるし、香草やしょうがなど、辛みや独特の風味を好きな人が多いので、異文化と言えども、共通する味覚もあるんだなと思います。
↓2014年3月、カールスハムという町で食べたスシ。
右上に写るのはキュウリ水
ちなみに、このカールスハムのスシ写真↑の奥の方、赤いお皿のわさびの右側に「緑色のものが入ったグラス」があるのですが、これは「キュウリ水」です。
レモン水のように、レモンの代わりにキュウリが入っている水です。
これ、スウェーデンでとてもよく見るのですが、私にはどうしても「キュウリの味の水」としか思えず、特においしいとは思えませんでした。
友達に訊いたら、「ミネラルとかそういうものが入っているから身体に良いんじゃないか」「私はキュウリ水好き」という意見もあれば、「自分は飲まない」という人もいて、色々な意見がありました。
私はレモン水の方がおいしいなと思います。
また、スシレストランに麦茶が置いてあることがあり、私は「おいしい~」と思って飲んでいましたが、スウェーデン人の友達は「ポップコーンの味がする水」と言っていました。確かに。
スシ作りの思い出
日本人の留学生3人と、同じ学校のスウェーデン人の友達3人くらいで、スシを作った時の様子です。
2013年10月、休日に、学校の建物のキッチンで、皆で作ったスシ。のっているのはサーモンとアボカドとカニカマです。
あとフィラデルフィアクリームチーズものっています。スウェーデンのスシだと、クリームチーズもよく入っているので。写真の奥の方にキュウリがありますが、キュウリとクリームチーズを一緒に巻くとおいしいです。
もはや日本のお寿司とは別物かもしれませんが、でもおいしいんですよ。
ごはんは、スウェーデンでおかゆ用に売っているお米(grötris)を、鍋で炊きました。
お酢などの食材について
写真の左手前に青いキャップの瓶が写っていますが、これがスシ用のお酢(米酢)です。
スウェーデンでは、いわゆる「お酢」は「リンゴ酢」やワイン系のもの(バルサミコ酢など)を使うことが多いので、お寿司に使うようなお酢は、特別なものを買って使いました。
スーパーで売っているものだと、アジア系の食材はすべて「ブルー・ドラゴン」という銘柄の青いシリーズでまとめて売られていて、このお酢もブルードラゴンのものです。
がりやわさび、ごま油などもブルードラゴンのものを買って使っていました。割高なのと、味は日本製のものに比べると劣りますが、売られているだけでも「ありがたい」と思っていました。
しょうゆは、「中国のしょうゆ(どろっとしている、味も違うらしい)」と、「日本の普通のしょうゆ」が両方ともスーパーで売っていて、私はもちろん日本のしょうゆ(キッコーマン)を使っていました。
海苔は、たしか私たち(日本人留学生)の誰かが日本から持って行ったものを使い、巻きすやしゃもじも私たちのものを使いました。
↑左下に写っているのはツナマヨです。
出来上がったところ↓。
こんな感じでできました。コーンも入れました。
私はアボカド大好きなので(日本だと高いのであまり普段は食べられませんが)、これらの写真を見ているだけで「おいしそう~」と思います。
アボカドやクリームチーズの手作りお寿司もおいしいので、日本でも、手巻き寿司の時などにぜひ試してみてください。
サーモンについて
さて、サーモンですが、これは「冷凍」で切り身で売られているサーモンを、水で解凍して切ってそのまま使っています。
えー!って感じじゃないですか?私は思いました。「え、それ大丈夫なの…?」と。
友達がスーパーの店員さんに訊いたところ「生でももちろん食べられますよ」と言われたとのことで、使っています。
私は、最初は生で食べられるか不安で、食べるのが本当に怖かったのですが…。味も全然おいしいし、食べた友達も平気そうなので、「まあ大丈夫か」と思って食べていました。
結局、身近に手に入る生魚はこれだけだったので、その後もこのサーモンを何度もリピートして生で食べました。日本のサーモンより脂がのっていて、すごくおいしかったです。もちろん焼いても煮ても良し。お肉等よりは高いので毎日は食べられませんが、たまのぜいたくで料理に使っていました。
※ただし、生で食べられないものもあると思うので、安全性を確認して、食べる場合も自己責任でお願いいたします。
この大量のスシ、当然6人で食べきれるはずもなく、持ち帰って翌日も食べました。
スシでアレルギー症状
ちなみに、この日、スシを食べた後に森に散歩に行ったのですが、そこで突然友達(日本人留学生の1人)の具合が悪くなってしまい(呼吸が苦しくなってしまい)、学校に戻ってきてから救急車を呼びました。
本人は知らなかったそうなのですが、おそらく「アボカドか何かのアレルギー」を持っていて、スシを大量に食べたことでアレルギー症状になったのでは、ということでした。
当時はアボカドかサーモンか、アレルギーの原因はわからなくて(検査などをするとたぶん医療費がかかるので検査はしなくて)、しばらくはどちらの食材も食べるのを控えたそうです。
特にアボカドは日本ではあまり食べていなかったそうなので、スウェーデンで突然大量に食べて、アレルギーがわかったのかもしれないね、と言っていました。
無事で良かったです。
「日本人がスシを食べてアレルギーなんて、笑っちゃうけど笑えないね」と、その子も含めて日本人3人で後日話したのを覚えています。
私自身、スウェーデンに留学していた時は、日本にいる時よりも病気(ノロウイルス)になったり、具合が悪くなることが多かったので、「ああ、なつかしいなあ」と思ったりします。おそらく、当時かなり節約していて食事の栄養などが偏っていたからだと思います。
健康でいられるのはありがたいことです。
そんな思い出のあるスシ作りでした。
以上、スウェーデンでのスシの広がり、思い出について書いてみました。
留学など、海外に長期滞在することがあれば、もし興味があればぜひスシレストランに行ってみたり、まきすや海苔など持っていてスシを作ってみてください。おもしろいと思います。
生魚が無くてもスシは作れますので。
(アボカド、野菜、カニカマ(冷凍で売ってます)、ツナ缶、クリームチーズなどで作れます)
お読みいただき、ありがとうございました。