前回に続き、「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサート(2021)の日本語訳②をお届けします。
前回の①はこちら↓
「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳①
たとえ画面越しでも、コンサートを見ていると、スウェーデンに行ったような気持ちに少しなれるかなと思います。
ぜひご覧ください。
動画
今回は3曲目の曲紹介の部分(12:10~)から、再生・訳をしていきます。
(12:10~)
(Torbjörn):さて、今演奏しました曲はEric Sahlströmの曲でした。
Ericはニッケルハルパの王様と言える人です。
そのEricが作った曲をさらにもう1曲、演奏したいと思います。
Ericはある日、家のキッチン(※スウェーデンのキッチンには簡単なテーブルとイスがあることが多い)のイスに座っていました。
私が彼自身から教えてもらったところでは、それは1940年代のことだったそうです。私は小さい頃Ericの家によく行っていたので。
(=小さい頃にEricの家によく行っていた時に、このエピソード(1940年代の頃のこと)を聞いた)
Ericがキッチンで座っていたのは4月のある日。屋根の上には雪が積もっていましたが、あたたかくなり始めた頃で、ちょうど晴れていたそうです。
すると雪がとけて、窓の桟に雫が落ちました。彼はその雫の音を耳にしました。
彼は何かを聞いたり何かを見ると、それがすぐにメロディとなって思い浮かぶ人でした。
ですので、次に演奏する曲のまず1つめのパートでは、屋根から滴り落ちる雫の音を聴くことができます。
一方で、4月の天気といえば変わりやすいです。
2つめのパートでは嵐の中で風が吹き荒れる様子、本当に天気が悪い日の様子が奏でられます。
そして3つめのパートでは、その嵐は止み、雲の合間から太陽が見え(※)、とても美しい様子が描かれます。
で、同じ天気が繰り返されます、もう一度…。(笑いが起きる)←曲の繰り返しのこと
では、Eric Sahlströmの曲で「Vårdroppar(春の雫)」です。
(※「雲の合間から太陽が見え」の部分だけよく聞き取れていないので、違っていたらすみません。前後は大丈夫です)
③(13:18~)「Vårdroppar(春の雫)」 av Eric Shlström
(16:25~)
(次の曲をどっちが紹介するか、カンペを見ながら確かめている)
(Josefina):曲順を書いたカンペ(fusklapp)が、私たちの前にあるんですよ。
さて、私自身は残念ながらEricにお会いする幸運な機会がありませんでした。
お会いする時間がありませんでした。
(※Ericが生きていた頃、Josefinaはまだ小さい子供だった)
しかし、Ericは私にとって、とても偉大な(大事な)ニッケルハルパ奏者です。
彼の作った曲の中で私が最も好きな(1番だと思っている)曲の1つが、次に演奏する「Stormyren(大きな沼)」です。
もしかしたら皆さんも聞いたことがある曲かもしれません。
曲のエピソードとして私が聞いているのは、「Ericはニッケルハルパを作るために、新しい木材を探していて、それである「沼」のあたりを歩いていた」というものです。
(※沼のあたりを歩いている時にこの曲ができた、という意味だと思います)
彼は素晴らしい演奏家であっただけではなく、製作家でもありましたから。
また、ニッケルハルパの素晴らしい曲をたくさん作る作曲家でもありましたし。
では、「Stormyren(大きな沼)」、演奏します。
④(17:18~)「Stormyren(大きな沼)」 av Eric Shlström
(21:04~)
(Torbjörn):Eric Sahlströmについて、私はよくこのように説明しています。
「彼はヴィヴァルディのようだ」と。
ヴィヴァルディは『四季』を書きましたね。とても素晴らしい作品です。
彼(ヴィヴァルディ)は、(描きたい風景を曲に)上手く取り入れていました。
犬の鳴き声や風の音など…(曲を通して)聴くことができます。雨だったりね。
それと同じことが、Ericにも言えると思っています。
Ericもまた、情景をとらえる(fånga stämningar)ことに関して素晴らしく長けていました。
今演奏した「Stormyren」もそうです。
曲を聴いていると、ひと気のない、大きな沼のそばで、座っているような気持ちになります。
私は今、ヴェステルボッテン地方(Västerbotten)に住んでいます。
ヴェステルボッテン地方で、ウップランド地方の大きな沼について話しますと…まぁ、皆あまり感動してくれないわけですが(笑いが起きる)、
それでも「感情(känslan、感じるもの)」は同じ(共有できている)だと思っています。
(→この後、次の曲の曲紹介が入りますが、続きはまた明日にします)
Torbjrönは、もともとオーケストラでヴァイオリンを演奏していた(私の記憶違いでなければ)ので、クラシックに造詣が深く、クラシック的/ヴァイオリン的なニッケルハルパの弾き方や、クラシック的なフレーズの発想や曲のとらえ方をしています。
聴いていてもそんな雰囲気が感じられているかもしれません。
ちなみに、話に出てきたヴェステルボッテン地方(Västerbotten)はウップランド地方(Uppland)よりも北の地域です↓
そしてJosefinaのふるさとのヴェストマンランド地方(Västmanland)は、ウップランド地方のちょうど左にあります。
次の曲の曲紹介から、次回書いていきます。
以上、「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳②をお届けしました。
明日はまた続きを書きます。
お読みいただき、ありがとうございました。