「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳⑥です。
今回が最後です。
①~⑤はこちら↓
「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳①
「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳②
「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳③
「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳④
「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳⑤
動画
前回の続きから(54:52~)再生するようになっています。
(Vals till Tobbenの後、54:54~)
(Torbjörn):曲を贈ってもらえるというのは光栄なことです。
次の曲もまた、今の曲と同じようにきれいというわけではありませんが…いや、そういうことが言いたいんじゃないな、ええと…
次の曲は私が作った曲、「Hommage till en spelman(ある演奏家へのオマージュ)」です。
私のよき友人であり、非常に若くして亡くなった演奏家、Mats Rondin(マッツ・ロンディーン)に向けて書いた曲です。
彼はクラシックのチェリストであり、指揮者でもありました。
(※Mats Rondinについて→Wikipedia「Mats Rondin」(英語)/「Mats Rondin」(スウェーデン語))
私たちは同じ学校で学び、楽しい時間を一緒にたくさん過ごしました。
彼が亡くなったと聞いた時、私はこの曲を作りました。
この曲は、ちょうどさっきJosefinaが「Maltes」の曲紹介で言っていたように、「ただ曲が自分のところにやってきた」という具合にできました。
彼の訃報を聞き、涙を流していたその時、このメロディが頭に浮かんできて、弾いてみたのです。
同時に、自分の中に冷静な部分もありましたので、「あ、今の曲きれいだったな…」と思って、携帯電話で録音したので、曲を残すことができました。
そしてその後、残念なことにさらに私の親しい友人2人が続けて亡くなりました。
だからこの曲は、より一般的な「Hommage till en spelman」(=亡くなった演奏家全体に向けてのオマージュ)になったのです。
ですので、今はこの曲は、この曲を欲しいすべての人に対して、彼らが亡くなった時に捧げられるような曲になっています。
「Hommage till en spelman」です。
⑫(56:15~)「Hommage till en spelman(ある演奏家へのオマージュ)」 av Torbjörn Näsbom
(58:51~)
(Josefina):本日はこちらで演奏させていただき、本当にありがとうございました。
素晴らしく楽しい時間でした。
次で最後の曲になるのが、とても悲しくもあるのですが、でも最後の曲です。
…次の曲についてですが、私からはそんなに言うことがないかもしれません。
Torbjörn、あなたが説明するべきという気がする。
ということで、私からは、「ありがとうございました」と言いたいです。
Gunnar、そしてBoda Hembygdsgård、こちらで演奏させてくれてありがとうございました。
今夜こちらにお越しくださった皆さんも、このようなおかしな時(=コロナ禍)に、太陽のもとへ出てきてくれて、というより「影の中を」と言った方が良いかもしれませんが(夜なので)、お越しくださりありがとうございました。
皆さんの前で演奏することができ、とても楽しかったです。
そしてさきほどもお話ししました通り(※)、ダンスが解禁となった頃には、ダンスの演奏をするために私たちは再び戻ってきたいと思います。
(※ダンスの演奏をしたいと言っていた→「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳⑤)
ご自宅でご覧くださった皆さまも、本当にありがとうございました。皆さんに向けて演奏するのはとても楽しかったです。
(Torbjörn):はい、では最後の曲についてですが。
最後に演奏する曲は「Eklundapolska(エークルンダポルスカ)」です。
「Eklundapolska nr.3(エークルンダポルスカ、3番)」です。
この曲を作ったのはViksta-Lasse、彼は私の先生(師匠)と言える人です。
私は彼の家によく行って一緒に演奏をしました。
初めて行ったのは6~7歳頃のことです。
古いラジカセを持って――フィリップス社(PHILIPS)のラジカセだったのを覚えています――、録音ボタンを押して、一緒に弾いて。
そして帰宅したのちは、ひたすら「ウィーン、ウィーン」という音をさせながら巻き戻しをして、再生して、また巻き戻しをして、再生して。
(※伝統音楽では楽譜を使わないので、録音を何度も何度も自分で聴いて、曲を覚えます)
そうやってViksta-Lasseの弾いている音を覚えて、(次のレッスンでViksta-Lasseの家に)行くと、まあ…叱られるか罰を受ける(叩かれる)かのどちらかで…(→明らかに冗談なので、笑いが起きる)
いやいや、それは無いです、Viksta-Lasseは本当にいつも嬉しそうでした。
年上のおじさんたち(昔の演奏家たち)に会える機会というのは素晴らしい経験でした。
きっとここ、ダーラナ地方にもそういうおじさんたちがたくさんいることでしょうね。
どこでもきっと同じようなものでしょうから。
(※コンサート会場のBodaはダーラナ地方で、今Torbjörnが話している思い出はウップランド地方の話)
さて、私も皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
ご自宅でご覧の皆さん、ありがとうございました。ご自宅でご覧になると思うと、TVの人物になったような気持ちがしますね(笑いが起きる)
そしてお越しくださった皆さまと、そこにいるPetterもありがとう。
というかPetter、Petterが私たちのために一体何をしてくれているのか、私はわかっていませんが…(笑いが起きる)、でもありがとう。音響をやっているわけでもないし、きっとすべてが上手くいくように気を配っているのだと思うので感謝します。あなたがコンサート中何をしていたのか、コンサートの後で教えてくださいね(笑いが起きる)。
皆さん、Josefina、ありがとう。
(Josefina):Tobbe、ありがとう。
(Torbjörn):最後に何か言う?
(Josefina):うん…いや、やっぱ特に無いわ(笑いが起きる)
※Viksta-Lasseについてはこちらもどうぞ→Viksta-Lasseについて
⑬(1:01:23~)「Eklundapolska nr.3(エークルンダポルスカ、3番)」 av Viksta-Lasse
(Josefina)「最初どんなんだっけ?」→(Torbjörn)弾いて見せる→(Josefina)「あ、そうだった」
と言うやり取りが最初にあります。
(1:04:50~)
(Torbjörn):(アンコールを受けて)早めに戻ってきました。
私はあの人のことを(※TVか何かで)見たんですけど…あれ、名前はなんだっけ、あの有名な人…出てこないな…こういう時に年をとったなあと思うんですけど…うーん…
…フランク・シナトラだ!
彼はコンサートをやって、コンサートの後にエレベーターで3階分フロアを下がって、(控室で)ローションをぬって、マティーニを飲んで、煙草をふかして、それでもなお、アンコールの拍手が鳴りやまなかったそうです。
私たちにはそんな度胸は無いので、ただそこの通路を行って帰ってきて、早足で会場に駆け込みました(笑いが起きる)
アンコールを演奏したいと思いますが、何の曲を弾くか(今の時間に)考えてみた?
(Josefina):んーと…Torbjörnさっきなんか言ってなかった?
(Torbjörn):私はノーアイディアだよ。
(Josefina):ノーアイディアか…。
(Torbjörn):まあなんか思いつくでしょう。
(Josefina):他になんか2人で弾けるのあったっけ?…でもあれにしようよ、あなたがさっき言ってたと思うけど。あれってこうだよね…?(弾いてみる)
(Torbjörn):うん、それが良いね。
Åkerbystålet(オーケルビー・スト―レット)という曲を演奏します。
ウップランド地方の曲です。
私はこの曲をSture Andersson(ストゥーレ・アンダーション)に習いました。
彼は実際にÅkerbyに住んでいて、Åkerbypojkarna(オーケルビー・ポイカナ=オーケルビーの少年たち)の一員です。
Åkerbypojkaranaは色々なところをまわって演奏しているグループで、陽気な人たちです。素晴らしい演奏をしますし…陽気なんです(笑う)
⑭(1:06:21~)アンコール「Åkerbystålet(オーケルビーの鋼/製鉄所)」
(1:08:47~)
(Josefina):で!言うのを忘れていたことがあります!
というかこのマイクは配信用の映像の音声のためのマイクでしたし、私はそれを忘れて今もついマイクを持ってしまっていますが、でも配信で見てくださっている方にもお伝えしたいです!
私たちはCDを出しました。
もしもお家でこの音楽を聴きたいという方がいらっしゃいましたら、どうぞお買い求めください。
今日ここに持ってきてるのは数枚だけですが…数枚ならありますよ!
CDの名前は「Två i TreTakt(3拍子の2人)」です。
(コンサート終わり)
以上、「Torbjörn Näsbom & Josefina Paulson」のコンサートの日本語訳⑥をお届けしました。
今回は最後までいってしまったので、少し長くなりましたが、とても興味深い話がたくさん聴けました。おもしろかったです。
素敵なコンサートでした。
前回も書きましたが、コンサートのMCでスウェーデン人奏者たちの話を聴いたり、スウェーデンのお客さんの反応を見ながらコンサートを聴くと、「伝統音楽って現地でこういう風に楽しまれているものなんだな」とわかって、とてもおもしろいと思っています。
お読みいただき、ありがとうございました。