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「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳②

/ ニッケルハルパ奏者

今回も「Väsen Duo」(2021)のコンサートの日本語訳②をお届けします。

前回のものはこちら↓

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳①

動画

前回の続き(15:54~)の再生になっています。

(前回の曲)

①「Adventspolska」 av Olov Johansson

②「Siverschottis」 av Olov Johansson

③「Verkstad」 av Olov Johansson

(15:54~)

(Micke):ありがとうございます。

さきほどの話に戻りますが、分解したりとかそういう話(※楽器製作など)でしたね、そういうことは私はまだ始めていませんが。

次の曲は、何かを壊すことなく出来上がった曲です。

ある「国」、もしくは「島」と言っても良いでしょうか、その島とそこの音楽家たちを讃えた曲です。

島とはアイルランドのことで、聖パトリックの祝日、3月17日のために書いた曲です。

曲名は「Den gröna ön(エメラルドの島)」。

(※直訳だと「緑の島」ですが、一応「エメラルドの意味が込められている」と別の動画で聴いたので、「エメラルド」としました)

④(16:33~)「Den gröna ön(エメラルドの島)」 av Mikael Marin

曲を演奏する前に、Micke「(最初の)Aパートを2回弾こう」Olov「そうしよう」と言っています。

2回目のAパートのはじめ(17:15)で顔を見合わせているのはそのためです。(※CDと同じ構成)

(19:35~)

(Olov):今度はまたニッケルハルパです。(※オクターブハルパからニッケルハルパへ持ち替え)

(Micke):今の曲「Den gröna ön」はちょっと「絆創膏」のようなものなんです。

つまり、「つい口ずさんでしまう曲」ということですが。

たとえば私たちの音響スタッフ、このCDのミックス(ミキシング)をしてくれたMartinがいます。

彼は普段は私たちが演奏するような音楽は聴きません。

エレクトロニックアコースティック音楽(※)を聴いています。

こういう音楽です(20:07~口真似してみせる)。

(※エレクトロニックアコースティック音楽、たとえばこういう音楽みたいです→Xavier Madore 「Les loges de la suite」

そんな彼が、この曲だけは口ずさんでいたので、「よし!」と思いました。

(Olov):そしてその2週間後、私はもう1つ別のCD(※「In Beat Ween Rhythm」)のミックスのためにMartinのところへ行ったのですが、彼はまだ「Den gröna ön」を口ずさんでいました。

本当に彼に貼りついていたんですね、この曲が。

(2人で笑う)

さて、次は全然違う曲を演奏します。

偉大なニッケルハルパ奏者、Eric Sahlström(エリック・サールストルム)の曲です。

彼はある時、キッチン(ダイニング)で(イスに)座っていて、窓の外を眺めていたそうです。

その日、村では狩りが行われていました。

彼が住んでいたのはウップランド地方北部、Tobo(トーボー※地名)郊外のGöksby(ヨークスビー※地名/村の名前)です。

森では犬が吠えていて、(狩りのための)銃声が聞こえたりしていました。

窓の外を見ていると、セント・ハウンド(Stövare、狩猟犬)が走り去っていくのが見えました。

「とってもゆっくりと、頭を垂れて、舌をネクタイのようにぶらさげていた」とEricは言っていました。

そしてその犬のすぐ後を、野ウサギ(Hare)が走っていきました。ジャンプしながら(軽い足取りで)。

(笑いが起きる。※普通はウサギが犬に追いかけられるのに、「軽い足取りのウサギが疲れた犬を追いかけている/挑発している」ように見えるから)

Ericはその光景をおもしろいと思い、「Hardrevet(ハードレーヴェット、ウサギ狩り)」という曲を作りました。

(Micke)この曲は、1985年に録音した私たちの最初の作品、「Det rister i Örat」というカセットテープにも録音されています。

ですので、結構長い間私たちはこの曲を弾いていることになります。

先日、と言ってもそんなに前ではなかったと思いますが、ボストンに行った時、Olovと私とでこの曲を弾いて、その場にいた人が録音したものを後で送ってくれたんです。

そこで私は「おもしろい。1985年の録音と新しい録音を切り貼りして繋げて、聴き比べてみよう」と思いました。

実際にやって聴いてみたところ…ほとんど全く違いが感じられなかったんです。(笑いが起きる)

それが良いことなのか悪いことなのかわかりませんが。(笑いが起きる)

⑤(22:25~)「Hardrevet(ウサギ狩り)」 av Eric Sahlström

(24:25~)

(Olov):「鉄砲が撃たれましたが、弾はウサギから外れてしまいました」とEric Sahlströmは言っていました。

(笑いが起きる)

(※演奏の最後の「ボンっ」という音、Ericやその周りの奏者たちがこの曲の最後にいつも入れている音ですが、あれが弾が外れた音か何かみたいです)

あれ、Micke、その楽器はなんですか?

(Micke):これのことですか?

実はわからないんですよ…いや、そんなわけはないですね。

これは“歴史のある楽器”なんです。引用符(“”)つきの。

「Violoncello da spalla(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)」です。

「肩のチェロ」と言えるでしょうか。

この楽器については、私はよくこの話をするのですが…

私の生徒(音大の学生)たちに初めてこの楽器を見せた時、彼らはこう言ったんです。

「これ、『チェロ(の小さいバージョン)』だと考えると、すっごくかわいい感じがするけど…

『ヴィオラ(の大きいバージョン)』だと考えると、モンスターだよね…」と。

(ちょっと笑いが起きる)

※参考:Wikipedia「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」のページ

で、次の曲は…次もEricの作った曲でしたっけ?

(Olov):ええ、次もEric Sahlströmが作った曲です。

ある日、彼は教会から、屋外で行うミサの演奏を頼まれました。

(続きはまた明日)


以上、「Väsen Duo」(2021)のコンサートの日本語訳②でした。

長くなってしまうので、続きはまた明日にします。

「Hardrevet」のエピソードは、Eric自身がコンサートで話しているバージョンとOlovが話すバージョンだと少し印象が違っていて、おもしろいなと思います。Olovの方が詳細に話しているので、「なるほど」と思いました。

ウサギが軽やかに走っているイメージが湧きました。

それから、「最後に弾が外れてしまう」というのはこの動画だけでは意味がわからなかったので、Väsen Duoの英語で行われている配信コンサートの動画(Vimeoにあります)を拝見し参考にしました。

ウサギは無事に逃げて、走り去っていくそうです。

お読みいただき、ありがとうございました。