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新しい曲を覚える・その3(まずは単音でメロディを弾く練習をする、ことのメリット)

/ スウェーデンの民族楽器「ニッケルハルパ」奏者

前回のブログの中で、「曲を覚える際にはいきなり重音(メロディに別の音をつけたして和音のような響きにする)で弾かずとも、単音で練習すればいい」ということを書きました。

これにはメリットがあります。

曲を覚える際だけではなく、既に知っている曲を練習する時にも、「まずは単音で(装飾音なしで)メロディを弾く練習をする(=重音やトリルなどの装飾音をあえて外して練習する)」ことによって得られるメリットを3つ、私なりにご紹介します。

メリット1.曲をシンプルにとらえることができる

曲を弾く際、音の流れをどのようにとらえているでしょうか?

例えば重音がいくつか出てくる曲を弾く時、重音の指の運びで頭がいっぱいで、メロディの流れが意識できず、曲が曲として流れていかない、ということが起きている場合があります。

私は、かなりそうでした。

そのため、一旦単音でメロディラインの流れを把握することで、重音や装飾音のことでぐちゃぐちゃだった頭の中をクリアにし、曲をシンプルにとらえることができます。

ここで大切なのは、「とにかくできるだけシンプルにとらえる」ということです。

可能な限り、装飾音をあえて外します。また、「こういう風に弾かなければいけない」というこだわりも一度置いておきます。

単純にメロディだけを追い、その流れを知ります。楽に、気軽に弾いてみます。

とても難しくて弾けないと思うような曲でも、メロディだけをゆっくりと軽く弾いてみると、思ったほど弾けなくはない、と思うのではないでしょうか(メロディの音をとるのが難しい場合は、自分の耳にメロディとして聴こえてくる音をメロディとして決めて弾き、必要に応じてあとから修正します)。

また、弾き慣れていて、でもうまく弾けない(思うように弾けない)というような曲も、メロディの流れだけをシンプルに追うと曲の印象が変わって聴こえる場合があります。

装飾音はその流れを惹きたてるものであり、流れを無計画にせきとめるためのものでも、曲をより複雑にして皆に弾かせないためのものでもありません。

どんなに複雑そうに見える曲も、「まずはできるだけシンプルにとらえる」というのは、私にとって重要な原則の一つです。

メリット2.重音のバランスがとりやすくなる

ここからは、トリル等よりもとりわけ「重音」についての話になります。

私が実際にメロディだけを単音で練習してみたあと、試しに苦手な重音を入れてみたところ、重音のバランスが以前よりも良くなっていることに気がつきました。

実は、重音を弾いた際に「メロディではない方の音が飛び出て聴こえる」こと、そして「重音を入れたらよりきれいになるはずなのに、かえって不協和音になっている」ことが、私の悩みでした。

音程も音量も、メロディと重音のバランスがとれていなかったことが原因ですが、重音を入れることによってメロディ自体がおろそかになっていたのだと思います。

かつ、曲の流れが不透明でごちゃごちゃしていました。

以前の私にとっては、重音とは「2つの音を同時に出すもの」でした。

それが、曲のシンプルな流れをとらえなおすことにより、「重音はメロディにもう一つ別の音がつけたされているもの」という認識へと変化しました。

2つの音を同時に出す、と思うのと、メロディに別の音をつけたす、と思うのとでは、音量バランスや音程のバランスの取り方が変わってきます。また、前後のメロディとの繋がり方も変わってきます(重音を縦の和音のイメージでとらえていたが、横のメロディラインをより意識するようになった)。

重音をきれいに入れていくうえでも、単音での練習は効果があると感じました。

メリット3.よりオープンに、フレキシブルになれる

そしてこれは私自身の感想なので、他の方にも当てはまるかどうかはわかりませんが。

単音でメロディをシンプルに弾くことにより、同曲の別アレンジの演奏(重音の入れ方が違うなど)や、少しメロディの音が違うような別バージョンの演奏に対してもよりオープンになれる、また、自分もフレキシブルに弾くことができるようになる、と感じています。

これは、メロディと装飾音を全てまるごとセットで覚えるのか、それともそれぞれを分けて脳内の引き出しに入れておくのか、の違いです。

以前の私は全てセットで覚えるようにしていました。それが良いと思っていたからです。

でもそれだと、「その曲に対して許される解釈が教わったその解釈だけ」というような感じで、自分の視野が狭くなるような気がしていましたし、「いつも同じアレンジしかできない」という盲点もありました。

その代わりに、まずはメロディを単音で弾き、そこに重音やトリルをあとから付け加えていく、という方法に切り替えます。

この方法は手間といえば手間ですが、それによってメロディはメロディ、アレンジはアレンジという感じで個別に引き出しにしまっておければ、メロディが多少違うものでも少し変えればいいだけだし、アレンジが違うものも複数を覚えることができるのではないか、と考えています。

教わった演奏方法だけに縛られず、自分でアレンジや解釈をその都度自由に選び取ることができ、なおかつ排他的にならずにいられます。

これに関してはもう少し、自分なりに実験してみたいと思っています。


以上、私なりに感じた3つのメリットでした。

特に「シンプルにとらえる」というのは、何事においても重要な要素だと思います。ご参考になれば幸いです。