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「力を抜け」では不充分。「適度な力の入れ具合を知る」方が効果的。

/ ニッケルハルパ奏者

一昨日アレクサンダー・テクニックと身体のことについて書きましたが、もう一つ思うことがあるんです。

それは「痛い所をほぐしたり力を抜くことよりも、適度な力の入れ具合を知ることの方が大切」なのではないか、ということです。

私は肩こりがもともとひどくて、中学・高校生の時から肩がこっていました。それに拍車がかかったのが大学生の時。レポートや発表原稿をPCで書くわけですが、その作業中の姿勢が苦しくて。どう頑張っても「肩をこらせるような姿勢」しかとれなくて、ここで更にひどくなりました。

ニッケルハルパを弾いている時ももちろんそれが出て、肩や首まわりが痛くなりました。ただし原因はニッケルハルパ自体ではなく、私のもともとの姿勢の癖です。実際、ニッケルハルパを弾いている時よりもPCに向かっている時の方が痛かったので。

そんな私はありとあらゆる肩こり解消のストレッチや体操をしました。が、一時的には良くなった気がしても、すぐにまた痛くなってしまいます。特にPCに向かっている時や、机に向かっている時。どうしたら良いんだろう…と思っていました。

私が受けているアレクサンダー・テクニックのレッスンの中でよく「ある動作」(なんでも良い。肘の曲げ伸ばしとか、なんらかの簡単な動き)を最大限の可動域でゆっくりやる、というのがあります。その時に大切なのが、これうまく書けないのですが、「その動作の一連の動き全てにおいて適切な筋肉の働きがあること」です。

よく筋トレで「ゆっくりと行うように」という注意書きがありますが、それと同じです。肘の曲げ伸ばしなら、曲げた瞬間や伸ばした瞬間だけ力を入れてあとはだらーんとするのではなく、伸ばしかけている/曲げかけている動作(途中の動作)の時も、必要最低限の適切な力が入っていて腕がしっかりと支えられているような感じです。

寝ている時などを除いて、基本的に私達はなんらかの姿勢を常に維持しています。そのためには筋肉が常に働いている必要があり、その際伸びて緩む筋肉と縮んで緊張する筋肉の、両方の力のバランスが重要なのだそうです。これは私は綱引きのイメージで捉えています。綱引きの両側のように、両方のバランスが保たれて初めて綱の中心点はスムーズな動きになります。片方がいきなり綱をはなしたら引っ張り続けた方に綱がいきなりすっ飛んで行って、非常に唐突な動きや、ギクシャクとした動きになってしまいますし、綱がブレてしまいます。

それで私の肩こりの話でいうと、私はちょうど肩甲骨の内側下のあたりや僧帽筋がよく痛かったのですが、以前はそこを「力を抜く」ことばかりを考えていました。でもそれだと痛みが消えません。それで、肩甲骨の動きや肩関節の動きを色々指導して頂くうちに、私は「自分の力のかけ方が0か100かになりがちだ」と気が付きました

0から100に至るまでの、途中部分の力のかけ方がわからないから、適切なバランスを見失って筋肉が変な緊張を保ってしまうんです。痛いからといって力を抜こうとして、綱をつかむ手をいきなり離す練習ばかりをしていたんです。それだと痛みも消えないし、上手くもなりません。

途中の、例えば10や30や50の力のかけ方を覚えていくと、筋肉や関節の動きがスムーズになりますし、その分変な緊張を筋肉が保たなくて良くなります。体幹を鍛えるとか、ぶれがないようにする身体作りというのをよく聞きますが、それもこういうことなのじゃないかと思います。つまり常にフレキシブルな割合の力のかけ方や調節の仕方を身体が覚えることで、その動きに適切でブレのない姿勢が自然と保たれるし、そこに過剰な緊張がないから痛める可能性も減る、ということです。もちろん、パフォーマンスもこちらの方が各段にあがります。

楽器を弾いている時もそうです。よく「力を抜け」と言いますが、本当に力を抜いたら楽器を持つことすらできません(これはOlovにも言われたので、アレクサンダー・テクニックと関係のないところでももう常識かもしれません)。弓を動かすための肘の曲げ伸ばしも、キーを押さえる指を動かすことも、腕を前に出すことすらも、本当に力をまるきり抜いたらできません。大切なのは力を抜くことというよりも、「その動きを安定的にするために必要な適切な筋肉の働かせ方を身体が覚える」ということなのだなと思います。凝っている筋肉や力の入っている箇所を完全に休ませて力を抜くだけでは、痛みの少ない身体の使い方をするためには少し不充分です。そこにとどまらずに「いかに使うか」までを考え、身体の構造を知り、さらに身体がその使い方を覚えてくれると良いのだなと感じています。

今日はOlov JohanssonとCatriona Mckayの「Foggy」です!動画のつづりはミスだそうです。この曲もすごくカッコいいです。Olov大好きなのですが、この曲では私はハープのCatrionaについ視線がいきます。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

番外編⑥は「Polska efter Byss-Calle nr.32」です!ビス・カッレの伝えたポルスカの32番。この曲はとても有名で、スウェーデン以外の国の人にも結構よく弾かれています。弾かれすぎて逆にセッションとかではあまり弾かないくらいの。階段の前の押し入れに腰かけて撮ったのですが、すごくよく響くので、まるで良いマイクを使って撮ったみたいに聞こえるなと思いました。