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また本の話です。

/ ニッケルハルパ奏者

この前も書きましたが、今、空いた時間に以前から好きな本を読み返しています。

何度か読んでいるものばかりなので内容はだいたい覚えているのですが、読み返すと自分がなぜその本が好きだったのかを思い出すようでおもしろいです。

今読んでいるのは梨木香歩著『からくりからくさ』です。

私は同じ作者の『裏庭』という児童文学作品を小学生の頃に読んで好きになり、『からくりからくさ』も確か小学生か中学生の頃に初めて読みました。

当時は本の内容の3分の1くらいしか理解していなかったように思います。

主要な登場人物は、染め物や織物などを学ぶ大学生くらいの年齢の女性4人で、彼女たちが同じ下宿先で暮らしている様子が描かれています。物語自体はそんなにドロドロした展開は無いのですが(全く無くは無いですが)、当時小学生(か中学生)の私には、主人公たち大学生の感情の揺れ動きに、ついていくことができませんでした。この人はなぜ怒っているのだろう?とか、この人はなぜこういう行動をしたのだろう?とか。

また、物語の中で過去の(江戸時代頃の)出来事について主人公たちが掘り下げているのですが、その辺の前後関係や人物の関係性も理解せずに読んでいました。後から読み直して、「ああ、こういう話だったのか」と思いました。

『からくりからくさ』は『りかさん』という話の続編のようなものでもあり、『りかさん』を読んでいると入りやすい部分があります。

当時、話の内容が理解できなくても私が読み進めたのは、意地もありましたが、『からくりからくさ』に出てくる主人公たちのような大学生たち(主人公は大学生ではありませんが、年齢は同じくらいです)がすごく大人に見えて「素敵だな」と思ったからだと思います。彼女たちは本当の大人から見たら大人ではないかもしれません。でも少なくとも、私が大学生の頃よりは格段に大人です。地に足がついている、という感じがします。

地に足がついた生活とか、土地に根ざした生活、というのは梨木香歩さん自身が憧れとしているというか、実際にご自身がやられているものなのだろうなとエッセイなども読む限り思います。それが本の中でもよく出てきて、好きです。下宿先で一緒に住む、というパターンも多く(これも留学経験から書かれているのだと思います)、そこで浮彫になる「価値観の違い」とどう向き合うか?というのも大切なテーマなんだなと感じます。

(私が一番好きな本は『家守綺譚』です。いつも書いてますが)

自分の好きなものを見返すと、自分の趣味が意外と昔から変わっていなかったことに気が付いておもしろいです。

181曲目は「När som flickorna de gifta sig」です!

今日もお読みいただきありがとうございました!