今日は、チューニングについて書きます。
ニッケルハルパのチューニング、John Olsson方式
ニッケルハルパのチューニングは、特に他の楽器との兼ね合いがなければ、440Hzで行います。
(他の楽器と合わせる必要があれば、その楽器のチューニングのHzに合わせます。詳しくは後述します)
チューニングする時は、全部の音をチューナーの真ん中(±ゼロ)に合わせても問題ないのですが、私が留学していた学校では、ニッケルハルパは「John Olsson(ヨン・オールソン)式のチューニング」で行っていました。
John Olsson式のチューニング
全部の音をチューナーの真ん中(±ゼロ)に合わせるのではなく、以下のようにセント単位でずらして合わせます。
※見やすいように太字と細字を交互にしましたが、意味はありません。
G♯/A♭ | ±0 |
G | +2 |
F♯/G♭ | -4 |
F | +6 |
E | -4 |
D♯/E♭ | +2 |
D | ±0 |
C♯/D♭ | -2 |
C | +4 |
H/B | -6 |
A♯/B♭ | +4 |
A | -2 |
これは、全部をゼロで合わせるよりも、ニッケルハルパでよく弾かれるキー(音階)を中心に、共鳴弦などがよりよく響くチューニングになっているそうです。
私は普段からこのチューニングにしていて、スウェーデンの奏者も(人によるとは思いますが)、先生として教えに来てくれる人たちは皆さんこちらのチューニングでした。
同じ留学先を卒業している他の日本の奏者の方々も、こちらのチューニングを使っていると思います。
最初は少し面倒かもしれませんが、すぐに慣れます。
私はメロディ弦の音(A-2、C+4、G+2、C+4)を覚えたのと、共鳴弦は『「0・2・4・6・4・2・0」の並びが繰り返されるのと「+-」がそれぞれ交互になっている』と覚えました。
セント表示のできるチューナーを使う
セント表示のできるチューナーでないと、このチューニングはできないのですが、最近のチューナーはあまりセント表示が細かく出るものがありません。(あっても、生産終了しているものが多いです)
私も、そういうチューナーは持っていません。
でも、あきらめる必要はありません。
スマホのチューナーアプリを使う
スマホのチューナーアプリ(無料)だと、セント表示が出るものがあるので、私はスマホのチューナーを使っています。
私が使っているのは「サウンド・コルセット」というアプリです。(2023.1.13現在)
こういうことを書くのもあれですが、もとは留学先のクラスメイトがこのアプリを使っていて、それを見たOlov Johansson(ニッケルハルパ奏者、先生)が自分のチューナー(スマホではなく、Olov愛用のチューナー)と照らし合わせながら試して、「これはいいね」と言っていたので、使っています。
Olovの言うことなら間違いないだろう、という単純な自分がいますが。
「サウンド・コルセット」はアンドロイド用だそうですが、David Eriksson(奏者、先生)はiPhone用の別のアプリを使っていたと思います。
つまり、サウンドコルセットに限らず、他のアプリでも全く問題ないと思います。
スマホ用のチューナーマイクもある
チューナーだと、音を拾うためのチューナーマイクが別売りで、あります。
スマホには以前はそのマイクがなかったので、「うるさい所では使いにくい」という問題がありましたが、昨年「スマホ用のチューナーマイク」を見つけました。
オンボードのAppClip(アップクリップ)というものです。(2023.1.13現在)
”アンドロイド・iPhoneどちらも対応、アプリも選ばない”と書いてあります。(iPhoneの場合は接続部分を変換しないといけないのかもしれませんが)
私が購入して試したところ、特に問題なく使えています。
うるさい所でチューニングすることがなければ、マイクがなくても全く問題ありませんが、もし気になるようでしたらぜひ検索してみてください。
タンジェントもこれに合わせる
ニッケルハルパのキーについている「löv(タンジェント)」と呼ばれる部分がありますが、これも、John Olsson式のチューニングで合わせます。
タンジェントは下の画像の▲になっている木の部分です。この画像は、ニッケルハルパの解説ページから持ってきたので文字が入っていますが、この山▲の向きを自分で変えて、チューニングします。
▲を自分(奏者側)から見て左にすると音程が低くなり、右にすると音程が高くなります。あまり傾けすぎると意味がなくなってしまうので、ほどほどに、ですが。上の写真は若干傾けすぎているかもしれません。
タンジェント部は、本当は正確に合わせようとすると、共鳴弦等をテープでとめて合わせたりするそうですが、私は単純に①メロディ弦を合わせて、②それぞれのキーを押さえていってチューニング(タンジェントの向きを調節)、というのを一つ一つの音で行っています。
メロディ弦のチューニングが合っていないと意味がないので、メロディ弦が合っているかどうかだけ、逐一確認しながらやります。
この、「タンジェント部も合わせる(=Intonering、イントネーリング)」ということをしているかしていないかで、楽器の共鳴はかなり変わってくるので、もしもやっていない場合はぜひやってみてください。レソノサウンド等で楽器を購入された方は、基本的には調整の段階でやってくださっていますが、自分でもチェックしてみるとおもしろいと思います。
他の楽器と合わせる場合
Olovに、「ピアノと合わせる際はどうやってチューニングをしているのか?」と質問したことがあります。
その時の回答がこちらです。
・ピアノと合わせる時は、自分がそのピアノと合わせた時に、ピアノがよく弾く音(たとえば真ん中あたりのD、G、Aなど)をいくつか弾いてみる
・それらの音をチューナーではかって、それらが一番合いやすいHzを調べる
・そのHzで、John Olsson式のチューニングをする
だそうです。
ピアノは特に、ものによっては調律がかなりずれているものもあるので、よく弾かれる音を中心にHzを自分で割り出すのだそうです。
そして、ピアノの音に完全にチューニングを合わせるのではなく、そのHzで、自分はあくまでもJohn Olsson式のチューニングをする、とのことです。
ちなみに、調律がずれにくい楽器は、そのままその楽器が普段チューニングしているHz(442など)を使って、John Olsson式チューニングをするといいと思います。
以上、チューニングについて、でした。
また何かあれば追加で書いていくとは思いますが、今のところ私が書けることは、これですべてです。
もしよければ参考にしてみてください。
お読みいただき、ありがとうございました。