先日、レッスン中に「雑音」の話になったので、ブログにも書こうと思います。
雑音が彩るその楽器らしさ
雑音って、ものすごくうるさいと確かに目立つしあまり良くないとは思うのですが、雑音が全く無いと、この楽器の音「らしさ」が消えてしまうんですよね。
私も個人的にミキシングの練習をしていて思うのですが(※ミキシング…録音した音を調整したりリバーブをかけたりすること)、雑音を全部消したり隠すような方向性で調整してしまうと、音がのっぺりした平坦な感じになってしまいます。
なので、反対に、あえてちょっとざらっとした質感を出す方向性に調整した方が、ニッケルハルパの音としてしっくりくるような感じがするんですね。
ニッケルハルパに限らず、その楽器を演奏する際に出る、ドーとかソーとか以外の音(擦弦楽器なら弦をこする音や弦をひっかける音、撥弦楽器なら弦をはじく時に出る音、管楽器なら空気が通る感じなど)って、「その楽器らしさ」を彩る音でもあると思っています。
雑音自体は問題ではないんです。
雑音を消すよりも、響きをどうやって前面に出すか
ただ、雑音自体は問題ではないのですが、それでも雑音が目立つ場合や、演奏中に雑音に意識がいってしまう場合はありますよね。
そういう時は、雑音そのものよりも「自分が出したい響き」「音そのもの」を「どうやって前面に出していくか」、というのを意識した方が良いかなと思います。
「雑音を消す」ことよりも、「響きをどうやって前に出すか」を考える、という感じです。
すると響き自体も良くなりますし、響きが雑音よりも前に出るというか、バランス的に上回るので、雑音そのものがあまり気にならなくなるかなと思います。
(「音」や「響き」は、意識するのとしないのとでは全然違う結果になります)
雑音を「飾り」として使いつつ、そのうえでどういう響きを、どう出していきたいのか。
ここが肝心だなと思っています。
雑音に限らず…
雑音に限らずなのですが、自分が本当に良いなと思う演奏やきれいだと思う演奏って、意外とそういう「余分な要素」とか「不完全な要素」というのが含まれていることが多く、そこを上手く使っているものが多いと思うんですよね。
雑音以外の要素で言うと、たとえば「リズムの揺らぎ」とか、「微妙な音程の不安定さ」とか。
(特に生演奏だと、そういった要素を感じやすいかもしれません)
それらをなくすのではなく、上手く取り入れていて、聞いている側に意識させなかったり、逆に「プラス」の要素として聞かせているような気がします。
なので、練習中も、余分な要素や不完全な要素を排除する方向で頑張るのも1つの方法なのですが、
そういう微妙な要素をあえて少し残しつつ、自分が出していきたいもの、目立たせたいもの、伝えたいものの方に注力していくのも大事だと思っています。
以上、雑音についての話でした。
これは何の楽器でもそうだと私は思っています。
雑音に気をとられすぎず、ぜひ楽しく楽器を弾いていただけたらと思います。