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左手(キーに触れる手)の大切さについて…

/ ニッケルハルパ奏者

今回は、久しぶりにニッケルハルパの技術的な内容です。

私が普段から「大切だな~」と思っていることを、あらためて書きたいと思います。

余談

その前に余談ですが。

以前はニッケルハルパの技術や弾き方について、ブログ記事を書きまくっていた私ですが、最近はあまり書かなくなっていました。

なぜかというと、興味がなくなった…というわけではもちろんなくて(笑)、結局のところ、「基本はあまり変わらないのだ」と思うようになったからです。

以前は、「上達するために、何か画期的な方法があるかもしれない!!」と思っていたのですが、画期的な方法というのは別に無くて、「基本的なこと(シンプルなこと)をひたすら磨いていく先に、見えてくるものがあるのだ」と感じるようになりました。

なので、私が過去に意識してきたこと・気をつけてきたこと・弾いていて「こうした方が良いな」と思ったことは、すでにこれまでの記事にたくさん書いてきたし、現在の私自身の考えというのも、普段のレッスン(対面・動画)や会話等でお伝えしていることが全てだな、と思ったんです。

また、「演奏を通じて伝わることもあるのでは?」と思っているので、演奏を聴いていただいて、弾き方について何かを感じ取っていただけたら、それで充分かな、と思うようになったのもあります。

そんな事情を踏まえたうえで…今回はあらためて、大切だと思っていることを書いていきたいと思います。今まで書いてきた内容とおおかた同じかもしれませんし、ちょっとだけ違うかもしれません。

参考になりましたら幸いです。

手の力加減はとても大切(右手・左手どちらも)

私は、ニッケルハルパを弾いている時は「手の力加減」がとても大事だと思っています。

特に、可能な限り力加減を「少なく」(最小限にして)弾ける状態だと、良い音が出るし、自由に弾けるなあ…と思うんですね。

(ニッケルハルパの音色も人によって本当に違っているので、あくまでも私の好みの音を出す方法ですが)

もちろん、あえて力を入れること、それ自体はOKなのですが、

最小限の力で弾ける(弾くことができる)「状態」であること。これが大事だと考えています。

(つまり、力を込めるか/込めないかの選択肢があり、その中から、自分が力加減をチョイスできる状態であることですね。「力を入れて弾く」の一択ではないこと、です)

力が入っていると違和感がある

力が入っていると、自分で弾いていて違和感があります。

共鳴弦の響き(残響)を上手く活かせずに、「演奏弦の音の強さ」だけで頑張ってしまって。せっかく出した音の響きを消す弾き方になってしまう…

そんな感じです。

すると、音が硬くなってキンキンしたり、細かい音の移り変わりで余計な雑音が入ったり。

上手く言えないのですが、弾いていて「とにかく微妙だなあ」「なんかしっくりこないなあ」と思います。

共鳴弦の響きを活かした弾き方ができると、「出した音の残響が(音は大きくないのに)きれいに重なって増幅する」感じがするし、音も弾き心地も柔らかいんですよね。

それが、響きを消してしまう弾き方になっていると、「頑張って弾いているのに残響が重なる感じがしない」「なんか音が伸びていかない」「音の切り替わりやつなぎ目がぎこちない」と感じます。

左手の力加減

手の力加減の話になると、たいていは「弓を持つ方の手」に注目がいくかなと思います。

ニッケルハルパで言えば、「右手」ですね。

右手の力加減はもちろん大事で、私も右手のコントロールに関しては今までたくさんこだわって練習してきて、右手のことも好きなのですが、最近思うのは「左手も、とても大切だな」ということです。

上手くいっていない時、左手に原因があることが多いと気づく

私の場合なのですが、上手く弾けていない時や、何か音に違和感がある時、「左手に力を入れすぎている」ことが多いな、と。

以前から思ってはいたのですが、最近これをより強く感じるようになりました。

力を入れていると言っても、そこまで強い力を入れているわけではないのですが…

なんとなく、上手くいっているなと感じる時は、「自分が思う力の『半分くらい』の力でキーに触れている」ことが多いな~、と思ったんです。

力はほとんどいらなくて、左手全体がキーを包み込んでいる感じで、「1つのキーをおさえている」感覚はほぼ無い、みたいな。

1本1本の指やキーはほとんど意識していなくて、「手全体の形」がほんのちょっとだけ変化して、その際、「ほんのちょっとだけ手がキーに触れちゃってるかも?」くらいの力、みたいな…

言い方が難しいですね。

(おそらく楽器をやっている方なら、ニッケルハルパでなくても、この感覚がなんとなく想像・理解できるのでは?と思っていますが…)

左手の力加減が音に与える影響=音程・音色

私の感覚は一旦置いておいて、ちょっとニッケルハルパの構造から、左手の力加減が音に与える影響について、私なりに分析してみたいと思います。

ニッケルハルパの場合、左手のキーの操作を行う(=キーを上げる)と、キーに刺さっている「löv(ルーヴ/レーヴ)」と呼ばれる木片(タンジェント)が弦にあたり、それで音が変わるようになっています。

↓ピンクの●のなかがlövです。これが上がり、弦に触れることで、音が変わります

左手の力加減を操作するということは、つまり、この「lövの弦への当たり具合」を操作することになります。

これが、音にも大きな影響を与えます。

①音程への影響

その影響の1つが「音程」です。

lövを力を入れて目いっぱい上げると、たいていは、音程が「上がってしまう」ことが多いかと思います。

(そうすると全体の音程が安定しなくなってしまうので、できれば「力を抜いて、どのキーでも安定的な音程を出せる」ことを目指した方が良いかと思います)

②音色への影響

そしてもう1つ、こちらの方が今回特に言いたい内容なのですが、「音色」にも大きな影響があります。

これは私が弾いていて感じることで、さきほど書いた内容ともかぶるのですが、左手(キーを押す指)に力が入っていると、「音の響きが止まってしまう」感じがするんです。

音を弾いた後に残る響き・共鳴弦の響きが半減してしまい、音が伸びないというか…。

音自体の雰囲気が変わってしまうんですね。キンキンした感じというか…。

私としては、音が「閉じた」感じがするんです。

これはおそらく、lövが弦に接触しすぎたり、lövからのテンションが弦にかかりすぎてしまって、弦の振動を遮ったり、振動を止めてしまう(そういう感じがする)のだと思います。

そうすると、弓を弾く右手にも、力が入ってしまいます。

音が開いている感覚、閉じている感覚

左手が「あまり力んでいない」状態だと、キーを操作していても、(左手も右手も)ほとんど「開放弦を弾いている」みたいな感覚になる、ような気がします。

(開放弦というのは、キーを何も押さえていない状態の弦のことです)

実際には、指はキーに触れていて(キーは上がっていて)、lövは弦に触れているのですが、それがほんのわずかな力でできているので、まるで開放弦を弾いている時のように、弦の振幅をlövが止めてしまわない感じ、というか。

逆に、左手の力を入れてキーを上げると、せっかく右手(弓)がおこしている弦の振幅を、lövが止めてしまっている(弦の振幅を殺してしまっている)感じがするかな?と思っています。

右手の弓が弦を擦る際、私は、lövとキーを通じて、「右手の力(弓が弦を擦った時の微細な振動や摩擦感)が、左手まで伝わる」のを感じる気がするのですが、

そこで左手に力が入っていると、左手のキー(löv)の抵抗が強すぎて、その右手の「擦る感じ」が「消えてしまう」(弦の振幅が邪魔されてしまう)感じがするんですね。

すると、なんだか音があまり良くない、音が伸びないなあと思うんです。

右手のゆらす弦の微細な振動を、ずっと「サーっ」と、キーを通じて(左手の指先で)感じられるくらいの力加減で、左手をキーに添え続けることができる(どのキーでも変わらずに)と、結構良いな~と思っています。

そして、上手くできている時の左手を見てみると、その力加減が、私がイメージする左手の力加減の「半分かそれ以下」くらいの力な気がするんです。

そのことに、いつも驚かされます。力加減って、こんなもんで良いんだ、という。

また、そういう時は、キーの上げ具合も「ほぼ上げてない」くらいの感じがします。lövが弦に、ほとんど触れてないんじゃない?くらいの。

(そういう時は、指の移動もとても楽でスムーズです)

ニッケルハルパを弾いていると、どうしても「キーを頑張って指で上げちゃう」みたいなことが起きがちなのですが、「ほぼ上げてないじゃん」くらいで、本当にOKなんですよね。

(私と違う弾き方をする人は、全然違う感覚を持っているかもしれませんが)

この感じで弾けると、音がずっと優しく開いているような、オープンな感じがして、とても弾きやすいです。「次に何の音が来てもOKだぞ」みたいな気持ちになって、何の曲でも弾けそうな気がしてきます。

逆に、音が閉じていると感じる状態だと、次の音に移りにくいし、弾いていてぎこちなく感じるし、曲も弾きにくくなる気がします。

そういう時は、私はただひたすらその曲を弾き続けて、感覚を掴むようにします。どうやったらこの曲ともっと仲良くなれるだろうか?と、ひたすら地道な練習…。

でも音を出すのは楽しいし、どうしたら良くなるのかを考えて実行するのは、とてもおもしろいです。

オープンな感じの音が出せている時は、本当にずっと楽しい。

音だけでなく、自分自身が曲に対してオープンになれている感じがして、弾いていてとてもワクワクします。

できるようになると、悩みは忘れるもの

最後に大事なことを1つ…

できるようになると、悩んでいたこと自体を忘れてしまいます。

なので、「あれ、そういえば、最近あのことについて悩んでたのすっかり忘れてたな…」と思う時、そういう時は、自分がその課題を克服して前進している時です。

言い方を変えると、忘れる頃にはたぶんできるようになっているので。

たくさん試行錯誤をして、悩みを「忘れる頃」を目指すと良いかな~、と。

ちょっとずつでも、自分のペースで続けるときっと良いことがある、と私は思っています。

楽器に限らず、ですね。


ということで、最後少し話がそれましたが、手の力加減についての話でした。

私は、以前は力加減について本当にめちゃくちゃに悩んでいて、毎日絶望的な気持ちになっていたのですが、いつの間にか少しずつ良くなっていることに気づいて、楽器を弾くのがもっと好きになりました。

「いつの間にか良くなって…」と書きましたが、私の場合、おそらく「インスタグラムで日々曲を投稿してきたこと」と、「CDを作ったこと」が、きっかけとしては大きい気がします。そこからの変化が大きいかな、と。

自分の演奏の音を毎日聴いている間に、「良い演奏」と「良くない演奏」の違いに気づいて、その違いの要因を考えた結果、「あれ、力って、思っている以上にいらないのかも…?」とある時気がついたんですね。

(あと、「自分が好きな音」について考えて、実行する機会が増えた、というのもあります)

長々と書いてしまいましたが、こんな感じでした。参考になりましたら幸いです♪