今日と明日は、「より小さな目標にフォーカスする」について書きます。
楽器を練習する際、大きな目標にフォーカスするのではなく、より小さな目標にフォーカスすることをおすすめします、という内容です。
今日は前編、明日は続きの後編を書きます。
ぜひ、参考にしていただけたら嬉しいです。
大きな目標と小さな目標
大きな目標と小さな目標、それぞれの言葉の意図はなんとなく伝わると思いますが、私はこのように考えています。
まず、大きな目標の「大きな」というのは、私は以下のような言葉で置き換えられるものとして使用しています。
…「曖昧」「より自分から遠い」「ハードルの高い」「スケールの大きい」「夢見がちな」
一方で、小さな目標の「小さな」というのは、こちらの言葉で置き換えられます。
…「具体的」「より自分から近い」「ハードルの低い」「スケールの小さい」「現実的な」
どちらも、目標としては大切なもの、必要なものだと思います。
大きな目標にフォーカスしていた
以前(というか、つい最近まで)の私は、「小さな目標」よりも、「大きな目標」にフォーカスしていたことが多かったです。
たとえば、
- 「○○(奏者の名前)のように上手く弾きたい」
- 「○○のような音を出したい」
など。
これはこれで、持っていて良い目標です。
「高い目標」という意味での、大きい目標をかかげることは大切です。
モチベーションの低下、自信喪失、落ち込み
しかし、これらの目標をかかげていた時、私は、
自分のモチベーションが下がってしまったり、練習しても自分の満足度が全く上がらない(自信がつかない、もしくは自信を喪失する)
ということがよくあることに気がつきました。
また、「目標(理想)と自分の実力(現実)の落差」を感じ、それによって落ち込むこともよくありました。
「頑張っても頑張っても、どうしてもああいう音が出ない」、と。
毎日、自分で自分の音にとにかく納得できないし、自分の演奏の仕方に全然満足できない、という状態が続いていました。
落ち込んでは挑戦し、また落ち込んでは挑戦し、という感じです。
これが映画のストーリーなら良いのですが、自分に起きると結構つらいものがあります。
目標設定するのは良いことなはずなのに
「目標を設定して、それに向かって頑張ることは良いことなはずなのに、どうしてこうも気分が落ちていくのか?」
と、よく疑問に思っていました。
また、どうすればもっとポジティブな気持ちで目標に向かっていけるのか?とも。
目標と自分との距離に絶望しながら、自分にムチを打ってだましだまし練習するのではなく、明るい気持ちで目標に向かって邁進していくためには、どうしたら良いのか、考えました。
もっと自分に合った目標設定の仕方と、目標へのアプローチの仕方があるのではないか?と思いました。
より小さな目標にフォーカスする
そこで考えたのが、「大きな目標ではなく、より小さな目標にフォーカスすること」でした。
やり方としては、
①小さな目標を1つ設定する
②設定した1つの目標にフォーカスする(焦点をしぼって集中する、意識する)
の2段階です。
段階①:小さな目標を1つ設定する
小さな目標というのは、さきほども書いた通り、
「具体的」「より自分から近い」「ハードルの低い」「スケールの小さい」「現実的な」
目標のことです。
つまり、大きな目標よりも、自分にとって現実的で身近でスケールの小さい、ハードルの低い目標です。
設定の仕方
設定の仕方は色々考えられますが、たとえば
(1)大きな目標を細かく分けて、具体的に設定する
(2)(大きな目標とは関係なく)今の自分にできることから考えて設定する
などがあるかなと思います。
(他にもあるかもしれませんし、(1)と(2)を混ぜても良いと思います)
それぞれについて説明します。
(1)の場合、たとえば「○○さんのような演奏がしたい」と思ったら、
- 「○○さんのような演奏」とはどういう演奏なのか?(自分の印象を定義づける)
- 「○○さんのような演奏」のうち、どの要素を特に真似したいのか?(音/アレンジetc…など。優先順位を決める)
- 具体的には何をどうしたら良いと思うか?(具体的にやることを決める)
というように、大きな目標から掘り下げて考えます。
目標を細分化して、自分にも取り組みやすくなるくらい、身近で具体的・現実的な目標に落とし込んでいきます。
これは、目標とする演奏に対する「自分なりの分析」を必要とするので、少し難しいかもしれません。
目標とする演奏が具体的な人は取り組みやすいと思います。
(2)の場合、今の自分にできることから考えます。
最初はこちらの方が考えやすいかもしれません。
- ○○という曲のAパートが難しいので、引っかからずに弾けるようにする
- ××という曲の高い音にとぶ時に音を間違えやすいので、そこを間違えないように練習する
- 先月習った曲を、間違えずに3回連続で弾けるようにする
- A弦のラシドレミの音を、キーを見ずに弾けるようにする
- 週に1回、5分だけ楽器にさわる(弾いても弾かなくても良い)
「今の自分にはできないけど、頑張ればすぐにできそうなこと」
または、「短時間ならできることを、もう少し長い時間できるようにする」など。
今の自分から考えて、できそうなこと(具体的な内容)を目標として設定します。
この場合は、大きな目標のことは特に考えなくて構いません。
段階②:設定した1つの目標にフォーカスする
そうして設定した、目の前の1つの目標に、フォーカスします。
「フォーカスする」というのは、意味は皆さんご存じだと思いますが、「焦点をしぼって集中する」、「意識する」という意味で使っています。
「アプローチする」と言ってもいいかもしれません。
「目の前の小さな目標」に焦点を当てて、手を伸ばし続けるようなイメージです。
この時、大きな目標や、他の目標のことは一旦置いておきます。
自分が設定した小さな目標1つを意識します。その目標だけを見て、そこに手を伸ばして、進んでいきます。
色々やろうとせずに、その目標だけに集中して取り組みます。
できてきたら、次の目標を設定し、フォーカスする
そして、集中しているうちに「ああ、なんとなく良い感じ」とか「できるようになってきた」という感覚になって、自分の中で「もう次に進んでいいだろう」と思えたら、次の目標を決めて、同じことを繰り返します。
この時、次に進むかどうかは自分の感覚で決めて構いません。
自分で「まだもうちょっと」と思ったら、もうちょっと取り組むと良いし、「もう良いだろう」と思ったら、次に進みます。
他人のペースが気になる時もあるかもしれませんが、他人のペースは無視してください。
自分の目標に、自分のペースで取り組くことが大切です。
次に進む時には、また新たに小さな目標を設定します。
ここで、さきほどまでの目標を次の目標に組み込んでも良いし、全く別の目標を立てても良いです。
ただし組み込む場合は、無理して目標を詰め込みすぎないように注意してください。
あくまでも、目標は小さなものを1つだけです。
その目標にフォーカスし、できたと思ったらさらに次に進みます。
できない場合は目標をさらに小さくする
「なかなか達成できない」「達成できなくてモチベーションが下がる」
と思ったら、目標をさらに小さくしてみてください。
- 曲を2回連続で間違えずに弾く→曲を1回間違えずに弾く
- 週に1回、5分だけ楽器にさわる→月に1回、5分だけさわれば目標達成
など。
わりとすぐにできそうなこと
あと少しでできそうなこと
できているイメージが思い浮かびやすいもの
などの方が、目標としては適していると思います。
また、目標設定(1)の方法をとった場合、小さな目標を設定したつもりが、「実はまだまだ目標が抽象的だった」ということがよくあります。
できるだけ、今の自分が取り組めるような具体的な課題に、目標を落とし込んでみてください。
以上、「より小さな目標にフォーカスする」前編として、過去の私の経験と、小さな目標設定の仕方、フォーカスの仕方について書きました。
明日は後編として、これによって「得られる効果」について書きます。
お読みいただき、ありがとうございました。