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弾く際の弓の話。

/ ニッケルハルパ奏者

ニッケルハルパは弓の速度が大切で、音の弾き始めからいきなりピュンっと速く弓を動かすことが結構多いです。(他の楽器もそうかもしれませんが)

別の動きを想像して対比するとわかりやすいかもしれません。例えば「そろりそろりと入って徐々にスピードをあげる」という動きではなく、「最初から速度Max(→足りなくなったら落ち着くけど完全には止まらず弓も弦から離さない)」みたいなことです。

「アイススケートの滑り出しみたいに、カッと地面を蹴ってあとは勢いに乗って滑っていく」と言われたこともあります。これはフィドルの奏者に言われたことなのですがとてもわかりやすく、もしかしたらニッケルハルパだけではなくスウェーデン民族音楽の弾き方に共通していることなのかもしれません。

スケートの例えもそうですが、『最初に「ガッ」と入って一瞬後からはもう力をほとんど抜いて「スーッ」と』、というのが基本的な弾き方です。最初の「ガッ」で力をうまく伝えることができれば、その後の「スーッ」で弓から力を抜いても音がちゃんと残ります。この、「スーッ」と弾いている時はなるべく力を抜いた方が音が響いて音色が良くなるのです。でも最初の「ガッ」で力を伝えることができないと、スーッといきたいところがただのカスカス…な音になります。

Olovがどなたかの楽器の試奏をしているところです。楽器の感想を言って、その後「弓の速さに気を付けないとね(高音部で弓を速く動かすのが必要だ)」ということを話していると思います。これはこの試奏している楽器自体がそうだというのもあると思いますが、基本的にどの楽器でも当てはまります。Olovの弾き方を見ていると、弓の速さが音色に影響しているのがなんとなくわかるかなと思います。

私がOlovを始め上手い奏者の弓を見ていて思うのは、弓の返しがなめらかで方向にムダが無いということです。弓を返す準備をしてから返すのではなくて、来た時のままスッと行ってまたスッと帰ってくるという。弾き始めで弓に圧力をかけるので指や手首が結果的に動いてはいるものの、そこに変なワンアクションが入ったり抵抗や弓のずれが無いなあと思います(ワンアクション入るにしても、新しい音の「弾き始め」で入るのであって、前の音の「弾き終わり」で入るのではない、ということです)。

私の去年の動画と昨日の動画です↓音を消して見て頂くとよりわかりやすいかもしれないのですが、去年のものより昨日のものの方が弓の速度が上がっているかなと思います。それに伴って音もはっきりしているかなと(自分では)思うのです。曲はなるべく同じくらいの速さのものを持ってきました。

私は以前、「弓の弾き終わりに弓の速度をあげる」という癖があり、やめたいなあと思っていて(音が変だから)、2つの動画を比べるとそこはかなり改善されてはきたと感じます。でもまだ、長い音の時とかはやってしまいますが。

あと私は今でもまだ、特に弓をあげる(アップの)際にワンアクション入っているなと感じていて、それによって弓の軌道が意図せず変わってしまっていて、細かい音を弾く時に弾きにくそうです。無駄に空回りしてる人みたいな感じ。

先のOlovの動画もそうですが、Ericの動画を見てみても弓の返しのなめらかさみたいなものがわかりやすいように思います。OlovもEricも弓の動きが「上下運動+弦への圧力」、という方向性での動きであるのに対し、私は「+左右方向への弓のブレ」が入っています。

そのブレが無くなるともっと自由に弾きやすく、音色も良くなると思うので(余計な摩擦が減り、響きを失わずにすむかなと思うので)日々意識していたいなと思いながらやっています。

別に完璧に弾くことが目的ではないのでどれも「問題」ではないのですが、ここをクリアできるともっと自由になるし、ニッケルハルパの音色の良さや心地よさを伝えられると思うので、やりたいのです。

今日もお読みいただきありがとうございました!

190曲目は「Polska efter Ritekt Jerk」です!