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August Bohlinについて

/ スウェーデンの民族楽器「ニッケルハルパ」奏者

19後半~20世紀前半にかけて活躍し、たくさんの曲を伝えた、フィドルとニッケルハルパの奏者August Bohlin(アウグスト・ボリーン)についてご紹介します。

August Bohlin

August Bohlin(1877-1949)、ウップランド地方のÖsterlövsta(ウステルーヴスタ)出身です。他に、Skuttunge(スクットゥンゲ)などにも住んでいました。

フィドルとニッケルハルパの奏者です。

よく、”Bohlin(ボリーン)”と呼ばれる人なのですが、ここでは他の人と混ざって紛らわしいので、Augustと書きます。

Augustの親族は演奏家ばかりで、典型的なウップランド地方の演奏家一族のもとで育ちました

12歳の時に自作の楽器で弾き始めた

彼がフィドルを弾き始めたのは12歳の時。

彼自身はそれ以前から音楽に興味を持っていたのですが、父親(Johan Bohlin)は楽器の弾き方を教えてくれず、父親自身の楽器(ニッケルハルパ)もまたとても大切にされていたため、まだ子供だったAugustは楽器に触らせてもらえなかったそうです。

そこでAugustは自分で自分のフィドルを作り、見よう見まねで弾き始めました。フィドル以外のことは忘れてしまうくらい、夢中で弾いたようです。

ある晩、いつものようにAugustが自宅でフィドルを弾いていると、彼の妹(か姉)が突然泣き始めました。母親がどうしたのかと尋ねると、「Augustがフィドルを弾くと頭がおかしくなりそう」と言われてしまいます。

(弾き方を知らないのと、楽器が自作だったからだと思いますが)

Augustは家の外に出て、屋根へとあがるためのはしごに腰かけて、弾き始めました。すると、彼が弓を弦の上にすべらす度に、森から美しいエコー(反響)が聞こえてくることに気が付きました。彼は、今度は屋根の上へのぼって弾き始めました。すると、そこで本当に美しいエコーが聞こえてきたのです。これだ、と思い、それから父親が帰宅するまで、そこで弾いていたそうです。

父親が帰宅し、その姿を見て、「降りておいで。弾き方を教えてあげるから」と言ってくれたそうです。

興味深いエピソードだなあ、と思いました。(”Uppländske spelmän under 4 århundraden” p.43)

多くの曲を伝える

August Bohlinの演奏は整っていて、柔らかく、確かで動きのあるリズムを奏でていたそうです。

彼は、祖父や曾祖父、そしてそれよりもまた上の世代の親族から受け継いだ曲(古いウップランドの曲)をたくさん弾いていました。

今現在でも、August Bohlin伝承の曲として知られている曲はたくさんあり、彼自身が作った曲もまた、たくさん存在しています。

また、曲だけでなく、フィドルやニッケルハルパの楽器の製作もしていました。

現在のニッケルハルパのタイプを作った

ニッケルハルパにはいくつかのタイプがあり、それぞれ音色や形状(弾き方)などが異なっています。

(生まれた年代も違っています)

今現在よく弾かれているモデルは、一般的に「クロマチックの3列タイプのニッケルハルパ」と呼ばれることが多いのですが(3列というのは、キーが3列という意味です)、この現在よく弾かれるタイプのニッケルハルパを作ったのがAugust Bohlin(とEric Sahlströmも協力した)だと言われています。1930年代頃のことだそうです。

それにより、楽器のキーが増え、様々な音階の曲がニッケルハルパで弾けるようになりました。

私はこの話を聞いて、August Bohlinのことをとても身近に思ったのを覚えています。


Bohlinに関しても、調べれば調べるほどたくさんの情報が出てきますので、私ももっと色々知っていきたいなと思います。

最後にAugust Bohlinの伝承曲2曲と、Bohlin作曲1曲の、それぞれの音源を載せておきます。ぜひお聴きください。

お読みいただきありがとうございました。

参照・引用:”Uppländske spelmän under 4 århundraden” Lars Erik Larsson