ダーラナ地方のポルスカについて、OrsapolskaとBodapolskaの紹介を以前書きました。
今回は、同じくダーラナ地方の、Bingsjöpolska(ビングショーポルスカ)をご紹介します。
Bingsjö(ビングショー)
Bingsjö(ビングショー)は、OrsaやBodaと同じく、ダーラナ地方にあります。
ダーラナ地方はこちらです。スウェーデンの真ん中あたりの、西側の地域です。
そして、Bingsjöはダーラナ地方の中のこの辺りにあります。緑の★印のところです。
Bingsjöの「sjö」は、方言によって「ショー」という発音と、もう一つ別の発音(「ふ」のような発音)があります。
私自身は、別の発音の方がなじみがあるのですが、そちらはカタカナで書きにくいので「ビングショー」と書いています。
別の発音が聞きたいという方は、以下のようなオンラインのスウェーデン語辞書のサイトの、スピーカーマークをクリックしていただくと、発音を聞くことができます。
Synonymer.seのサイト:「Synonymer till sjö」のページ(ページ右側あたりのスピーカーのアイコンをクリックすると発音が聞けます)
Bingsjöpolska(ビングショーポルスカ)
Bingsjöpolskaは、16-delspolska(16分音符ポルスカ)です。
16-delspolskaは、Sextondelspolska(セクストンデールスポルスカ)と読みます。16分音符のリズムで構成されている(16分音符で分解できる)曲です。
16分音符ポルスカについてはこちらもどうぞ→スウェーデンの伝統音楽でよく出てくる曲の種類5つ
Bingsjöpolskaについては、私はあまり詳しいとは言えないかもしれません。
というのも、私が留学先でウップランド地方の奏者から教わったいくつかのBingsjöpolskaは、「ウップランド地方で伝わっているBingjsöpolska」なので、ダーラナ地方の奏者の弾くBingjöpolskaとリズムや弾き方が違うところがあるのだそうです。
ハーディングフェーレやフィドルなどの演奏家の、野間さんがおっしゃっていました。
(勝手にお名前を出してすみません)
これについてはこちらでも少し書いています→Hjort Andersについて
とはいえ、私が知っていることだけでも、何かの参考になればいいなと思うので、書いていきます。
ダンス
留学先のダンスの授業でBingsjöpolskaの話題になった時、クラスメイト達が
「Bingsjöpolskaは、踊っている人達の頭が全然上下していないように見えるくらい、上下の動きが少ないダンスというイメージがある」
と言っていました。
確かに動画で見るとそんな感じがします。
先生もそのことを話題にしていた気がします。
(ただし、先生から「そう踊りなさい」と言われたことはないと思います。「音楽に乗っていれば自然とそうなるだろう」くらいだったと思います)
私自身が授業で実際にBingsjöpolskaを踊った時のことは、必死すぎて残念ながらあまり覚えていません…。すみません。踊った(歩いた)という記憶はあるのですが。
でもよく思い出してみれば、確かに「音楽に乗ると、自然と、飛び跳ねるような歩き方ではなくなる」というイメージだったような気がします。
かといって、そろりそろりと足を踏み出すのでもなく、重心移動もちゃんとあります。
ダンスの動画を見るだけでも、結構イメージがわきやすいかなと思います。
演奏動画
Bingsjöの奏者はよくわからないのですが、曲や演奏の雰囲気だけでも感じていただけたらと思います。
①Ellika FrisellとEmma ReidによるBingsjöpolskaの動画
②上の動画(Ellika達)の1曲目と同じ曲↓
③上の2つの動画で弾かれていた曲「Pekkos Pers storpolska」の伝承者Pekkos Per(ペッコス・ペール)の子孫である、Pekkos Gustav(向かって左)の演奏。右側はOlle Hjort。
ちなみに、Pekkos Perの兄弟の孫の孫(=兄弟の玄孫)がPekkos Gustav(f)なのだそうです。Wikipediaより。
※PekkosはPäkkosなどの別の表記もされます。
④「Pekkos Olles polska(Pekkos Olle伝承のポルスカ)」。Pekkos Olleは、③の動画のPekkos Gustavの父Pekkos Hansの、いとこの父(おじ)なのだそうです。Wikipediaより。
⑤ステンマの様子。ステンマは、演奏とダンスのお祭り/イベントのようなもの。
こうして動画で見て聴いてみると、16分音符ポルスカの雰囲気などがより伝わってくるかなと思います。
ダンスの動画を見ただけだと、「あっさりとした穏やかなポルスカなのかな?」という感じがしますが、演奏を見ると結構がっつりしていたり、癖や個性があるようにも感じます。
16分音符が続いているので、私は「華やかな雰囲気の曲が多い」というイメージがあります。
ウップランド地方で弾かれるBingsjöpolska
さきほどの話にも出た、ウップランド地方で弾かれるBingsjöpolskaもご紹介します。
もともとウップランド地方でBingsjöpolskaが弾かれるようになったのは、ダーラナ地方出身のフィドル奏者Hjort Andersがウップランド地方へ引っ越し、自身のルーツであるBingsjöの曲をウップランド地方で他の奏者達に教え、一緒に弾いていたからです。
Hjort AndersはPekkos Perが伝えた曲などもたくさん演奏していました。
Hjort Andersや、Hjort AndersとPekkos Perについて、こちらの記事により詳しく書いています→Hjort Andersについて
これにより、ウップランド地方でもBingsjöpolskaがたくさん弾かれるようになりました。
特にHjort Andersの教え子であったフィドル奏者Viksta-Lasse周辺の奏者の間でよく弾かれています。
Viksta-Lasseについてはこちら→Viksta-Lasseについて
動画
①「ウップランド地方で弾かれるBingsjöpolska」というコンセプトの、コンサートのLIVE配信映像です。長いので途中から再生にしました。弾いているのは、Bingsjöの曲をレパートリーとして持つウップランド地方の奏者達です。
演奏中、向かって左のフィドルの男性がRobert Larsson。Viksta-Lasseの兄弟の孫です。真ん中の女性がErika Lindgren Liljenstolpe。Viksta-Lasseの教え子(弟子)です。
右の男性はÖrjan Englund。この方は、私は動画を見た時に初めて知ったのですが、ウップランドの奏者でBingjsöの曲もよく弾く方なのだそうです。
②ウップランド地方のフィドル奏者Viksta-LasseがBingsjöpolskaを弾くところ。①の再生位置の曲と同じ曲です。
③Viksta-LasseがOlle HjortとBingsjöpolskaを弾くところ。
ウップランド地方で演奏されるBingsjöpolskaはこのような感じです。
同じ「ウップランド地方の奏者」であり、ルーツを同じくする人達であっても、Viksta-Lasse、Erika、Robertのフィドルの演奏はそれぞれに個性が違っていて、おもしろいと思いました。
以上、Bingsjöpolskaについて書きました。
私も全然知らないことだらけなので、こうして動画を見るだけでも参考になるなと思いました。
ぜひ、動画や曲を楽しんでいただけたらと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。